世界最大のカメ、オサガメを追った写真集「海に憧れるLeatherback Sea Turtle」発売

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オサガメ写真展(提供:来住尚登)

皆さま、オサガメをご存知でしょうか?

体長およそ2メートル、体重600キロにも及ぶ、世界最大のカメですが、地球上で最も深刻な絶滅の危機に直面している生物でもあるのです。

そんなオサガメの貴重な生態について撮影された写真集「海に憧れるLeatherback Sea Turtle~神秘のオサガメを追って~」が2014年12月8日に発売されます。

オサガメ写真展(提供:来住尚登)

今回、オサガメに惚れ込み、撮影はもちろん、解説を書いた、写真家の来住尚登(きしひさと)さんにオサガメの魅力についてお聞きしました。

――

初めてオサガメに会った時の感想を教えてください。

来住

2年前、ジャイアントマンタが目的でモザンピークに訪れたんです。そのとき、もしかするとオサガメに会えるかもとは聞いていたのですが、実際に会えるとは思いませんでした。
実際に会って、本当に感動したんです。もう、前から恋い焦がれた生物でしたから。

――

なぜオサガメに会いたいと思っていたのですか?
他にも魅力的な海洋生物は多かったと思うのですが、オサガメに惹かれた最大のポイントを教えて下さい。

来住

大学時代、生物の進化について学んでいたので、1億年以上前から環境に適応しながら生き抜いてきたオサガメに興味を持ったのと同時に、やはり1億年という生命の歴史にロマンを感じました。

――

この写真集を出そうと思った経緯について教えてください。

来住

オサガメの写真集って日本にはあまりないんです。海外にはあるんですけど。
だからオサガメにあまり馴染みのない日本の方にも見ていただいて、オサガメのことを知って欲しいと思ったんです。

――

オサガメは、日本での目撃情報はあるのでしょうか?

来住

和歌山など、水中での目撃情報があります。
泳ぎがとても速いので、滅多に水中で会えることがないので、ボートの上から見えただけでも嬉しいものです。

――

この写真集の1番のアピールポイントを教えて下さい!

来住

今の世の中って、流行り廃りが激しくて、それが悪いわけではないけれど、オサガメはそんな私達の生きる時代の1億年も前から、多少の変化は伴いますけど、ずっと自然の中で生き続けているんです。
その事実を、神秘を、感じて欲しいです。

オサガメは、もともと成体まで生き残れるのは、1000匹に1匹と言われています。
そんなオサガメは現在、絶滅危惧種に指定されています。

隕石の衝突や恐竜の絶滅期をも生き抜いてきた、強く逞しいオサガメの命を脅かしているのは、悲しいことに人間が出す釣り糸や、好物のクラゲに見えてしまうビニールなど。
これらを食べてしまい、死に至るケースが増えているそうです。

また、開発による営巣地(巣作りする場所)の破壊や卵を食用として違法に採取している事例もあります。

「この世界で最も神秘的な生物である“オサガメ”を、我々人間はこれ以上我々の手で脅かしてはいけない」と来住さんは警鐘を鳴らしつつ、「今度は、水中で撮影してみたい」と少年のようにキラキラと目を輝かせるのでした。

(文/豊岡咲)

オサガメ写真展(提供:来住尚登)

■「海に憧れるLeatherback Sea Turtle ~神秘のオサガメを追って~」
発売日:2014年12月8日(月)
価格:1,900円(税抜)
販売場所:Amazon(2014/11/22現在、未登録)、南紀シーマンズクラブ和歌山ダイビングサービスサンマリンDIVE KOOZA

■来住 尚登 Hisato Kishi
1956年兵庫県生まれ。岡山大学卒。
子供の頃から野生動物に興味を持ち、大学では農学部畜産学科で生物進化の謎を学ぶ。
2001年より水生生物写真家 故 山本典暎氏に師事し、水中 撮影に没頭する。海の美しさ・海の生き物たちのユニークさ・海の環境保 護のため、さまざまな媒体で作品を発表している。

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