宮古島サスティナブルツーリズム 持続可能な観光地を目指した独自のガイドラインとは

2023年より宮古島では、美しい宮古島の自然を観光地として楽しんでもらいながら、次の世代に残していくための取り組み「宮古島サスティナブルツーリズムガイドライン」の運用を開始しました。美しい宮古島の自然を観光地として楽しんでもらいながら、次の世代に残していくための取り組みです。海を愛するダイバーとして知っておきたいこの取り組みについて、サスティナブルツーリズム連絡会事務局の春川京子さんに、背景や訪れる人に守ってほしいことなど寄稿していただきました。

宮古島サスティナブルツーリズムガイドラインとは?
その背景に迫る

観光客の増加と課題

サンゴ礁が隆起してできた宮古島は、「宮古ブルー」と言われる透明度抜群のエメラルドグリーンの海、白い砂浜を有し、1年を通して国内外から多くの人々が訪れます。日本最大級のサンゴ礁「八重干瀬(やびじ)」や無数の地形スポットは、多くのダイバーやシュノーケラーを魅了してやみません。

しかし、観光客の増加にともない、自然環境への影響や、地域の暮らしとの摩擦、そして観光事業者間のトラブルや水難事故の増加など、課題も多くなってきました。

そんな中、2020年から宮古島観光協会を中心に委員会を設置し、環境保全と安全の両面から持続可能な観光を実現するためのガイドライン策定にとりかかりました。そして、2023年に島の統一ルールとして「宮古島サスティナブルツーリズムガイドライン」(以下ガイドライン)が作られました。

宮古島の未来を守るために
訪れる人ができることとは

サスティナブルツーリズムとは、地域の経済、社会、環境への影響を配慮し「持続可能な観光」を目指す新しい旅のスタイルです。経済性を重視するあまり地域が疲弊することがないように、旅行者、観光産業、自然、地域の需要を満たし、それぞれへの影響を十分考慮に入れた観光が求められています。

ガイドラインの策定、周知や運用は、宮古島観光協会、宮古島市、沖縄県、環境省、警察、海上保安部、漁業協同組合、マリン事業者などで構成された「宮古島サスティナブルツーリズム連絡会」が担っています。

ガイドラインは、「海の安全」「地域への配慮」「自然環境を守る」の3つの体系に分かれており、市民、旅行者、観光事業者を対象に、それぞれの行動指針を示しています。

宮古島を訪れるときに、ガイドラインを遵守しているツアーを利用すること、ガイドラインを守って行動することは、「宮古島の未来を守る」大切な力になります。

認証制度のスタート

2024年より、「ガイドライン」を遵守するマリン事業者の「認証制度」がスタートしました。この認証は、自然環境への配慮、安全管理、地域との共生といった観点から事業者を評価するもので、「信頼できる事業所」を選ぶ際の目安になります。

安全のために、ガイドラインを遵守している認証店を利用ください。

宮古島を訪れるみなさまへ

近年、世界の観光産業で「レスポンシブル・ツーリズム」という言葉がよく聞かれます。旅行先の地域の生活や環境に与える影響に責任を持ち、旅行先に配慮する考え方です。宮古島の「ガイドライン」では、旅行者向けに、地域に配慮し安全に楽しんでもらうための指針を示していますので、いくつか紹介します。

自然環境を守る

サンゴの上に乗らない、サンゴにフィンをぶつけない、生き物には触らない、餌を与えない、サンゴに優しい日焼け止めを使う、などは、海や自然の中で楽しむために、海の生き物、環境を守る大切なアクションです。また、ごみは放置すると美しい景観を台なしにしてしまうだけでなく、野生の動植物に悪影響を与える場合があります。自分のごみを持ち帰るのはもちろんのこと、ごみの削減を心がけ、もし海やビーチでごみを見つけたら、ぜひひとつ拾ってみてください。

海の安全

マリンアクティビティを楽しんでいる最中に天候が悪くなると、強い風や落雷、高波などによる危険が増します。また浮き輪やSUP(スタンドアップパドルボード)などは風の影響を受けやすく、あっという間に流されることも少なくありません。天候の変化に注意し、波が高いときや悪天候の場合は海に入るのをやめましょう。そして、シュノーケリングやシーカヤック、SUPなどを楽しむときは、必ずライフジャケットを着用してください。

また、1人では泳がず、飲酒時や体調が悪いときには絶対に海に入ってはいけません。宮古島の海の地形や潮流はとても複雑です。安全のために大切なのは、ガイドラインを守っている信頼できる事業所のツアーへ参加することです。

地域への配慮

宮古島は、海の近くでも観光スポットではない住宅地、集落がたくさんあります。“観光地”であると同時に、人々の“暮らしの場”であることを理解いただき、地元の文化や風習、暮らしを尊重し、立ち入り禁止の神聖な場所には入らない、迷惑駐車をしない、水着のままで街を歩かない、などの配慮をお願いします。旅行者と地元の人が気持ちよく過ごすために、お互いのマナーや心遣いが大切です。

手つかずの自然、文化が残る宮古島は、決して「永遠」の存在ではありません。宮古ブルーの美しい海とサンゴ礁、脈々と承継されてきた伝統や文化、離島ならではの多様な生態系、これらは、すべて、先人たちによる努力と、自然の営みの中でつながれてきた宮古島の宝物です。

受け継がれてきた宮古島らしさを守り育むため、旅行者・市民・事業者が手を取り合い、尊重し合いながら、未来へ繋ぐアクションに取り組んできましょう。「守りながら楽しむ」そんなサスティナブルな選択が、旅をもっと特別なものにし、ただの観光以上の深い体験になるかもしれません。

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もっと詳しく知りたい方はこちら
▶︎宮古島観光協会公式情報サイト(宮古島サスティナブルツーリズム連絡会事務局)
▶︎宮古島サスティナブルツーリズム連絡会 マリン事業者部会
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