世界遺産、フィリピン北部に連なる「天国への階段」と呼ばれる棚田群へ

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前回に続きフィリピンの記事です。

首都マニラがあるルソン島は、海あり山ありの起伏に富んだ地形が特徴。
港町マニラから北へ向かうと、数千m級の山脈が連なり、高原のような爽やかな気候になります。

この山脈の中央には「天国の階段」と呼ばれる棚田群が見られ、2000年もの歴史を持つ貴重な景観として世界遺産に登録されています。
しかしこの棚田、美しい景観に加えて知名度もそこそこあるのに、日本語のアクセス情報が意外と少ないんです。
ということで、ここでガイド風に紹介させていただきます。

フィリピン、バナウエのビューポイントから見た棚田群

バナウエのビューポイントから見た棚田群。11月なのでまだ田植えは始まってません

山脈なので周りにはもちろん海なんてありません。
「ダイビングのサイトなんですけど…」という編集長の呟きが聞こえてきそうですが、そこは、ほら、まあ考えようで。
ダイビング旅行の後、ちょっと足を延ばしていくオプション的な感じでとらえていただけると。
稲が育つ3~4月から収穫期の6~9月ごろにかけては、稲穂が風になびいて海のよう…といえば海のようですし。

フィリピン、バナウエの棚田群

1000ペソの絵柄に使われている風景。休憩所もあってなかなかいい雰囲気

さて、この棚田群、バナウエやバタッド、ハパオなどさまざまな村に広がり、総延長は地球半周以上もあるそう。
棚田メインの場合は、このうちバナウエへ向かうのが一般的です。
しかし、これが結構大変。

マニラからバナウエへの公共交通はバスのみ。
Ohayami TransやGV Florida Transport、Autobusなどが直通バスを運行していますが、なんと約9時間かかります。
どのバスも夜中に出発して朝着というスケジュール。

今回、僕は唯一ホームページで情報発信しているOhayami transを利用しました。
スケジュールは下記のようになっていますが、ピークシーズンでも予約数によっては1日1本しか運行しないこともあるようです。

Bus Schedule / Ohayami Trans.
■マニラ→バナウエ(片道450ペソ)
21:00発~翌7:00着(10月4週目~6月および祝日・金曜)
22:00発~翌8:00着(12月31日をのぞく毎日)
■バナウエ→マニラ
18;45発~翌4:30着(10月4週目~6月および祝日・金曜)
19:00発~翌5:00着(12月31日をのぞく毎日)

フィリピン、バナウエの小学生たち

バナウエの小学生たち。木の板を使って坂道を滑り降りる遊びをしてました

ホームページでは予約必須となっていて、電話かターミナルにて予約。
一応、前払いなので、海外からはウエスタンユニオンを利用します。
余裕があるなら前日までにターミナルに行って予約&支払いを済ませてしまうのもいいでしょう。
ちなみに僕が行ったときは、まだ席に余裕があったようで、予約をしていない人も乗れていました(残り数席だったのでギリギリでしたが)。

バスターミナルは空港からタクシーで40分ほど。
バスが出発する夜は1時間以内で行けますが、渋滞が激しい日中は2時間近くかかることもあるので、予約などでターミナルに直接出向くときはご注意を。
マニラはタクシーに2時間乗っても350ペソ(約700円)くらいです。

バスの運賃は片道450ペソ(約900円)。
日本の深夜バスと同じような形ですが、やや古めでバカみたいに冷房が効いています。
席によっては、ほんと凍え死ぬじゃないかというくらいなので、セーターや帽子などを用意しておくことをおすすめします。
到着までには2~3回休憩があるんですが、あまりの寒さに、僕は毎回、温かいココアを飲んでいました…。

そんなこんなで、バスに乗ってしまえばあとはシンプル。
バナウエのバスターミナルは町を見下ろす高台にあり、到着するとホテルやツアーを斡旋する客引きが集まってきます。
ホテルを予約していない場合はそこで話を聞いてみてもいいでしょう。
帰りのバスは、このタイミングで予約しておくのがベターです。

バナウエにある宿泊施設はほとんどがゲストハウスで、唯一のホテルが81室のバナウエ・ホテル
ここが最高級なんですが、1泊4000円くらいのとっても簡素なホテルです。
でもレストランからは棚田が見えますし、豪華さを求めなければ快適です。

フィリピン、バナウエ・ホテル

バナウエで最も高級かつ大きいバナウエ・ホテル。豪華さゼロのシンプルな客室

バナウエ観光の目玉はもちろん棚田。
高台にいくつものビューポイントがあって、そこから階段のように刻まれた棚田が見られます。
バスターミナルからはトライシクルというサイドカー付きのバイクで15分、または歩いて1時間半ほど。
上りだけトライシクルを利用して、棚田を見ながらゆっくり下ってくるのもいいでしょう。
トライシクルは往復200ペソ(約400円)が目安です。

バナウエの田植えは1年に1回。1~2月に稲を植え、6~9月ごろに収穫します。
ベストシーズンは稲が育ってきた3~4月ごろ。
気候もよく過ごしやすい時期です。
また収穫期は黄金色の稲穂がなびく美しい景観が魅力です。

ルソン島北部の名物料理、野菜と豚肉をエビの塩辛のピナクベット

野菜と豚肉をエビの塩辛と一緒に煮込んだピナクベット。ルソン島北部の名物料理です

ビューポイント以外の見どころは、博物館やイフガオ族の村になりますが、1泊以上する観光客は、周辺の村へのツアーに参加することが多いようです。
バタッドやハパオへのツアーが開催されていて、バナウエとはまた違った風景が広がっています。
僕はバタッドへ行ってみたのですが、片道2時間のトレッキングでなかなかハード。
でも、高台から見る峡谷の棚田は神秘的でした!

フィリピン、バタッドの棚田

山肌に刻むように作られたバタッドの棚田。小さなゲストハウスが何軒かあります

現地で1泊すると、バス泊も含めて2泊3日の旅になりますが、のんびりとした雰囲気と爽快な眺めは9時間かけて行く価値あり!だと思います。
興味ある方はぜひ。

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PROFILE
ビーチリゾートをメインにしたトラベルライター。
50以上の国を訪れた経験を生かし、旅行ガイドブックや旅行雑誌などを制作している。
編集プロダクション「アトール」所属。
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