減圧症事件② 発症
皆さん、多くの書き込みありがとうございます。
じっくりと読み返しています。
皆さんの憤りの書き込みは、
Mさんの精神的な助けになっていると思います。
さて、昨日からの続き。
質問があった日の翌日、Mさんより1通のメッセージ。
【以下、メッセージ抜粋】
減圧症になってしまいました……(泣)
しばらく潜れないです。
右腕と右足がなっちゃって、
痛くて痒くて、ペットボトルも開けられなくなっちゃって。
今日、医歯大で、チャンバー入ってきました。
さっき終わったトコです。
今週中にあと2回入らなくてはならないそうです><。
でも、今日チャンバーに入ったら、
パソコンぐらいは打てるぐらいにまで治りました!
うー……でも、やっぱりショックです。
悲しくて悔しくて、やり切れません……><
今夜一晩は、泣いて過ごします。
今はまだ、Ryopaさんのように、明るくふるまえないや。
このメッセージを受け取ったとき、ドキッとした。
怒りなのか、同情なのか、
軽く考えていた自分への落胆なのか、
うまく感情を表現できないのだが、
とにかく心臓がドキッとした。
冷静に「どうしたものか」としばし考えてみる。
僕が気がかりな点は2点あった。
まずは、裁判になったときのこと。
僕はMさんの言うことを信じているが、
裁判というゲームでは冷静に攻略法を考えなければならない。
白が黒、黒が白になるのが裁判というゲームである。
減圧症になった原因は、
その無茶苦茶な社長とのダイビングだと
個人的には思うのだが、
減圧症とその原因となったとされるダイビングとの
因果関係を証明することは非常に難しい、とまず考えた。
車にひかれた、人に刺された、なら
明らかに運転手、刺した人が悪い。わかりやすい。
また、腫瘍があるなら、ガンと診断するのは簡単。わかりやすい。
しかし、減圧症というのは、
そもそもそれ自体が曖昧なものなのだ。
診察にしても、レントゲンに写るわけでもない。
基本は触診と問診。
しかも、ダイビング以外の要因も大きい。
年齢や体重などの個人差や体調によっても違う。
ダイコンを守っていても減圧症になる人はなるという現実。
極論を言えば、急浮上と減圧症の因果関係が必ずあったかどうかということは、完全に明確にすることはできない。
また、ダイビングの自己責任という原則。
講習のイントラと違って、
ファンダイビングでのガイドの役割というのも曖昧だ。
減圧症の裁判というのは非常に難しいのだ。
もう一度言うが、僕はMさんの言う事を信じている。
しかし、ゲームの攻略法が見つからないのに裁判を起しても、
本当にMさんのためになるか疑問に思った。
人は「訴えろ」と簡単に言うが、
裁判費用や精神的な疲労に対して、
それに見合う答えが返ってくるのか、
僕はまず疑問に感じたのだ。勝ったとしてもだ。
業界や社会的には訴えることがいいとも思うが、
まず個人を最優先すると、本当に裁判が最善なのか、
よく考える必要がある。
とはいうものの、今回のケースは“手を引っ張られた”という
ことが最大のポイント。これは突破口となる。
証言者もいる。ダイコンのプロフィールもある。
医師の診断書もある。
ゲームに勝てる可能性がある。
民事は当たり前だが、刑事もやってみる価値はある。
なので、裁判もひとつの選択肢にもちろんある。
ただ、この時は、まず“示談”が最善だと考えた。
相手の誠意ある対応を期待した。
それは、裏切られることになるが……。
もう1点の気がかりは自分の立場。
まず、記者として、
こういったことは“裏を取る”ことと
“争う双方の取材”が基本。
僕はこれをしていない。
そして、これを行う事は僕にとってハイリスク。
詳しくは言えないが、この案件に深く関わることにより、
仕事をすべて失う可能性がある。
つまり、情けないことに保身という話である。
しばらくモヤモヤと考え込む。
そして、「考えていても仕方ない!」と思うに至り、
とにかく動いてみることにする。
やはり、このこと自体は許せないし、
僕を信頼してメッセージをくれたMさんのために
何かできないようでは、和尚の名がすたる。
まずは「Mさんに会ってみよう!」と決意しアポを取る。
おせっかいながら、
お話を聞くだけでもMさんが救われることも
あるかもしれないし、
具体的な解決策も浮かぶかもしれない。
自分のポジションもそれから決めればいい。
それに、会わずにメールだけを信用するのも
記者としてマズイ。
そして、Mさんとの対面。
※明日に続く。