ガイドさんのラブオーラ

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これまで、何人のガイドやイントラと一緒に潜ったことだろう。

「ダイビングが好き」、「生物が好き」というオーラを放つガイドさんがいて、
こうしたガイドに当たると「よし、当たり」と思う。

何となくの話ではあるが、
僕が勝手に呼んでいるこの〝ラブオーラ〟を放つガイドさんは全体の2〜3割で、
やっぱり、都市型ショップより現地サービスに多い。

ラブオーラの源泉は何なのかと考えてみる。
生物に詳しいとかレアものを探せるのとは違う気がする。

〝自然に〟水中で何かに興味がいき、
〝自然に〟興味の対象に没頭(集中)してしまう一瞬なのではないだろうか?

「見せなくては」、「楽しませなければ」を始めとする他者に対する思いや
相対的、全体的な視点の中での自分というものがふと消えて、
「ん?」と興味の対象に引き込まれ、おもしろがる一瞬。
それはひょっとしたら0コンマ何秒の一瞬なのかも。

そうしたガイドさんに当たると、よそ見ばかりし、撮影に没頭しがちな僕が、
ガイドさんのことが気になって仕方なくなり、ぴったりついていくようになる。
「僕を見てて」から「ついていきます」に。

もっと極端な例。

先日一緒に竹野の田中さんとナイトダイビングで潜ったとき。
ふとした瞬間に、急にある方向が気になるので振り向くと、
田中さんが何かをじっと見つめている。気になってそこへ近づいていき僕も観察。
そんなことが何度も何度も。音も使わずに呼ばれてしまうのだ。

エグジット後、田中さんは「念で呼んでみました」と笑っていたが、
あながち嘘でもない気がする。

ラブオーラのセンサーの感度は、
同じようにダイビングの取材をしてきたまこ社長と不思議と一致し、
「出てるね、オーラ」、「だね」という会話もしばしば。

しかし、ラブオーラが出ていないからといって悪いガイドなわけではない。
他にも楽しませ方があるだろうし、
ラブオーラがなくても努力できちんと楽しませているガイドさんもいる。
オーラを受け取る側のセンサーもそれぞれ。
また、特にオーナーであれば、
いろいろ考えなくてはいけないことが増えるだろうし。

それに、おそらく僕やまこ社長からはこのオーラは出せないが、
ゴット姉さんからは出ているので、これはもうパーソナリティの問題なのかも。
となると好き嫌いの類。
僕はラブオーラが出ているガイドさんなら、
陸上での不手際などは結構どうでもよくなるが、どうでもよくない人も多いはず。

以前、とあるお店でまこ社長と潜ったとき、「う〜ん、あれでお金取るんだね〜」と
「八幡野のふくちゃんとか富戸の村井ちゃんだったらさ〜」と
引き合いに出して愚痴っていると、
「全体のツアーとしてゲストは喜んでいたし、
福田さんとか村井さんは神の領域だから比べちゃかわいそうだよ」と言われ、
それもそうだなと。

思えば、最初にラブオーラに出会ったのは入社間もないころに取材で行った、
《スキューバプロショップ富戸》の村井ちゃんだったような気がする。
当時、それほど魚に興味がなかったがすっかりオーラに巻きこまれ、
「オハグロベラすごい!」みたいなことを熱く書いた記憶が(笑)。

それまでの僕はオハグロベラが何をしようと「ふ〜ん」だったが、
村井ちゃんが何だか喜んでいる様を見て、何だか楽しくなってきて、
何だか興味がわいてきて。
先日の香住でも、ボウズニラなんぞ何の興味もなかったのに、
ガイドのまっちゃんが熱く語るので、何だかボウズニラのことに興味が湧いてきて、
興味がわき過ぎたためか、刺されて傷になってしまったり(笑)。

よく、「ゲストの要望に応えたガイドをしたい」とガイドさんは言うが、
ラブオーラはときに要望を超える。
というか、実は明確な要望などなく潜っているダイバーが多い(気がする)ので、
ラブオーラを発しているガイドさんはやっぱりゲストが多く、
おもしろいことに、そのゲストたちもラブオーラを放っている人が多い。
やっぱり相性の問題か。

余計なことばかり考えて潜っている僕からラブオーラは絶対に出ないが、
仕事柄か、受け取るセンサーはちょっとだけ敏感なのかも。

 

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PROFILE
法政大学アクアダイビング時にダイビングインストラクター資格を取得。
卒業後は、ダイビング誌の編集者として世界の海を行脚。
潜ったダイビングポイントは500を超え、夢は誰よりもいろんな海を潜ること。
ダイビング入門誌副編集長を経て、「ocean+α」を立ち上げ初代編集長に。

現在、フリーランスとして、ダイバーがより安全に楽しく潜るため、新しい選択肢を提供するため、
そして、ダイビング業界で働く人が幸せになれる環境を作るために、深海に潜伏して活動中。

〇詳細プロフィール/コンタクト
https://divingman.co.jp/profile/
〇NPOプロジェクトセーフダイブ
http://safedive.or.jp/
〇問い合わせ・連絡先
teraniku@gmail.com

■著書:「スキルアップ寺子屋」、「スキルアップ寺子屋NEO」
■DVD:「絶対☆ダイビングスキル10」、「奥義☆ダイビングスキル20」
■安全ダイビング提言集
http://safedive.or.jp/journal
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