群れるハタタテハゼをどう撮るか? そして、超機能的! 石垣島でよく見る「うんこしやすい」胴切りウエットスーツの話

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石垣島ダイビングショップ15選ロケ。
台風は過ぎ去ったものの、まだまだ北東風が強く吹くなか、SEA TRIPの清山太造さんの船に乗船させてもらい黒島方面まで撮影に出かけた。

清山さんは「あんまり船が多いところで潜りたくないから、人気ポイントは誰も来ていない1番最初に潜るように心がけてます。船がたくさんある場合にはオリジナルポイントとか、古くから潜られていて、最近は誰も潜らないポイントによく潜ります」とのこと。

この日も3本中2本は、「他のショップがあまり潜らないポイント」に連れて行ってもらった。
まずは、誰もいない人気のV字ポイントで深場のアケボノハゼ狙い。
以前は雑誌のロケなどでよく撮影していたけど、最近はあまりなかったので久しぶりで新鮮な感じ。
ナカモトイロワケハゼよりは浅い、水深32m付近で撮影。
「冬、水温が下がると上がってくる」そうで、浅い水深で見るなら冬がオススメなのだとか。

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1フレームに何匹収められるか?
ハタタテハゼの群れを狙う

船が増えてきてから2本目に潜ったのは、タートルロックというポイント。
「ここ、潜るショップは少ないよ」と清山さん。
「このポイントってなにが見れるんですか?」と尋ねると、
「えっとね、ハタタテハゼ」との返答。
確かに、V字とかもハタタテハゼ多かったな〜。

「岩盤地形が多いからか、ハタタテハゼが群れてることが多くて。でもどうやって撮ればいいのかな〜。横から撮ってもパッとしないし……。」と言うので、
「正面から狙ってみましょうか? 正面から狙ってこれだけ寄っても逃げないってところを1枚の写真で表現できれば、普通種のハタタテハゼにも興味持ってもらえるかもしれないですね。それに、掃いて捨てるほどいるから、巣穴に逃げ込んでもすぐ次が狙えるし。たくさんのダイバーで狙っても、いくらでもいるから。水深も浅いし安心ですよね。被写体としてはいいんじゃないかと思います」。

ということで、1ダイブ丸々ハタタテハゼ狙い。
一応、マンタが通過する可能性もあるってことなので、ブルーウォーターを眺めながらも、もう意識はハタタテハゼに集中。
いるいる、たくさんいる。

近くを泳ぐゲストダイバーたちは、「2人で、じっと動かずに何を撮影してるんだろう」と気になってしょうがなかったみたい。
それもそのはず、ハタタテハゼの群れが巣穴から出てくるとき、清山さんは両手を大きく広げて、分散しないようにハゼたちの退路を塞いでいる。
その前で腰を屈めて、海底にへばりつくように視点を下げて撮影に没頭する僕。
その光景が、長いときでは15分くらいも続いていたのだから、興味を持たないわけがない。

結果、こんな撮影ができました。
合計7匹。最高で8匹が1フレームに収まった。
構図とか気にしなければもっとたくさん入るのだけど、やはりそこはこだわらないと。

構図的にも気に入ってる、ハタタテハゼ7匹が写っている写真。1番下の個体は、巣穴から出てきてる瞬間

構図的にも気に入ってる、ハタタテハゼ7匹が写っている写真。1番下の個体は、巣穴から出てきてる瞬間

「ガイド歴25年で、これほどハタタテハゼと向き合ったのは初めてでしたよ〜」という清山さん。

こんな風に撮影できるなら、狙ってみたいフォト派もいるのでは。
もちろん、ガイドの清山さんの協力が必要不可欠だが。

ハタタテハゼがこんなにたくさんいるのって、やはり沖縄ならではかもしれない。
今回、同時期に別のオーシャナ取材班がロケ中だった串本では、3年くらい前から突然増え出したそうだけど、それまではレア種だったとか。

フィリピンでもハタタテハゼはレア種。
1匹でも見つけようものなら、ガイドが無理やり手を引っ張って、「撮れ! 撮れ!」と促されるくらいに、レア。

きっと、V字ポイントでアケボノハゼ撮影していたみたいな感覚なのかもな。
海が変われば、レア種も変わる。
逆にたくさんいるのであれば、いかに興味を持って見てもらったり、撮影対象にするかを考えるのもガイドの力量。

これは便利!
超機能的ウエットスーツ

さて、今回はもう1つネタを見つけた。
この写真、石垣島のガイドさんでよく見かけるウエットスーツ。

胴切りというウエットスーツ。見た目ちょいダサい感じもするけど、こんなに機能的な理由があったなんて

胴切りというウエットスーツ。見た目ちょいダサい感じもするけど、こんなに機能的な理由があったなんて

まるで腹巻してるみたいで、ちょっとかっこ悪いと思っていて、「なんであんなウエット着るのかな〜」と疑問に思っていたんだけど、今回、数ショップ回ってみて、結構このスタイルのウエットを着てるガイドが多いことに気がついた。
しかも、女性ガイドにも着てる方が何人かいる。

清山さんに「これって、なんでお腹までなんですか? お腹が冷えるから? 肩まであった方がかっこよくないですか?」と聞くと、
「これはね、石垣島の作業ダイバーが好んで使ってるんですよ。作業ダイバーは、3時間も4時間も水中で作業する。その間にトイレ行きたくなっちゃうこともあるんだけど、これなら被りのウエットを全部脱がなくてもお尻だけ出して、海中でうんこできるんだよ。フーカーでも問題なし」。

「あ〜!!! なるほど!!! そういう事だったんですね。確かに機能的! うんこ、簡単にできるのはいいな〜」。
そう考えると、ちょっとダサいのも納得。
そういえば以前、オーシャナ編集長の寺山君とGBRロケ行った時に、彼、ウエットスーツで中にうんこもらしてたな。

きっとこういうこともなくなるわけだ。

「それに、上がフードつきのウエットにできるから、水入ってこなくてあったかいよ」とのこと。
確かに。これならタンクつけていたとしても、急にお腹痛くなっても慌てる心配ないのかも。
あ、もちろん、海中で「うんこ」できるスキルがあるかどうかが、まず重要なのだけど。
自分はできるのでちょっといいなと思ってしまいました。
ダイビング中によくお腹痛くなってしまうダイバーの方、次回はこんなウエットスーツデザインもいいのではないでしょうか。

Supported by SEA TRIP Diving Service

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「楽しくなくっちゃ! 気持ちよくなくっちゃ!! ダイビングじゃない!!!」をモットーに、完全少人数制(1チーム4名から5名)で少しでもゲストのダイビング中のストレスが軽減できるように心がける。皆と同じポイントに潜ることを好まず、なるべく船の少ない、あるいはいないポイント選択をしてダイビングを行なっている。「水中入ってまで人だらけは嫌でしょ」とのことで、今回も他があまり潜らないポイントでダイビングを楽しませてくれた。人が入っていないからか、海の中も元気な印象。船上では常にギャグでゲストを盛り上げてる姿が印象的でした。

Address:〒907-0024 沖縄県石垣市新川2357-14
TEL:0980-82-6777 携帯:090-9780-7658 / 090-3797-7158
E-mail:sea-trip@m1.cosmos.ne.jp
URL:http://www.ishigaki-diving-st.com/

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writer
PROFILE
慶応大学文学部人間関係学科卒業。
産経新聞写真報道局(同紙潜水取材班に所属)を経てフリーのフォトグラファー&ライターに。
以降、南の島や暖かい海などを中心に、自然環境をテーマに取材を続けている。
与那国島の海底遺跡、バハマ・ビミニ島の海に沈むアトランティス・ロード、核実験でビキニ環礁に沈められた戦艦長門、南オーストラリア でのホオジロザメ取材などの水中取材経験もある。
ダイビング経験本数5500本以上。
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