6.5本のキヌバリ!石巻初のダイビングスポットを「ハイブリッジ」と調査ダイビング
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2013年8月7日(水)、宮城県石巻市を調査ダイビングしてきました。
案内していただいたのは、震災後「地元の海を元気にしたい!」との思いから、石巻市にダイビングショップハイブリッジをオープンした高橋正祥さん(以下、普段呼びなれているマサ君と呼ばせていただきます)。
代表を務めるボランティア団体海さくらを通じて行っている復興ボランティアと並行して、海とダイビングの魅力も伝え続けています。
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「ハイブリッジ」代表の高橋正祥さん
今回潜ったダイビングポイントは、石巻の中心地からおよそ1時間弱に位置する牡鹿(おじか)半島の狐崎浜(きつねざきはま)という、ダイバーにとっては未開の海。
石巻初のダイビングスポットとして開拓すべく、マサ君が何度も調査ダイビングを続けているスポットで、これも瓦礫撤去などを通じて、漁師さんたちとの信頼関係を築いてきたからこそ可能なこと。
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狐崎の番屋はカラフルな壁が目印
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港から5分ほどにアンカリングして潜降すると赤褐色のゴロタや根にウニやヒトデ、ところどころホヤの付く、東北の海らしい光景が広がります。
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根の壁面を丁寧に探すとコケギンポやイソギンポなど、穴や窪みを好むめんこい北の魚たちが顔をのぞかせています。
今後、調査を続け、ダンゴウオやクチバシカジカ、そのほか、フォト派や生物好きたちに“刺さる”人気者を見つけ、アイコン化させることができるかどうかが成功のポイントとなるのかもしれません。
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コケギンポ
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浅瀬のポイントでは、メバルやタナゴが群れるワイドなシーンも楽しめます。
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6半のキヌバリ 黒潮と親潮をハイブリッジに楽しむ
この日の水温は水面で22度、水底で20度。
ほんの2日前に女川を潜っていたマサ君によれば、女川の水温は18度と石巻っより2~3度ほど低く、牡鹿半島を挟んで東と西では海の様子が若干異なるようです。
牡鹿半島の沖には親潮と黒潮の境界線があるという話もあるので、女川のある東側は親潮の影響を受け、西側は黒潮の影響をより色濃く受けるのかもしれません。
そういう意味では、石巻では季節来遊漁(黒潮に運ばれてくる南の魚)探しにも期待できそうです。
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コブダイの幼魚
「ハイブリッジ」からは女川も石巻もどちらも行きやすいので、北の生物と黒潮の生物、両方を楽しむことができます。
また、半島を挟んで風やうねりの影響も真逆なので、1年通して安定して潜るためにも石巻のオープンには大きな意味がありそうです。
そんな親潮と黒潮のハイブリットな影響を象徴するかのような魚がキヌバリ。
通常日本海や北の海にいるキヌバリの体に通るヨコシマは7本線で、三浦半島など太平洋で見られるキヌバリは6本線ですが、ここ石巻では6.5本!!!
6半のキヌバリです。
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黒潮と親潮のハイブリッドなのか、ラインが6.5本!
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尾びれ近くのラインが短く、ドット模様になっている
珍しいいけすダイビングも楽しめる
石巻では、いけすダイビングも楽しめます。
潜ったときはちょうど魚をあげてしまった後で殺風景でしたが、それでもめったにできない貴重な体験。
網の構造を見学するだけでも面白く、とらわれた魚の気分も味わえます。
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魚が入っているときなら、回遊魚、運が良ければマンボウなんかも間近に見られる迫力のシーンが味わえるはず。
船長の平塚さんの「この間まで、イワシが10トン入ってたんだ」との言葉に期待は膨らむばかり。
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ダイバーでもある船長の平塚さんが、獲ったばかりのホヤをふるまってくれた
「自分が代表をしている『海さくら』を通じてガレキの撤去もずっと続けていくつもりですが、新たに生まれた漁師さんたちの関係を大事にして、新しいダイビングの可能性も切り開いていきたいと思っています」とマサ君。
「ハイブリッジ」を拠点に、石巻と女川の海、そしてアフターダイビング(美味しいところ、オシャレなカフェなど注目スポットがいっぱい)を1年中楽しめるスタイルを確立するためにも、石巻の正式なオープンが待ち遠しいところ。
オープンしたらオーシャナでもお伝えしますので、お楽しみに!
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カキの養殖も盛んな海