宮沢海斗写真展「海の囁き」。海洋ごみが溢れる海で、生き物は今、何を語るのか

神宮司 瀬里奈

22歳で現役の大学生であるネイチャーフォトグラファー・宮沢海斗さんが、自身初となる写真展「海の囁き」を7月8日（土）から7月22日（土）にわたり東京都港区のシン・オープン・ラボ Gallery 空にて開催する。環境問題がテーマとなっているというが、どのような作品をどのような想いで展示しているのだろうか。

環境問題をテーマに48点を展示

学業と両立しながら写真撮影を行う宮沢海斗さんは、物心ついた時にはもう海で遊んでいたそう。本展の題材にもなっている環境問題には、大学の授業で海洋ごみが魚の量を超えると聞いたことがきっかけ。驚いたと同時に、“行動しないと”という気持ちが湧き起こったのだという。そこから海と向き合うために大学を休学し、もともと好きだった写真で、水中世界の現状を伝えるべく活動を始めた。その中でギャラリー運営会社、印刷会社とのご縁があり、今回、写真展の開催に漕ぎ着けたのだという。

本展で展示している作品は、地球温暖化などの影響を受けた全国各地の海洋生物。越冬したイソギンチャクモエビ、白化したサンゴ、そしてかつて捕鯨によって頭数が激減し、絶滅危惧種になったザトウクジラが、人間のアプローチで頭数が戻り始めているザトウクジラなど、メッセージ性のある作品をB1からA3サイズで50点展示。中には、3~5mmの無数のマイクロプラスチックを再利用してできた天板に写真を印刷し、海洋ごみ問題についても意識してもらえるよう、こだわったものもあるという。

マイクロプラスチックを再利用したカラフルな天板に写真を印刷

本展に込める想いについて、「人間の行動が変われば、環境も変わると思っています。しかし、すぐに行動を変えることは難しいと思うので、まずは写真を通して、環境や海に対する意識を持ってもらうきっかけにしてほしいです」と宮沢氏は話す。

行き詰まった海。
実際に今、海で起こっている出来事。

人があまり気が付かない海の囁きを日本のさまざまな海で記録してきました。

あたりまえの論理や概念は一度考えずに、美意識だけで見る。
海洋ゴミが違うように見えてくるかもしれない。
海洋生物の囁きに気がつけるかもしれない。
解決に向けている人々の意識やまだ足りていない意識。
今回の写真を見て環境問題への意識の変化や意識を思い出すきっかけに。

そして環境問題を取り込みつつも家に飾りたくなる様な作品を展示します。

海の囁きに耳を傾け、海の囁きが人の奥底まで潜りますように。

宮沢さんの作品は、環境問題への意識を変えるきっかけになることだろう。本展で展示する写真は購入も可能なので、ぜひ自宅に飾り、海への想いを馳せてみるのもいいかもしれない。

宮沢 海斗 KAITO MIYAZAWA

ネイチャーフォトグラファー。2000年、神奈川県生まれ。自然に溶け込む写真家として学生と両立しながら日々奮闘中。環境問題にも興味があり、海洋生物から海洋ゴミまで幅広く撮影している。また、環境問題に取り組む学生のプラットホームNAMIMATIに2021年から所属し、現在では150人規模と組織も大きくなり、幹部として動いている。
10歳の時からダイビングを始め、21歳の時にインストラクターになり、伊豆、宮古島を中心に撮影をしている。2022年、日本の海の中で起きた最大規模のサンゴの白化現象を追った海洋ドキュメンタリーも撮影中。