口永良部島のダイビング基本情報。黒潮の恩恵を受ける火山島の豊かな海

口永良部島(くちのえらぶじま)」という火山島をご存じだろうか。豊かなサンゴ礁、海底温泉、そして大物との遭遇が期待できるこの島は、知る人ぞ知るダイビングの地。本記事では、口永良部島とは一体どんな島なのか、そしてダイビングの見どころまでご紹介!

口永良部島ってどんな島?

口永良部島は、鹿児島県の南西約130km、屋久島の北西約12kmに浮かぶ、鹿児島県熊毛郡屋久島町の島。ひょうたん型をした火山島で、「水の島」と呼ばれる屋久島とは対照的に「火の島」と呼ばれることもある。

長径約12km、周囲約49.7km、面積約35.8k㎡の島は火山活動によって形成され、緑豊かな森林や山、そして良質な温泉も湧き、周囲の海は黒潮の恩恵を受け、とても豊かな生態系が育まれている。 亜熱帯に位置するため沿岸部の平均気温は、約20度と温暖な気候だ。島全域が国立公園で、2016年にはユネスコエコパーク(※)に認定されているほど。人口は107人(2023年現在)。

※ユネスコエコパーク:豊かな生態系を有し、地域の自然資源を活用した持続可能な経済活動を進めるモデル地域。自然保護と地域の人々の生活とが両立した持続的な発展を目指すもので、2022年6月現在134か国738地域、うち国内は10地域が認定されている。

緑豊かで、のどかな雰囲気が漂う(写真提供:DIVEANCHOR⁺)

緑豊かで、のどかな雰囲気が漂う(写真提供:DIVEANCHOR⁺)

口永良部島へのアクセス方法

口永良部島へのアクセスは、屋久島から1日1便運航しているフェリーを利用するのが一般的。屋久島の宮之浦港から口永良部島の本村港までの所用時間は1時間40分ほど。

ここで覚えておきたいのは、口永良部島では島内の移動手段にはバスやタクシーなどの公共機関はなく、各自移動手段を用意する必要があるということ。宿によっては港までの送迎を行っているところもあるので、直接問い合わせてみよう。

屋久島へのアクセスはこちらをチェック

口永良部島でのダイビングスタイル

口永良部島でダイビングを楽しむ方法は、口永良部島にあるダイビングサービス、もしくは屋久島にあるダイビングショップを利用し、屋久島から船で行く2通り。

屋久島から船で行く場合の乗船時間は、ポイントにもよるが約1時間程度。ダイビングショップによっても異なるが、日帰りツアーか1泊ツアーが基本。朝の出発時間もその日によって異なるためダイビングショップに確認しておこう。

口永良部島のダイビングポイント

黒潮の影響を受けて口永良部島の周囲には豊富な種類の生き物が生息しており、大型回遊魚とも遭遇する可能性があったり、火山島ならではの水中に湧き出ている温泉を楽しめるポイントがあったり、屋久島とはまた違った体験をすることができる。

しかし、口永良部島でのダイビングは、海況や参加人数などによっていつでも行けるわけではない。新しいダイビングポイントを開拓中であったり、ダイビングショップによっても入るポイントがさまざま。ここでは代表的な3つのポイント「岩屋泊(いわやどまり)」、「寝待(ねまち)」、「野崎(のざき)」を紹介しよう。

屋久島から口永良部島の道中ではイルカと遭遇することも(写真提供:DIVEANCHOR⁺)

屋久島から口永良部島の道中ではイルカと遭遇することも(写真提供:DIVEANCHOR⁺)

(写真提供:DIVEANCHOR⁺)

口永良部島の癒しポイント「岩屋泊」

岩屋泊(いわやどまり)は、環境省によるサンゴの被度を毎年調査する「サンゴ礁調査」の場所にもなっているだけあって、一面に広がるサンゴの群生が見どころのひとつ。サンゴの周りにはキンギョハナダイやハナゴイの群れ、そして砂地にはキンメモドキが群れており、のんびりとしたダイビングを楽しむことができる。

鮮やかな小魚の群れに癒される(写真提供:DIVEANCHOR⁺)

鮮やかな小魚の群れに癒される(写真提供:DIVEANCHOR⁺)

(写真提供:DIVEANCHOR⁺)

温泉が湧き出る「寝待」

寝待(ねまち)は水中に温泉が湧き出しているポイント。砂地から温泉がポコポコした気泡と一緒に湧き出ており、温かくて気持ちいい。周囲には温泉成分が固体として残った湯の花が。温泉成分が凝縮されているため、温泉の性質によっても異なるが、疲労回復、冷え性や関節痛の緩和、さらに美肌などの効果も期待できるというので、ぜひ寝待に行った際にはお肌に塗ってみてもいいかも!?

白い部分が湯の花(写真提供:DIVEANCHOR⁺)

白い部分が湯の花(写真提供:DIVEANCHOR⁺)

(写真提供:DIVEANCHOR⁺)

大型回遊魚を狙う「野崎」

野崎(のざき)はギンガメアジの群れやイソマグロなどの回遊魚と遭遇する確率が高い人気のポイント。また、冬から春にかけて、運が良ければハンマーヘッドシャークに遭遇することもあるんだとか…!100匹単位の群れが見れたことも⁉︎

いつどんな生物が出てもおかしくないワクワク感がある(写真提供:DIVEANCHOR⁺)

いつどんな生物が出てもおかしくないワクワク感がある(写真提供:DIVEANCHOR⁺)

(写真提供:DIVEANCHOR⁺)

(写真提供:DIVEANCHOR⁺)

多くのダイバーの憧れでもあるハンマーヘッドシャーク(写真提供:DIVEANCHOR⁺)

多くのダイバーの憧れでもあるハンマーヘッドシャーク(写真提供:DIVEANCHOR⁺)

屋久島町ではこんな取り組みも!

屋久島町では、ふるさと納税の寄付金を活用し、地元ダイバーによる海底海岸清掃を中心とした海の環境保全活動「海・川・山の繋がりで豊かな屋久島の自然を守る!プロジェクト」を行っている。写真は2023年11月に口永良部島のダイビングポイント「岩屋泊」の海底とポイント目の前の海岸(海側からしか行けない場所)の清掃を実施した時の様子。美しく豊かな海が広がる一方で、たくさんの漂着ごみが溜まり、生態系や景観に脅威が迫っているも事実。美しく豊かな海を保全するためにも、海洋ごみについて日頃から意識してみよう。

▲海底清掃の様子。サンゴに大量の魚網や釣り糸が絡んでいる

▲海岸清掃の様子。大きめの漁具(ブイなど)や生活ごみ(ペットボトルなど)が大量に
この活動についてもっと見る

ダイビング以外のアクティビティ

ダイビングと一緒にぜひ楽しんでいただきたいのは、口永良部島の趣ある源泉掛け流しの温泉。口永良部島には本村(ほんむら)温泉、西の湯(にしのゆ)温泉、寝待(ねまち)温泉、湯向(ゆむぎ)温泉の4つの温泉があり、どのお湯も泉質や効能が異なる。ダイビングショップにリクエストしてアフターダイビングでは、温泉に浸かって体を癒して帰ろう(※)。

※減圧停止を必要とするダイビングをした後や無減圧潜水時間ぎりぎりのダイビングをした後に温泉に入り、体温を上げると減圧症のリスクが高まる可能性もあるため注意が必要
※一部利用できない温泉もあるので、行く前にはご確認を

▲海岸にひっそりとたたずんだ漁師小屋のような西の湯温泉

屋久島を訪れた際には、口永良部島にも足を伸ばして、ぜひ唯一無二の美しい海も楽しんでみては。一度潜ったらハマってリピーターになる方も多いという、未知の魅力溢れる口永良部でのダイビングにも挑戦してみてはいかがだろうか。
また、屋久島町や屋久島スキューバダイビング事業者組合は、2024年4月5日から7日まで池袋で行われるマリンダイビングフェアに出展予定!ぜひこの機会に屋久島の情報を直接聞いてみよう!
▶︎マリンダイビングフェアの詳細はこちら

写真協力:DIVEANCHOR⁺
マクロ・フォトダイブからドリフト・屋久島発の離島遠征まで、DIVEANCHOR⁺でしかできない屋久島ダイビングを提供。経験豊富な3名のガイド陣と自社船「うさ丸」で、ゲストのニーズ・ランク・本数・スタイルに合わせて屋久島の海をご案内!

屋久島の海の環境保全を応援しよう!ふるさと納税の寄付はこちらから

「海・川・山の繋がりで豊かな屋久島の自然を守る!プロジェクト」はふるさと納税の寄付金により行われている。屋久島の海の保全を応援しながら、返礼品の本格芋焼酎「三岳(みたけ)」やおつまみにぴったりのサバ節、屋久杉を使用した工芸品やヤクシカの革小物、地ビールやたんかんなど屋久島の名産品を手に入れよう!
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悠久の流れの中で、自然と共に生きる知恵と多様な集落の文化がとけあい、人々の営みが循環・持続させていくことを「まちづくり基本理念」とする屋久島町。住民・集落と行政がこの基本理念を共有しながら、「対話」と「協働」により、それぞれの役割・責任を分担しあう『屋久島スタイル』のまちづくり形態を創りあげ、新しいまちの姿(将来ビジョン)の実現を目指している。
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PROFILE
0歳~22歳まで水泳に没頭し、日本選手権入賞や国際大会出場。新卒で電子部品メーカー(広報室)に入社。同時にダイビングも始める。次第に海やダイビングに対しての想いが強くなりすぎたため、2021年にオーシャナに転職。ライターとして、全国各地の海へ取材に行く傍ら、フリーダイビングにゼロから挑戦。1年で日本代表となり世界選手権に出場。現在はスキンダイビングインストラクターとしてマリンアクティビティツアーやスキンダイビングレッスンを開催。
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