屋久島ダイビングの基本情報 亜熱帯と温帯の生き物が混在する豊饒の海

日本で初めて世界自然遺産に登録され、30年以上となる屋久島。陸の自然もさることながら、実は海も見どころ満載。黒潮がぶつかり、陸から川の流れに乗って豊かな栄養分が流れ込む屋久島の海でのダイビングは一体どんなものなのか。

屋久島の基本情報

屋久島ってどんな島?

鹿児島市の南方約135kmに位置する、周囲約132km、面積約504k㎡の島。ほぼ円形の島には九州最高峰の宮之浦岳(1,936m)を筆頭に、標高1,000m以上の山々が連なる。その標高差により、山頂には冷温帯、海岸線には亜熱帯の植生が見られ、さらに年間降水量が山地では8,000mmを超える多雨環境に適した渓流植物や着生植物を含む特殊な生態系を有している。

屋久島へのアクセス

屋久島へは空路と海路で行くことができる。飛行機は1日に鹿児島空港から4〜8便、大阪・伊丹空港から1便、福岡空港から1便運航されていて、船はフェリーが鹿児島港から1便、高速船が5~6便出ている。いずれもシーズンや海況などによってスケジュールは変わる可能性があるので、公式サイトを確認しよう。


詳しくは屋久島観光協会公式サイト

屋久島のシーズナリティ

“豊穣の海”屋久島の海の特徴

赤道付近から流れる黒潮がぶつかる屋久島の海は1年を通して透明度が高く、豊かなサンゴ礁が広がる。黒潮が生き物を運び、また、屋久島の高い山々から流れる川は森の豊かな栄養分を海に運び、生き物たちを育む。その海には950種以上の生き物が存在するといわれる。過去には、全国一斉にダイバーが海に潜り、カメラで確認した魚の種類の数を競うコンテスト「フォトデゥポアソン」(日本水中活動協会、水中映像委員会主催)で、過去3年連続日本一にもなったほど。温帯と亜熱帯の生き物が同じ海域で見られるのもこの海の特徴だろう。

ウミガメの産卵場所としても国内有数で、アカウミガメやアオウミガメが通年見られ、体験ダイビングやシュノーケリングでも人気の見どころの一つとなっている。また、陸地から急峻な地形が海面下まで続いているため、島回りの潮当たりが良く、イソマグロやツムブリ、ロウニンアジなどの回遊魚が島の近くで見られるのも驚きだ。

屋久島のダイビングスポット

島の周りにはダイビングポイントが点在しているが、拠点となるのは北部の一湊(いっそう)という集落。ここの港からボートで出て、北部から西部にかけてのエリアを潜るのが一般的だ。ダイビングショップは宮之浦や安房(あんぼう)など、複数の集落に点在しており、各ショップに集合または送迎してもらってから、ガイドが港へ連れて行ってくれる。

屋久島のメインダイビングスポット「一湊エリア」

北部の集落「一湊」は屋久島のメインのダイビングスポット。ビーチ、ボートどちらのポイントもあり、ボートポイントはどこも港から15分以内で着く。湾のようになっているので比較的穏やかで、初級者から上級者まで楽しめる。
「お宮前」、「タンク下」、「横瀬」といったポイントは湾とはいえどほぼ外洋に近いので、ツムブリの群れやイソマグロ、ロウニンアジなど回遊魚がしばしば見られる。サンゴ礁が広がり、魚影も濃く人気のポイントだ。ワイドだけでなく、ピグミーシーホースやホタテツノハゼ、さまざまなウミウシなど、マクロも楽しめる。

キンギョハナダイの群れ「横瀬」にて

キンギョハナダイの群れ「横瀬」にて

戦闘機の残骸と思われる「ゼロ戦」にはキンメモドキが群れ、アザハタが主のようにどっしりと構えている。そっと残骸を覗くとサラサエビやホワイトソックスシュリンプが顔を出す。

「漁礁」では人懐っこいツバメウオたちが寄ってきたり、クリーニング中の姿を見せてくれたりする。ムレハタダイの群れもお出迎え。

中・上級者向けダイビングスポット「永田エリア」

島の北西部にある「永田」周辺のダイビングポイントは流れが速いので、中・上級者向け。大物との遭遇率の高い場所で、過去にはマンタやハンマーヘッドシャークが現れたことも。

ニザダイの群れ

ニザダイの群れ

南国感あふれる「栗生(くりお)エリア」

提供:エバーブルー屋久島

提供:エバーブルー屋久島

「栗生」は島の南西部に位置するビーチポイント。浅瀬にミドリイシ系のサンゴ礁が広がり、ウメイロモドキやキンギョハナダイが群れる南国感のある場所。白い砂地や地形も見どころだ。

屋久島から遠征「口永良部島エリア」

屋久島の北西部の位置する火山島「口永良部島」。黒潮の恩恵を受けた豊かな海洋生態系が特徴で、サンゴ礁や大型回遊魚が見られるポイントがあり、海底から湧き出る温泉も。屋久島からはフェリーで1時間半ほどの場所で、口永良部島に泊まって潜ることも、屋久島から上陸せずに周辺を潜ることもできる。

「岩屋泊」はサンゴの群生が美しく、「寝待」では水中温泉を体験でき、「野崎」ではギンガメアジの群れやハンマーヘッドシャークに遭遇する可能性も。まだまだ開拓中で、海況や参加人数によって必ず行けるわけではないが、潜ってみたいエリアの一つだ。

口永良部島

口永良部島のダイビング

屋久島のダイビングスタイル

屋久島では北部の一湊の港からボートダイビングをするのが一般的。朝ショップに集合し、ショップの車で港まで向かう。午前2本、オプションで午後1本で、15時過ぎくらいには宿に戻るようなスケジュール。港からポイントまでは15分以内と近いので、1本ずつ港に戻ってくる。港にあるトイレが使用できるので、船に弱い人やトイレが近い人でも安心。
ショップによってはナイトダイビングや早朝ダイビングもリクエストできるので、各ショップのHPをチェックしてみよう。

陸の観光で山・川・海のつながりを感じよう

せっかく世界自然遺産に登録されている屋久島に行くのであれば、陸の自然も体感して欲しいところ。映画「もののけ姫」の森の舞台にもなったと言われる「白谷雲水峡(しらたにうんすいきょう)」や樹齢1000年を超える屋久杉の森などをトレッキングしてみてはいかがだろうか。ただし人気の縄文杉は標高が高いため、ダイビング後に行くと減圧症のリスクが高まる。そのためダイビング前に行った方が良いが、1日がかりで行くその道のりは決してたやすいものではないので本格的な登山の装備が必要だ。また、山と海を結ぶ川でのSUPやカヤックもおすすめだ。屋久島は山・川・海、そして集落が近いので、ぜひ陸も散策して繋がりを感じていただきたい。

屋久島公認ガイド

屋久島で山・川・海を観光するならおすすめしたいのがガイド付きのツアーだ。屋久島には屋久島町が認定する「公認ガイド」という制度が存在する。特別な試験をクリアして、屋久島町からの公認を受けたガイドで、安全やルールに関する知識や対応はもちろん、屋久島の自然の見どころや島の生活や文化、その他見どころに精通している。山・川・海それぞれのプロフェッショナルが登録されているので、屋久島をより深く知って楽しむのであれば、陸の観光でもぜひ彼らのツアーに参加してみてほしい。
▶︎屋久島公認ガイド公式HP

世界遺産の屋久島を潜って自然にどっぷり浸かろう

世界遺産に登録されて今年で30周年の屋久島は、海も陸も自然の力強さを感じられる島。陸の自然がフォーカスされることが多いが、生物多様な“カオス”な海に一度潜ればハマること間違いなし。

Special Thanksエバーブルー屋久島

日本のみならず世界中から訪れるゲストに、スピリチュアルな癒しの島の魅力を伝えるべく、2008 年春から『アクティブに癒す』をコンセプトに、屋久島で海や山のアクティビティを提供している。ダイビングで案内するポイントは、島の全域を網羅し、お客様の日程や希望に合わせてご提案。早朝ダイブやナイトダイブも可能。
TEL 0997-42-0505
鹿児島県熊毛郡屋久島町宮之浦2351 -47

屋久島スキューバダイビング事業者組合加盟店一覧

アクアスタイル
エバーブルー屋久島
志戸子ダイビングサービス
ダイビングショップMasterpiece
ダイビング・ボートサービス勝信丸
ダイブ・アンカー
ダイブ・モダマ
マリンクラブ カイオロヒア
まる
屋久島ガイドクラブ
屋久島ダイビングガイド 夢心地
屋久島ダイビングサービスもりとうみ
屋久島ダイビングスクールたつのこ
屋久島ダイビングセンター
屋久島ダイビングライフ
屋久島ダイビング潜り屋

\屋久島町にふるさと納税をしよう!/
屋久島町ではふるさと納税の資金を使い、海を含めた水辺の保全活動も行っている。返礼品としては本格芋焼酎「三岳(みたけ)」やおつまみにぴったりのサバ節、屋久杉を使用した工芸品やヤクシカの革小物、地ビールやたんかんなどが用意されているそうだ。潜って楽しい豊かな海を守りながら、屋久島の名産品がもらえる、ふるさと納税「だいすき基金」の詳細は「屋久島町ふるさと納税ウェブサイト」をチェック!

▶︎関連記事:ふるさと納税で屋久島の海をきれいに! ダイバーたちが世界遺産の海を次世代に繋ぐ

Sponsored by 屋久島町

悠久の流れの中で、自然と共に生きる知恵と多様な集落の文化がとけあい、人々の営みが循環・持続させていくことを「まちづくり基本理念」とする屋久島町。住民・集落と行政がこの基本理念を共有しながら、「対話」と「協働」により、それぞれの役割・責任を分担しあう『屋久島スタイル』のまちづくり形態を創りあげ、新しいまちの姿(将来ビジョン)の実現を目指している。

取材協力:屋久島スキューバダイビング事業者組合(有)屋久島野外活動総合センター・松本毅、GREEN MOUNT・加藤朗史、屋久島公認ガイド・中馬 慎一郎、船主会
 

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