さらば苦痛なロギング!?
「ブリーフィングやロギングが苦痛」
こんな声を打破するようなおもしろいセミナーに参加。
主催は“NPO・日本安全潜水教育協会”通称“JCUE(ジェーキュー)”。
潜水医学、環境問題、潜り方、潜水事故など、
あらゆる面で日本最高レベルの情報が集まる団体で、
僕の連載でもここで得た情報を噛み砕いて伝えることもある。
つまり、パクッております。てへっ。
さて、セミナーの話。
“ファシリテーション・セミナー”と呼ばれるこのセミナーは、
その名の通り、ファシリテーションのスキルをダイビング界にも取り入れようとする試み。
ファシリテーションとは、
僕の解釈で簡単に言えば“話し合いの交通整理”をすることで、
会議やシンポジウムなど、あらゆる面で活用されつつある。
ファシリテーターは、
会議で声が大きい人や権威ある人の意見だけが通るのではなく、
参加者全員の合意形成が成される方向へ進める役割を担う。
※ファシリテイションとは
講師の青木将幸さんは「国際サンゴ礁年・ダイバーズミーティング」などで活躍するほか、
身近なところでは、離婚間近の夫婦に間に入って合意形成が得られる状況を
促すこともやっているとのこと。家庭内別居中の方はぜひ青木さんへ(笑)。
セミナーは終始和やかに
一番右が青木さん
今までダイビングでは、“教える”という一方向の方法論は進んできたが、
双方向の方法論はあまり話し合われてはこなかった。
その結果が、
ブリーフィングでの「何が見たいですか?」と
“ダイビングは魚を見るもの”と決めてしまうガイドのひと言であり、
ロギングがコースを書いて魚の名前を教えるというワンパターンであった。
ここにファシリテーションのスキルを取り入れると、
例えばブリーフィングでは、参加者のダイビングへの期待を知るために
「今日はどういう風に過ごしたいですか?」と聞くとか、
参加者が答えやすいように
「次のうちどれがいい? A魚を見る B浮遊感を……」と
5択から選ばせるなどの方法論を青木さんは示す。なるほどなぁと。
ロギングでも魚に興味がない人も結構いる(個人的には結構多いと思うのだが……)。
しかし、グループの合意形成の方向が恋バナだったら、
そこに魚の話を絡めてダイバーらしく恋バナしたっておもしろい。
例えば主婦ダイバーグループ。
主婦A:「旦那には内緒だけど、私の子供一人だけ旦那の子供じゃないのよね」
主婦B:「え! ちょっとそれヒドくな〜い?」
ガイド :「ひとつのイソギンチャクにいる大きいクマノミと小さいクマノミは親子と思われていますが、
実はまったくの他人なんです。魚の世界ではよくあることですよ」
主婦A「あら、いいこと言うわね。自然の摂理ってものよね〜」
主婦ダイバーたちはヤイノヤイノ大満足してロギングを楽しむだろう(笑)。
もちろん、完全な参加者型ではなく、
プロのガイドから強引に伝えるべきこともある。
大事なのは伝える割合とみんなで考える割合を意識的に行なうことだろう。
ファシリテーションのスキル。
退屈なロギングとおさらばできる可能性を感じ、
僕もイントラとして、取材者として、もう少し突っ込んで知りたいと思った。