現実的な適正ウエイト
我れ潜る。故に我あり。
ダイビング業界で最も嫌われていることのひとつにオーバーウエイトがあると言っていいだろう。
実際、オーバーウエイトが望ましくない論拠は山ほどある。
ウエイトに依存したダイビングなど潜降じゃなくて沈没だ、
必然的にBCで中性浮力を確保しなくちゃいけないから
水中での抵抗が増し余分なエネルギーを使わざるをえない、
エアの消費が早くなる、水中姿勢が悪くなる、水面での浮力確保ができない……
オーバーウエイトは、まさに下手くそダイバーの代名詞である。
これらはすべてもっともな議論だし、パパもんもこれに反論があるわけではない。
しかし、である。オーバーウエイトが敵視され続けるあまり、
少なくともパパもんの目にはアンダーウエイトとしか映らないダイバーさんも多く見かけるのだ。
「適正ウエイトの測り方」はCカードの講習でも最初に教えることのひとつだし、
お気づきの方も多いと思うが、このDコミュのサイトの右バーの中くらいに
クリック診断表として「適正ウエイト」を自動計算してくれる仕掛けもある。
パパもんにはまったく納得がいかないのだが、
パパもんの体格を前提に、使用頻度の一番高い
5ミリのウエット/スチール10リットルタンクで「診断」してみると
「マイナス1キロ」だそうである。それって、どんなウエイトだ?
パパもんが現実的と考える適正ウエイトは
「残圧50、水深3mでBCから空気を完全に抜いて普通に呼吸して中性浮力がとれている」
という状態を確保できる量である。
言うまでもなく、安全停止が確実にできて、
効率よく換気できる呼吸をする事で減圧症のリスクを避けるためだし、
安全停止後も、可能なら1mあたり1分のペースで浮上したいからだ。
ところが特にボートダイブのときに安全停止後、
フィンキックもする事なくふわっと浮いていってしまうダイバーさんを多く目にする。
これはコントロールされた浮上と言えないだろう。
減圧症の可能性どころではなく、肺の過膨張障害、
水面衝突などの危険も発生しかねない。
以前はパパもんも少ないウエイトこそが上級ダイバーの証とばかりに
無理にウエイトを減らし、安全停止中は肺を極力膨らませない吐き気味呼吸で何とかしのぎつつ、
最後はピュと浮上してしまうなどという本末転倒な事をやっていた。
ボートに上がってしばらくは二酸化炭素中毒の頭痛に悩まされ続けていたくせに、
それがカッコイイと思っていたが、今は意図的にオーバーウエイトで潜っている。
ビデオ派ダイバーであるパパもんは身体を安定させる為に
確実に着底したい場合があるということもひとつの理由だが、
万一の時に浮いてしまいそうになった他のダイバーさんにすぐ渡せるよう、
BCの胸に自家製の砲弾型「ガッチャン・ウエイト」を2キロつけているのだ。
このガッチャン・ウエイト、結構活躍する機会が多くて、自分では気に入っている。