大会デビューは約半数。それぞれの挑戦が輝いた「沖縄フリーダイビングカップ2026沖縄大会」
2026年7月18日・19日の2日間、沖縄本島で「OKINAWA FREEDIVING CUP 2026 in 沖縄」が開催された。沖縄本島・石垣島・宮古島の3島で2ヶ月ごとに行われる第一弾の本大会には17名の選手が出場。そのうち9名が、今回が大会デビューという顔ぶれだった。日本各地に加え、韓国、台湾からも選手が集まり、沖縄の海を舞台に競技が繰り広げられた。

沖縄大会に集まった選手・スタッフたち
初参加選手約半数で迎えた沖縄大会
フリーダイビングの大会と聞くと、経験を積んだ選手だけが挑む場という印象を持つ人も多いかもしれない。しかし今大会が目指したのは、記録を競うことだけを目的とした場ではなく、フリーダイビング初心者や、海洋講習を終えたばかりのダイバー、スキンダイバーでも、安心して一歩を踏み出せる舞台をつくることだった。
出場した17名の内訳を見ても、この大会の間口の広さが分かる。何度も大会を経験してきた選手がいる一方で、9名は今回が初めての大会参加。年齢も20〜60代と幅広く、競技レベルもフリーダイビング歴もばらばらな選手たちが、同じ会場に集まっていた。

恩納村のダイビングショップ「マリンクラブナギ」にて行われた開会式の様子
静かな海で繰り広げられた2日間の熱戦
競技が行われたのは沖縄本島の中北部に位置する恩納村・真栄田岬沖。ダイビングスポット「青の洞窟」でよく知られる場所だ。地元の海人(漁師)たちの協力のもと、前兼久漁港から競技船、選手の待機・救助船、選手を運ぶピストン船の3隻が順に海に向かう。
今年は台風の接近が相次ぎ、競技日への影響も心配されたが、大会前週には台風も過ぎ去り、当日は天候・海況ともに恵まれた。

まだ薄暗い早朝から競技の準備を始めるスタッフたち
選手たちは前日までに行う種目と深度を申告しており、深い順に潜る順番を決められている。自分の乗るボートの時間に合わせ、漁港に設置されたテントでチェックインを済ませ、ピストン船に乗り込む。待機船に着いてからは、ウォーミングアップをしたり、日陰で呼吸を整え集中したりと各々のパフォーマンスの準備をする。

選手は規定の時間内に船からロープで繋がれたブイにつき、それぞれウォーミングアップを行う(撮影/Yudai Tsubone)
競技エリアは船に設置されたカウンターロープ。前の選手がエリアを離れ、ロープの調整が完了すると、セーフティが次の選手を誘導する。選手はロープにつくとオフィシャルトップ(競技スタート)の時間までブリーズアップ(リラックスするための呼吸)をする。船の上からは残り時間のカウントが響き、緊張感が漂う。

ブリーズアップの様子を水面からセーフティ、ジャッジ、カメラマンが見守る(撮影/Yudai Tsubone)
水面と水中には、それぞれセーフティダイバーが配置されている。1人の選手が潜っている間、複数のスタッフの視線がその選手一人に注がれる。フリーダイビングは選手一人の挑戦であると同時に、支える人がいて初めて成立する競技であることが、間近で見ているとよく分かる。実際、アンケートでも「フリーダイビングは1人では出来ないということ、セーフティ、船上・陸上スタッフみんなのサポートがあってはじめて出来る競技だと思う」という声が複数の選手から寄せられている。

大会最後の競技者をセーフティダイバー全員で見守るのは、多くの大会で見られる光景(撮影/Shomi)
浮上した選手が水面で合図を送り、ジャッジからホワイトカードが提示された瞬間、小さくガッツポーズをする選手や、思わず声を上げる選手がいた。特に、今回が大会デビューの選手にとって、ホワイトカードの重みは記録の数字以上のものがある。多くの選手が安堵と喜びの表情を見せていた。

あがってきた選手は顔周りのものを外しOKサインをジャッジに示し「I’m OK」と言う。このSP(サーフェスプロトコル)が手順通りにできなければ失格となる。また、この時ボトムから取ってきたタグをジャッジに見せる(撮影/Yudai Tsubone)

数名のジャッジで選手のパフォーマンス結果を判断する(撮影/Yudai Tsubone)

成功と認められればホワイトカードがジャッジから提示される(撮影/Yudai Tsubone)

ホワイトカードが提示され、周りのセーフティやジャッジからも「おめでとう」の声と水しぶきが上がる(撮影/Yudai Tsubone)
一方で、レッドカード(失格)が提示された選手の周りには、少し静かな空気が流れる。想定外の出来事に驚き悔しがる選手もいれば、潔く笑顔でボートに戻ってくる選手もいた。ただ、そのどちらの選手にも、周囲の選手やスタッフから自然と声がかかっていたのが印象的だった。順位や記録の良し悪しに関係なく、挑戦したこと自体が称えられる場面が、2日間を通じて何度も見られた。

船上でお互いのパフォーマンスを称え合う姿も(撮影/Yudai Tsubone)

パフォーマンスが終わりリザルトボードを持って記念撮影する選手たち
表彰式で称えられた、それぞれの挑戦
2日間の競技を終え、表彰式では男女それぞれのTOP3が発表された。本大会では競技ごとの世界記録を基準に ポイント補正を行い、 2日間合計ポイントで順位を決定している。
男子TOP3
1位:Dakang Lee(106pt)
2位:Takanori Kumazawa(88pt)
3位:Shundo Katsura(77.16pt)
女子TOP3
1位:Montana Malarkey(72.26pt)
2位:Ryoko Watariguchi(72pt)
3位:Kanako Togane(66pt)

TOP3に輝いた6名の方々
また、今大会では、順位とは別に「初海洋大会&初ホワイトカード賞」も設けられた。受賞したのは、全部で8名。

初海洋大会&初ホワイトカード賞 受賞者一覧

初大会出場&初ホワイトカードを獲得した8名
興味深いのは、この中に桂さんとMontanaさんという、男女TOP3に名を連ねた選手も含まれていたことだ。初めての大会、初めてのホワイトカードという緊張の中で、そのまま表彰台にも立つという結果は、決して簡単なことではない。
副賞にはスポンサー各社から提供された器材が並んだ。1位にはWorld DiveのウェットスーツAPS2mmツーピース・ATMOSのダイブコンピュータMISSION3。2位にはApollo(日本潜水機)のバイオメタルマスク・EVOLVEのアクアキャップ/ウエイトベルト。3位にはTUSAのLapisマスクシュノーケルセット・LAZYFISHの器材が男女それぞれに贈られた。さらに、ロングヘアの選手を称える「Long Hair Prize」という遊び心のある特別賞も用意され、会場を和ませていた。

大会メインスポンサーHEAD Japanの久保社長も大会に駆けつけた

エイサーを披露してくれた座喜味青年会に最後は選手もスタッフも混ざってみんなで踊る
閉会式では、選手同士やスタッフから自然と拍手が起こる場面が多く見られた。順位で一喜一憂するだけでなく、2日間を通じてお互いの挑戦を見てきたからこその拍手のように感じられた。
大会は競技だけじゃない
「OKINAWA FREEDIVING CUP」は、競技以外のプログラムも充実していた大会だった。
大会期間中には、選手やスタッフが参加するビーチクリーンが行われた。競技の舞台となる海を自分たちの手できれいにするという時間は、記録には残らないが、この大会が大切にしている姿勢を象徴する時間でもあった。

競技日前日に行われたビーチクリーン
安全面では、DAN JAPANによる安全セミナーが開催され、潜水事故における医療用酸素供給の必要性など、実践的な内容が共有された。

安全セミナーではフリーダイビングの保険サービスも取り扱うDAN JAPANから酸素の重要性などがレクチャーされた
会場にはスポンサー・サプライヤーによるブースも並び、マスクやフィン、ウェットスーツなどが展示・販売され、室内ではSSS沖縄によるパーソナルストレッチ体験や酸素カプセルも提供されていた。競技の前後に選手たちが器材を手に取り、スタッフと話し込む姿もあちこちで見られた。

販売ブースには選手・スタッフ以外にも沖縄でフリーダイビングを楽しむダイバーたちが多数訪れた
そして大会の締めくくりとなったクロージングパーティーは読谷村のBarケンハッチーで行われ、座喜味青年会によるエイサーが披露された。太鼓の音が響く中、選手やスタッフが自然と体を揺らし、拍手を送る。2日間の緊張が解けていく、大会全体の中でも印象的な時間だった。
「また出たい」と思える大会へ
参加した選手たちからは「大会全体の雰囲気が良く、初級者でも参加しやすい」、「たくさんのフリーダイバーと交流でき、これから先フリーダイビングを続けていく上で、相談をしたり、一緒にトレーニングしたりしやすくなる」、「深度に関係なく誰でも挑戦できる」といった声が寄せられた。
OKINAWA FREEDIVING CUP 2026は、これで終わりではない。次は9月に石垣大会、11月には宮古大会が予定されている。
石垣大会(9月11日・12日):https://hikarufreediving.com/ofc2026ishigaki/
宮古大会(11月1日・2日):https://www.luanafreedivemiyako.com/ofc
初めての大会に一歩を踏み出すか迷っているなら、この沖縄本島大会で見た選手たちの表情が、きっと背中を押してくれるはずだ。
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