慶良間諸島が国立公園に指定されたことによる影響とは
2014年3月5日(水)、環境省は沖縄県の慶良間諸島と周辺海域を国立公園に指定しました。
“サンゴの日”に合わせたという国立公園は全国で31番目!
新たに国立公園が指定されるのは1987年の北海道・釧路湿原以来27年ぶりで、沖縄県内では、1972年の西表石垣国立公園以来、2番目となります。
今回の国立公園指定区域は、渡嘉敷島と座間味島を中心とした、大小約30の島々「3520ヘクタールの陸域」と「90475ヘクタールの海域」。
ヘクタールって言われても・・・という方、いらっしゃいますよね?
東京ディズニーランド(51ヘクタール)とディズニーシー(49ヘクタール)を足すとちょうど100ヘクタール。
つまり、陸域でディズニーリゾートの約3.5倍、海域では約900倍となります!
海域の指定は通常沖合1キロ程度とされていますが、慶良間諸島の場合はザトウクジラの繁殖領域を保護する目的で沖合7キロ(90475ヘクタール)まで広く取られました。
またこの度「海域公園地区」というものが指定されました。
海岸から水深30mまでの範囲です。
海域公園地区は、多様なサンゴ約250種が高密度で生息する場所で、サンゴの採取や土砂採取、海里埋め立てなどの開発行為を厳しく規制しています。
渡嘉敷島にダイビングショップを構える、VIBGYOR(ビブジョー)の番田武六さんに3月5日のことや国立公園になったことについてなどの感想お話を伺いました。
---
国立公園になった3月5日、島の様子はどんな感じでしたか?
番田
朝から取材を受けるなど、バタバタしていました。
取材の間で僕は、渡嘉敷ダイビング協会がサンゴの日に合わせて開催した「サンゴの植えつけ」のイベントに参加していました!
参加者は島のダイビングサービスの人と島外から来た一般のお客さんで、総勢21人でのイベントとなりました。
その時の様子の画像を頂きました!
---
やっぱりサンゴの植えつけって人気があるんですか?
番田
目に見えて、一般の方でも一番理解しやすい保全活動だと思うので、人気はあります。
サンゴの植えつけ自体も賛成・反対いろいろありますが、僕は何もしないよりはいいかなと思っています。
また、年に一度“リーフチェック”という活動をしています。
毎年同じリーフに潜ってサンゴや生態系などのチェックを一般のお客さん交えて行っています。
これは、世界共通で決められている基準があって、それに従って行うんです。
---
国立公園になるにあたってメリットってなんだと思いますか?
番田
27年ぶりなので、注目されているということでしょうか。
これが1年に1か所とかだとそうそう注目されないんですけど(笑)、27年ぶりなんで慶良間諸島の注目度はあがりますよね!
ダイバー以外の方にも、こんなところがあるなら行ってみようかなって思ってもらえるかもしれないし、それは一番嬉しいことです。
---
反対に、デメリットってなんでしょう?
番田
入島する人が増えるっていうのは、ある意味デメリットかもしれません。
ゴミが増えれば環境は荒らされる、宿泊者が増えればシャンプーなども流れる。
また、島外からの方って日焼け止め使いますよね?
あれも海にとってはかなりよくないです。
そういうことで環境が壊れていくってことも知ってもらいたいですね。
---
国立公園化してダイビングに影響があるとしたら、今おっしゃった(上記)みたいなことになりますか?
番田
そうですね、なのでより一層保全活動には力を入れていかないといけないと思います。
---
慶良間が今後どうなってほしいというビジョンはありますか?
番田
“今より悪くしない”というのが一番大切なんではないでしょうか。
それには普段の生活、資源の無駄遣いをしないなど、何気なくしてしまうことから意識していく必要があると思います。
また、小学校に海の事についての話をしに行っているという番田さん。
「今年で2年目なんですが、今年は親子でホエールウオッチングというものがあって、そこでクジラの話や、国立公園になるという話をしてきました」
子供たちにも興味をもってもらえたらと言っていました。
番田さんありがとうございました。
3月8日には沖縄本島で、9日には島内で記念式典があったということなので、島内の様子もまた教えて頂いてお伝えできればと思っています。
慶良間諸島が国立公園になって観光客が増える喜びに比例して、ゴミなど環境の問題も大きくなっていくことは容易に想像できます。
番田さんも言っていましたが、“今よりも悪くしない”ということを心掛けて陸に海に楽しんでいきたいですね!
ダイバーとしては日焼け止めを少なくしてみるとか、界面活性剤の入っていないシャンプーを使用してみるとか、また水中ではフィンでサンゴを蹴散らかさないとか、そういった潜る際のスキルなども意識して潜ってほしいと思います。
いまさら恥ずかしくて聞けないスキルの秘密が知りたい方はこちらを密かにご覧ください。
また、これをきっかけに海やダイビングに興味を持ってくれる方も増えるといいなと期待していたりもします。
取材協力・写真提供
ダイビングサービス・VIBGYOR(ビブジョー)