新種だらけ!宮崎の”スゴイ”サンゴとダイビングショップの保全活動に迫る

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宮崎のサンゴとは?沖縄だけじゃない、新種続々の秘密

「サンゴの研究や保護が進んでいる国内の地域といえば、どこをイメージしますか?」という問いに対し、沖縄と即答する方がほとんどでしょう。その通りで、沖縄のサンゴ礁は世界有数の場所。そして昨今では白化現象が著しいものもあり、サンゴの研究や保全活動に対しても先進地域となっています。しかし今、世界的に注目されている場所が九州エリアにも存在します。それが宮崎県です。

北部だけでも100種類以上のハードコーラルが生息しており、南部には300年以上といわれるハマサンゴを見ることができます。2022年、2024年にかけては、新種のサンゴが次々と発見され、世界的権威のある研究者が宮崎を訪れています。そしてこの美しいサンゴと海を守るために、地元のダイビングショップが徹底した保全活動をおこなっています。

本記事では、亜熱帯でない地域に育つ、宮崎のサンゴの魅力と地元のダイバーたちの活動を深掘りしていきます。

驚きの発見が続く宮崎のサンゴ

サンゴ礁が形成されるのは種子島より南の亜熱帯地域ですが、九州以北にもサンゴはたくさん生息していることは、本州で潜っているダイバーならなんとなくご存じなのではないでしょうか。宮崎の海の特徴はハードコーラルとソフトコーラルが混在していること。特に北部はハードコーラル、南部はソフトコーラルの割合が多く、一口に宮崎と言ってもエリアによって違った景色が楽しめます。さらにそんな中でも、貴重な発見が相次いでいます。

まず、北部の延岡はアサノエダサンゴやニホンアワサンゴといった珍しいサンゴの生息地です。直径3m以上の特大タイハイミドリイシも数多くみられます。ここまで大きなテーブルサンゴが多く残る場所はなかなか他では見られません。

延岡に生息するニホンアワサンゴ

延岡に生息するニホンアワサンゴ

国内最大級のタイハイミドリイシ

国内最大級のタイハイミドリイシ(延岡)

南部の日南では、2022年に「コノハナウミアザミ」、2024年に「センマイチヂミウミアザミ」というソフトコーラルの新種が発見されました。これらは宮崎県でしか見られない、まさに”宮崎オリジナル”のサンゴたちです。

コノハウミアザミ

コノハウミアザミ(日南)

センマイチヂミウミアザミ

センマイチヂミウミアザミ(日南)

ソフトコーラルの群生地とそこに群れるキンギョハナダイ

ソフトコーラルの群生地とそこに群れるキンギョハナダイ(日南)

温暖化による海水温の上昇が懸念される中、亜熱帯ではない宮崎の海で繁栄するこれらのサンゴは、気候変動の時代における海洋生態系の新たな可能性を示しています。世界中の海洋生物学者が注目する理由はここにもあります。

宮崎で新種サンゴが見つかる要因

ハナイソギンチャクモドキやソフトコーラルの群生(南郷)

ハナイソギンチャクモドキやソフトコーラルの群生(南郷)

なぜ宮崎の海で新種のサンゴが見つかるのでしょうか。

まず大きな要因として、黒潮の影響があげられます。宮崎の海に流れる黒潮は暖かな海水を運び、サンゴをはじめ多様な水中生物が生息できる環境を作っています。そしてこの黒潮が亜熱帯と温帯の要素を混在させ、新種の発見につながると考えられているのです。

また、九州以北という一般的なサンゴ礁と異なる環境であることも、亜熱帯地域では見ることができなかった新種を見つけることができる要因といえるでしょう。

宮崎大学などの研究機関も、この地域の生物研究や保全活動を積極的におこなっており、宮崎県自体でサンゴの保護と環境保全に対する意識も高まっています。そのこともサンゴの成育や新種発見につながる十分な要因となっています。

宮崎のサンゴを楽しめるダイビングポイント

ソフトコーラルとハードコーラルの群生(延岡)

ソフトコーラルとハードコーラルの群生(延岡)

宮崎の海のサンゴポイントや、ともに観察できる水中生物とは!?

サンゴの美しさを堪能できるポイント紹介

2022年に発見された宮崎固有種の「コノハナウミアザミ」をはじめ、宮崎の周辺には希少なサンゴを楽しむことができるポイントが数多く存在します。

北部の延岡では100種類以上のハードコーラルが生息し、特に「オアシス」と呼ばれるエリアは延岡No.1のサンゴ群集地として知られています。また「オアシス」や「沖の小島」では国内最大級タイハイミドリイシが見られるほか、ソフトコーラルとハードコーラルの両方を同時に観察できる貴重なスポットです。※この他、珍サンゴ「アサノエダサンゴ」があったり、ニホンアワサンゴの再南限ともいわれている

南部に目を向けると、日南は日本有数のソフトコーラル群生地として高い評価を受けています。「竹之尻」では年齢300歳以上といわれる巨大なハマサンゴが悠然と海中に佇み、訪れるダイバーを魅了しています。大島周辺では、2024年に発見された「センマイチヂミウミアザミ」というソフトコーラルを見ることができ、研究者からも注目を集めています。

「竹之尻」の年齢300歳以上のハマサンゴ

「竹之尻」の年齢300歳以上のハマサンゴ

サンゴとともに見られる生き物たち

日本最大級と言われている「ハナイソギンチャクモドキ」の群生もみられます。約50mにも及ぶ巨大な群集は何度見ても圧巻の一言。その他にも、サンゴの上にちょこんと居座るクダゴンベや、ソフトコーラルに擬態する指先サイズのピグミーシーホース、ひょっこり顔を出すコケギンポなど、フォト派ダイバーに人気の被写体がこれでもかというほど生息しています。銀の帯のように優雅に輝くタカサゴの群れが優雅に泳ぎ、色鮮やかなベラやブダイが岩場を行き交います。華やかなチョウチョウウオの姿、水中を舞うように泳ぐスズメダイの群れ、そしてそれらを見守るように広がるサンゴ。まるで竜宮城のワンシーンを切り取ったような光景が、ダイバーを迎えてくれます。

サンゴの上に居座るクダゴンベ

サンゴの上に居座るクダゴンベ

ソフトコーラルに擬態するピグミーシーホース

ソフトコーラルに擬態するピグミーシーホース

サンゴの隙間から顔を出すコケギンポ

サンゴの隙間から顔を出すコケギンポ

宮崎県ダイビングショップのサンゴを守る取り組み

宮崎県スキューバダイビング安全対策協議会によるオニヒトデ駆除の様子

宮崎県スキューバダイビング安全対策協議会によるオニヒトデ駆除の様子

海にとっても私たちにとっても非常に大切なサンゴを守るために、宮崎県のダイビングショップではダイビングを楽しむだけでなく、安全性の向上や環境保護などの活動を尽力的に活動しています。

宮崎県スキューバダイビング安全対策協議会

宮崎県のダイビングショップで形成された団体で、オニヒトデやレイシガイダマシなどの有害生物の駆除や、サンゴ保全のための調査を定期的に行なっています。

加盟店:グリートダイバーズ、K2倶楽部、スーパーナチュラル、ナイスダイブ、延岡マリンサービス

宮崎のサンゴを守る活動とは?

サンゴ保護のため、主に以下の3つの取り組みが行われています。

実際に行われている活動

1.オニヒトデなどの有害生物駆除作業
2.モニタリング
3.啓発活動

1.オニヒトデなどの有害生物駆除作業

11〜3月の期間にかけて6〜8回実施しています。ダイビングショップは夏が繁忙期のため、冬場がメインの作業となりますが、夏場でもオニヒトデを確認した場合随時駆除をしています。
なお、大島周辺のオニヒトデの駆除量は、2018年度の321kgに対し、2022年度は47kgと大きく減少傾向です。

2.モニタリング

ライントランセクト法や目視によるサンゴの種組成とオニヒトデによる被害有無の確認を冬季に実施。造礁サンゴの増加や、水温の上昇によるサンゴの変化を観察しています。

3.啓発活動

子ども向けのサンゴシュノーケル体験や、サンゴをテーマとした展示会の開催などをおこなっています。ダイビングショップのスタッフが案内をするだけでなく、イベントによっては大学の教授や生徒が赴き解説することも。実際にサンゴの役割や現状を地元のみんなに見てもらうことで、より理解が深まり環境保全の意識が高まります。また、活動を通して後継者育成への期待も大きくなることでしょう。

宮崎のサンゴの未来

今回特別に、協議会の活動にも協力をしている、宮崎大学の深見裕伸教授に、宮崎のサンゴの未来について伺いました。

「宮崎には、サンゴの生息する場所と海藻が生える藻場とが混在しています。昨今の海水温の上昇の影響で、藻場が減る一方、サンゴは少しずつではありますが増加傾向に。藻場が減少する中でサンゴもなくなってしまうと生き物のいない砂漠のような海になってしまいます。そのため、今あるサンゴは、生物多様性を維持するために守っていく必要があるのです。

とはいえ、沖縄や奄美周辺に比べるとサンゴを見る機会が少なく、宮崎に生息しているサンゴやそれらの環境にたいして身近に感じづらい状況です。今後は、地元住民がよりこれらのサンゴに興味をもち、それを保全したいと思ってもらう努力が必用であり、サンゴを観察できる場所や施設をつくることや、サンゴ観察会などの直接的な機会を増やすなど活動を積極的に進める必要があります。個人個人では難しいかもしれませんが、行政が宮崎のサンゴに興味を持ってくれれば可能性が大きくなると考えています。

ダイバーの方々は、オニヒトデ駆除やサンゴ食害巻貝の駆除を実施しているため現状でもサンゴ保全に大きく貢献しています。さらなる貢献としては、宮崎のサンゴの美しさと貴重性を積極的に県内外にアピールしてより多くの人に来てもらうことが、将来的に保全につながると考えています」。

宮崎でサンゴを楽しむために

温帯域では同種のサンゴが多くみられるのも特徴(延岡)

温帯域では同種のサンゴが多くみられるのも特徴(延岡)

協議会に属し、サンゴを安全に楽しむためにダイビングやシュノーケリング教室を開いているダイビングショップを紹介します。水中ガイドはもちろん、陸の観光やおすすめの美味しい店なども詳しいスタッフばかりなので、アフターダイブも含めてぜひ宮崎を堪能してください。

<北部エリア(延岡・日向)>
延岡マリンサービス
https://marine.gr.jp/

<南部エリア(日南・串間)>
グリートダイバーズ
https://greetdivers.com/

スーパーナチュラル
http://dive-supernatural.com/

ナイスダイブ
https://nice-dive.com/

各ショップの詳細は、「宮崎でダイビングを楽しむ完全ガイド」で紹介しています。

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まとめ

宮崎のサンゴはここでしか見ることができない希少価値の高い特別なものです。そして、研究は道半ばのため、新たな発見が続く可能性を秘めています。地元の人たちが守り、伝え続けるサンゴの海を、ぜひ一度体験してみてはいかがでしょうか。

監修・取材協力:宮崎大学・深見裕伸教授

Sponsored by 宮崎県スキューバダイビング安全対策協議会

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PROFILE
約10年間ダイビングショップに勤務し、マリンスポーツ用品の販売に精通。
福岡県在住、好きな九州のダイビングポイントは屋久島、徳之島、与論島。定期的に九州・沖縄の海を堪能。
訪れた島のお酒は必ずたらふく楽しむ酒豪。
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