Q.潜降スピードも決まっているの?

この記事は約3分で読めます。


ダイビング暦45年・やどかり仙人のアップアップ相談室


Q.
ふと思ったのですが、浮上スピードについてはよく聞きますが、
潜降スピードについては聞いたことがありません。イントラに聞い
ても「窒素が気泡化するわけでもないから関係ないんじゃな
い?」とそっけない……。潜降スピードの決まりってあるんでしょ
うか?


A.
せっかくの3連休、春の嵐で海は大荒れ。がっかりしたダイバーさん
たちは多かろうと思いますぞ。

さて、隠居身分で毎日がお休み状態のヤドカリ仙人に、テラ和尚の
大喝!!がとんできたようです。駆け込み寺の和尚が取り次ぐ今週
のご質問は、「潜降スピードは定まっているのですか?」という爆弾
パンチであります。ぼっ、ぼっ、僕らは老年探偵団、なんて言いなが
ら、痛む腰をあげるとしましょう。

爆弾パンチというのは、浮上スピード(Ascent Rate)はインターネッ
トで検索すれば、やれ9m/分だ、10m/ 分だ、18m/分だといくら
でもヒットするのですが、潜降スピード(Dscent Rate)はあまりヒット
しないのです。ヒットしても、まず納得できるような説明レベルといえ
ないのがその理由。

そこで、海の底ならぬ、わが貧弱な本棚を引っ掻き回した結果、たど
りついたのは、『U.S. NAVY Diving Manual.Revision6』(アメリ
カ海軍ダイビング・マニュアル改訂6版。2008年8月発行の一応最
新版であります)。

Air Diving Operation、つまり空気ダイビングの実施法というとこ
ろにありました。しかし期待とは裏腹に潜降スピードの説明は、いとも
そっけないもんでした。

9-6-2項。ヤドカリ爺の錆びついた英語力で訳してみると、「空気
ダイビングでは、潜降スピードは重要ではないが、一般的に75フ
ィート(22.5m)/分を越すべきではない」
とあります。ま、言って
みれば、22.5m/分を越すなといっているだけのようであります。こ
れより遅けりゃどうでもよいともとれます。

妙にいわくありげな、また半端な22.5m/分の潜降でありますが、
残念なことに、その根拠の説明はございません。ただ かなり早
い潜降速度を上限としていることが、おぼろげに分かってきました。

しかしながら、あくまでもこれは、ムキムキダイバーのための軍のダ
イビングマニュアルでして、リクリエーションでダイビングをする、我ら
のようなお気楽ダイバーのためのルールはないのか、これはこれで
次回のお話に。

乞うご期待。なんちゃって。答えが見つからねば、和尚が怖い……。
それにしてもこの腰痛どうにかしてよ。

\メルマガ会員募集中/

週に2回、今読んで欲しいオーシャナの記事をピックアップしてお届けします♪
メールアドレスを入力して簡単登録はこちらから↓↓

PROFILE
1964年にダイビングを始め、インストラクター制度の導入に務めるなど、PADIナンバー“伝説の2桁”を誇るダイビング界の生き字引。
インストラクターをやめ、マスコミを定年退職した今は、ギターとB級グルメが楽しみの日々。
つねづね自由に住居を脱ぎかえるヤドカリの地味・自由さにあこがれる。
ダイコンよりテーブル、マンタよりホンダワラの中のメバルが好き。
本名の唐沢嘉昭で、ダイビングマニュアルをはじめ、ダイビング関連の訳書多数。
FOLLOW