パプアニューギニア連載コラム「千変万化」

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第四回
PNGを日本に伝えたパイオニア・山辺登
~変わらない海と変わりゆく国・パプアニューギニア~

海に魅了され、「この海を日本に紹介していこう!」と13年

パプアニューギニア、アロタウ

私とパプアニューギニア(PNG)との出会いは1999年まで遡ります。
当時のニューギニア航空日本支社長のススメで8月に初めて訪れました。

ニューギニア航空は1997年に関空⇔ポートモレスビー路線を開設し、その後一時運休となっていましたが、当年、季節運航を再開したのでした。

この時訪れた8月のアロタウとポートモレスビーは水温24℃で強めの貿易風とうねりがあり、快適と言えるものではまったくなかったのですが、豊かなサンゴと根付きの魚の多さ、特にポートモレスビーでは当時日本ではレアでまだ“幻の”という形容詞が使われていたピグミーシーホースをさらりと見せられ、いきなりあんぐり。

色彩豊かなアロタウの海

色彩豊かなアロタウの海

ロロアタ名物のアヤコショウダイの群れ

ロロアタ名物のアヤコショウダイの群れ

PNGは日本から首都ポートモレスビーまで6時間半、時差1時間という好立地にありながら、他国の様な観光開発も行われず、当時一般の観光客は皆無で日本からは慰霊巡拝の方々が訪れる程度。
一部ダイビングツアー商品が紹介されていたものの、まだマイナーリーグの最下位くらいな感じでした。

日本から近くて海がいいのに、日本人ダイバーはまだ数えるほど。
これは、絶対にこの海を日本に紹介していこうと思ったものの、これっぽっちの自分の経験だけでは何ともならぬと思い、人のよさそうなロロアタのオーナー、ディック・ナイト氏にPNGの海について根掘り葉掘り様々な話を聞かせてもらい、さらに図々しくも他のダイビングリゾートオーナーを紹介してもらいました。

そして次のスポットへ行くとまたガイドやマネージャー、オーナーから様々な話を聞き出して、また次へ、そんなことを繰り返しながらPNGの海を掘り下げていったものでした。

パプアニューギニア、ロロアタ

中でもアロタウ(ミルンベイ)は幾度となく訪れ、一喜一憂しながらそのポテンシャルの高さに惚れ込み、一時期ダイビングサービスまでオープンさせた愛着の深い場所。
アメリカの水中写真家・デビッド・デュブレもナショジオ誌でマイベストのひとつに挙げ、ユージニー・クラーク博士がコンビクトフィッシュ(囚人魚)の生態を研究した海で、太平洋側ソロモン海とオセアニア側コーラルシーが交わる海の交差点、ナーバスな海況ながらミラクルなダイビングスポットといえるでしょう。

アロタウの海

アロタウの海

他のスポットも魅力満載。
マダンに行けば随所でギンガメやバラクーダの群れにやたら遭遇し、ワリンディでは抜群の透明度の中、生い茂るサンゴの森に感嘆、ケビエンの名物スポット「アルバトロスパッセージ」では激流の底でグレーリーフやシルバーチップシャークがダイバーを取り囲み、トゥフィではダイブ毎にハンマーが様子をうかがいに来る、すごいバリエーション。

さらにいくつかのクルーズにも乗っかって、様々な個性を見せるPNGの海にずっくりハマってしまいました。

ラバウル

ラバウル

ケビエン

ケビエン

その様子は10年来同行している鎌田多津丸氏はじめ数多くの写真家の方々に紹介して頂いておりますが、直近では中村征夫氏、中村卓哉氏、細田健太郎氏らに写真展、ダイビング雑誌等でお披露目して頂いていますので、多くの方がご覧になっていると思います。

長いようであっという間の13年間。
海は変化すれど、生き生きとしたサンゴや魚影の濃さは変わりません。

またリゾートやダイビングサービスも若干の増減はあるものの大きくは変わっていないのですが、国の様相はここ4~5年で大きく変化し始めています。

開発ラッシュの中、いつまでも素朴な人たちとの交流を願って…

僕が入り始めたころはまだ村人は口伝手メインだったのが、今や携帯電話が普及して、道もない超山奥でも村人が携帯で会話している。
そればかりでなく国全体がかつてののんびりムードから開発ラッシュで一変、資源バブルが湧きあがっています。

どんなかというと先進国の投資がどんどん集まり、天然ガス、銅やニッケルなどの鉱物資源の採掘などで、今までなかった様な規模で大開発が随所で始まっており、日本のエネルギー関連会社や大手商社もこぞって参画しています。

これに伴いホテルや高級アパートメントの増築・新築ラッシュ、また大規模なショッピングアーケードがオープンするなど都市部では急速な近代化が進んでいます。

しかし一方で村社会は一部の給与所得者以外その生活は変わっておらず、自給自足で農作物を公設市場で売って換金し、必要な物資や貯蓄をするというスタイルは従来のままなので、バブル経済の恩恵を受ける人々と従来の人々とのギャップは広がるばかり。

これをどう埋めて健全に国家を発展させていくかが今のこの国最大の課題でしょう。

僕としてはこうした資源を売った大金で、今度は資源の枯渇がなく、広い範囲に富が分配される健全な観光開発がこれから積極的に進み、より多くのダイバーや観光客がこの国の大自然を満喫し、太平洋戦争史も感じ、かつ日米豪があれだけドンパチやっても恨まない心の広い素朴で個性的な人たちと交流していけることを切に願う今です。

山辺登

山辺登

山辺登(やまべ のぼる) 
1959年東京生まれ、有限会社ピーエヌジージャパン代表取締役、PADIオープンウォーターインストラクター

大手旅行会社、インドネシア専門旅行会社、ダイビングショップを経て2000年にPNGジャパンを設立。
以後13年間に渡りパプアニューギニアの海と陸を巡り、多くの魅力あるスポットを各旅行会社を通じて日本に紹介しています。

現在は首都ポートモレスビーと高原の町ゴロカに日本人常駐の支店を開設してお客様のお世話をしています。
またダイビングについては公私混同しながら様々なスポットを潜り続け、お客様のみならずプロ写真家や雑誌取材にも同行して各スポットがもつ魅力を最大限にプロデュースしています。さらにソロモン、クリスマス島(キリバス)、クック諸島、フィジーなどのニッチなスポットも日本に紹介すべく取り組んでいます。

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