金環日食の水中撮影、結果やいかに!?
本日2012年5月21日は、本州では129年ぶりとなった「金環日食」。
朝からこの話題でもちきりで、実際にその目で見た方も多いだろう。
ここで気になるのは、以前この場で紹介した
高知県・甲浦の「水中から金環日食を撮ろう!」企画。
早速、特派員オランクダイバーズ・福井宣博さんの作品をご紹介しよう。
世紀の……一瞬!?
ふむ。写真の解説が必要なようだ(笑)。
夜明けとともに船を出した福井さん一行、4人のダイバーたち。
前日まで予定していたポイントは白波と大きなうねりで撮影には不向きと判断。
早朝6時、急遽、甲浦港内の講習などで使う『あそずビーチ』へ。
しかし、エントリーしてみると水中には浮遊物が舞い透明度もいまいち……。
おまけに空を見上げたら、朝方まで広がっていた青空は姿を消して、
厚い雲に覆われた状態。
福井さんたちは、まだ金環まで2時間近くあったこともあり、
「撮影ポイントを探しながら、祈るような気持ちでした」。
撮影ポイントを決めた一行。あとは日食を待つばかり。
日食が進むにつれて、水中は夕方のように暗くなっていき、
心臓も高鳴り、緊張感も高まってくる。
まさにその瞬間が訪れる少し前、
雲の隙間から太陽光が差し込んだところで撮影してみるも、肝心の日食は写らず……。
金環日食10分前の水中 (写真提供/金本尊行さん)
状況はどんどん悪くなり、水面から顔を出して空を見上げてみると、
金環日食どころか太陽は雲の向こう側。
そして、7時26分前後。
まさに世紀の一瞬に撮影したのが最初の一枚というわけだ。
「呆然と空を見上げる弊店スタッフを撮ることになってしまいました。
私自身もきっとあの雲の向こうで見事なリングを作っているんだろうなぁと
水中で妄想を広げておりました」と残念そうな福井さん。
この10日間、各メディアの注目が集まったこともあり、
様々な撮影機材を用意したり、自作したりと、ほとんどこの撮影のために
時間を費やしてきた福井さんの努力はまさに水の泡。
「練習する中で、自分なりのイメージと手ごたえもありました。
何度も練習した結果、フィルターをつけて撮った太陽光は、
きれいな波紋になることを発見。金環日食では、おそらく、
水面から差し込んだ光が波紋の輪になって、
いくつもの金環が出来るのでは!?
とそんな写真を撮る練習をずっと続けてきましたが、
結果……実らず。悔しい〜」
日食前に練習で撮影した写真。
「このようなきれいな波紋の写真が撮れることをイメージしていました」
それでも、と福井さんは言う。
「ただ本当に久しぶりに、何かに取り付き、
燃え上がる自分を感じられたことが今回最大の収穫でした。
ともに撮影に挑んでくれた皆様方にこの場を借りて感謝申し上げる次第です」
■写真・情報提供/福井宣博