ガイドさんのバルブ確認の是非

こんな懺悔話をいただいた。簡単にまとめるとこんな趣旨。

友人2人でダイビングに行ったときのこと。
水面で慌てる友人にガイドさんが駆け寄るとタンクのバルブが閉まっていた。
ガイドさんがバルブ開け、事なきを得ていざ潜降すると、
今度は自分の残圧計の針が大きくユラユラ。
やはりタンクのバルブがほぼ閉まっていた。

そう。陸上でガイドさんがバルブを開けてくれたのに気がつかずに、
友人共々、バルブを閉めて潜ってしまったのだ。

このエピソードは頻繁ではないものの定期的に聞くので、
ダイビングの〝あるある話〟と言っていいのだが、
受け止め方がダイバーによって違うがおもしろい。

今回エピソードをいただいた方は、「親切なガイドさん」と表現していたが、
中には「ややこしいことしないで」というダイバーもいるのだ。

さて、皆さんは、ガイドがタンクのバルブが開いているかどうか、
自らの手で確認した方がいいいと思いますか?
http://diving-commu.jp/questionnaire/item_4760.html
※以下、僕の意見を読む前にアンケートしていただけると幸いです。

もちろん、ダイバー側がバルブの開閉の方向を知っていれば閉めたまま潜る失敗もないのだが、
開いていることを知らないダイバーが閉めてしまう気持ちもわからなくない。
また、開いていることに気がついたとしても、
自分で開けた記憶がないので、「あれ?」と開け閉めの確認をすることになり
2度手間になってしまうこともちょくちょく聞く話。

ガイドが開けて、それを告げないことが一番の混乱を招くのだ。
つまり、最低でも「バルブは開けましたので」とゲストに告げる必要があるが、
難しいことにそれを嫌がるダイバーもいる。

そもそもガイドがゲストのバルブを開けるのは、もちろん開け忘れ防止のためだが、
「自分で把握しておきたい」、「安心したい」という気持ちが根底にある。
しかし、ダイバー側も同じように
「自分で把握しておきたい」、「安心したい」という気持ちがあるのだ。自立したダイバーほど。
「バルブは開けておきました」といわれても、
潜る前に自分で確認したいダイバーも少なくないだろう。

背負ってからバルブを確認するガイドもいるが、
これも毎回毎回、確認されると、子供扱いというかバカにされた気分になってくるという人もいる。
確かに自分に置きかえても、しっかりと開けてから背負っているのに、
毎回確認されるのはちょっと嫌かもしれない。「開いているってば」と。

まずおさえておきたいのは、
やはり、ダイバー本人がバルブを開けて確認するのが基本

とはいうものの、開け忘れが多いからガイドは確認したがるという気持ちもわかる。
であるなら、潜る前に「バルブが開いているか確認してください」とか
「バルブを開いていますか?」と、
ひと声かけて確認する
というのがスマートな着地点だと思うがいかがでしょう?

それでも開けない人がいたらそれはもうその人の責任だし、
「あ、開け忘れた!」と水面でわからせる必要がある。
そもそも、開け忘れたら、バディに開けてもらったり、
自分で開けるくらいのことはできなければならない。

http://diving-commu.jp/divingspirit/item_2380.html

もちろん、例外もあっていい。
例外は例外としてその海に合った特別ルールを作ればいいだろう。

例えば、流れが強くすぐに潜降しなければならない海で、
万が一にも開け忘れを防ぎたい。スタッフ側が把握しておきたい、という場合は、
ゲストがバルブを開けない前提で、
「バルブはスタッフが開けるので、器材を背負って待っていてください」というルール。
これはとあるお店で実際に体験したルールだが、
これはこれでしっかり特別ルールになっているのでありだなと思う。

いずれにせよ、ダイバー側としては、
しっかりバルブの開閉の方向を、考えなくてもわかるようにしておきたい。

最初のころ、こんがらがるようなら、
バルブを開けるときのイメージを自分がわかりやすい動きで覚えるといい。
例えば、〝バイクのスロットルを開ける(右手でバイクのグリップを手前にひねる)〝ように、とか。

 

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writer
PROFILE
法政大学アクアダイビング時にダイビングインストラクター資格を取得。
卒業後は、ダイビング誌の編集者として世界の海を行脚。
潜ったダイビングポイントは500を超え、夢は誰よりもいろんな海を潜ること。
ダイビング入門誌副編集長を経て、「ocean+α」を立ち上げ初代編集長に。

現在、フリーランスとして、ダイバーがより安全に楽しく潜るため、新しい選択肢を提供するため、
そして、ダイビング業界で働く人が幸せになれる環境を作るために、深海に潜伏して活動中。

〇詳細プロフィール/コンタクト
https://divingman.co.jp/profile/
〇NPOプロジェクトセーフダイブ
http://safedive.or.jp/
〇問い合わせ・連絡先
teraniku@gmail.com

■著書:「スキルアップ寺子屋」、「スキルアップ寺子屋NEO」
■DVD:「絶対☆ダイビングスキル10」、「奥義☆ダイビングスキル20」
■安全ダイビング提言集
http://safedive.or.jp/journal
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