【ダイビング×SDGs】モビーディック:目指すは“持続可能”なマリン産業〜この先50年続く企業を目指したい〜
創業50年を超える老舗企業、株式会社モビーディック。
ダイバーにとって、ウエットスーツを展開する「モビーズ(MOBBY’S)」
は、言わずと知れたブランドだろう。
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「この先50年存続し100年企業となるには、将来を見据えた運営が必須だ。そのためにも、“SDGsは1つの指標となりうる”」
——SDGsを視点に、株式会社モビーディック(以下、モビーディック)の取り組みを取締役・オニール営業部部長 秋山さん、取締役・モビーズ営業部部長 山城さん、企画部 植松さんに聞きました。
(聞き手:河本雄太、構成:山本晴美)
モビーディックの
企業理念と社員の意識
ーーモビーディックは、下記の経営理念を掲げられていますが、これは、いつ頃、どういった思いから決められたのですか?
経営理念:私たちは、世界中の海を楽しく安全にします
海洋への見識胆識、海洋スーツ開発技術、シェアNo1の顧客基盤を通して、 海で遊ぶ人、海で仕事をする人が、より楽しく、より安全であるための独自の製品・サービスを提供します。
▶︎モビーディック公式HP「経営理念」
取締役・オニール営業部部長 秋山さん(以下、秋山)
お客様が望むモノを作り提供するだけでなく、そのモノによる新たなライフスタイルの提案、モノからコトへ、即ち新たな満足や市場の創造が出来る企業を目指しています。
そのためには、当社が持続的に成長し続ける必要があります。
中でも、従業員の能力の可能性を広げることは、最も大切です。
また、適切な設備投資と外部の学術機関等との連携を通して先進技術を取り入れ、創造的かつ高生産性の両立も欠かせません。
利益を生み出すことこそが、関連企業や地域社会の繁栄に貢献することとなり、好循環を生み出すことができると考えています。
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秋山さん
ーーSDGsの「8.働きがいも生きがい」「12.つくる責任 使う責任」といったゴールに通づるものがありますね。
社員の方には、どんな方が多いですか?
秋山
やはり、海遊びのアイテムを制作するメーカーなので、海好きが高じて社員になったメンバーは多いです。
サーフィン事業のオニール担当社員は、全員がサーファーで海遊びを楽しんでいますよ。
ダイビング事業部のスタッフも休日はダイビングやサーフィン、フィッシングなどのマリンスポーツを楽しむ人が多いです。
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秋山さん自身もサーフィンを楽しむ
ーーそうなんですね。
モビーティックの社員の方々には、そもそも地球環境や循環型経済に対して、意識の高い方が多くいらっしゃいそうです。
秋山
確かに、社員にプライベートでの活動を聞くと、川の清掃イベントに参加していたり、日常的にサーフィン終わりにゴミ拾いをしているメンバーは多いですね。
ーー会社として、そういった社員教育は行っていらっしゃいますか?
秋山
これといって、プログラムを組んだりはしていませんが、海を大切にすることが社風……というか、文化としてあり、それが自然と社員教育へとつながっているのかもしれません。
——SDGsで言うところの「4.質の高い教育」が、会社の文化としてあり、社風にもつながっているのは、素晴らしいことですね。
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モビーディックの
具体的な取り組みについて
ーーオーシャナとして気になったのは、「ReMake」についての取り組みです。
「ReMake」は、どういった背景で始められたのでしょうか?
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「ReMake」の商品は柄が全て異なる
ウエットスーツ制作時に廃棄する端材等を、もう一度製品に作り変える事をコンセプトに生まれたブランド。
キーホルダー型の小物入れやペットボトルホルダー、コインケースなどがある。
様々な端材が使われるので、ひとつ一つデザインが違うのも特徴だ。
https://www.remake-fc.com/
秋山
東日本大震災がきっかけです。
弊社は、宮城県石巻市のグループ会社の工場が全壊してしまったんです。
仮操業状態の中でも、何とかウエットスーツを製造し続け、2012年8月に再建。
2014年には、「ReMake」を立ち上げました。
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ーー「ReMake」はどのように始まったのですか?
秋山
震災から半年ほどの頃、仮設住宅にお住いの方の6割ほどが、職を失っている状態と聞きました。
そこで、参加希望をされた方に、端材を使って、小物を制作していただいたのが、はじまりです。
そこから、ビジネスモデルを作り上げていって、今に至ります。
今では、仙台出身のアーティストの方のコンサートグッズとしても採用され、OEMで制作しています。
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ーー当時は、SDGsという概念はまだありませんでしたが、“失われた雇用を復活させたこと”“端材を使用して産業廃棄物を削減したこと”などは、まさに地球環境に配慮した事業ですし、SDGsに沿っていると言えますね。
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モビーディックが
ダイビング業界で果たす責任
ーーダイビング業界で進めていきたい社会貢献活動はありますか?
秋山
持続可能なマリン産業を考えるためには、率先してアクションを作り出す必要があると思っています。
ダイビング業界に限らず、日本のメーカーはまだまだ動きが鈍いように感じます。
ーー具体的には、どういった取り組みを始められていますか?
企画部 植松さん
すでに実行していること、将来に向けて企画を進めていることとしては、
◆ウェットスーツ生地に水性のボンドを使う
◆梱包方法の見直し
◆プラスチック包装を減らす
◆ウェットスーツの端材を使った商品展開(ReMake)
などがあります。
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植松さん
ーーこれからの展開にも期待が高まりますね。
SDGsでキーとなるのは、人だと言われています。モビーディックの社員の方々の働く環境について、会社としての取り組みを教えて下さい。
植松
働く環境改善は、常に考えています。
この秋、女性の働きやすい環境作りのため、育休から復帰した社員のテレワークをテストスタートしました。
まだ、メーカーだとこういった在宅ワークへの取り組みは少ないかもしれませんね。
取締役・モビーズ営業部部長 山城さん(以下、山城)
女性の活躍は、非常に力になっています。
女性社員の雇用比率は低いですが、工場では、多くの女性に活躍していただいています。
女性にこそ、長く働いて欲しいですね。
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山城さん
植松
モビーディックには、遠方から通勤してきている社員もいます。
テレワークは、スキルアップをする時間の捻出にも一役買ってくれるのではないかと思います。
山城
社員の雇用に対する満足度を高めることが、いい商品、いいサービスを生み出すと感じていますね。
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100年企業を目指して
持続可能な企業活動を
ーー創業50年を超えて、これから、どういった企業活動を続けていきたいですか?
秋山
先にお話しした、東日本大震災での被災もありましたが、これまで多くの困難を乗り越えてきました。
これからの経営には、将来を見据えた運営が必須だと感じています。
SDGsは、そのために1つの指標になりうるでしょう。
持続可能なマリン産業を目指すためには、社会の循環がうまく回らないといけません。
特に、最近の気候変動や異常気象、そして、少子高齢化など、日本の課題からみても、今まで通りの経営では持続可能ではないことを痛感しています。
ダイビング業界にとどまらず、様々な企業や団体とパートナーシップをとりながら、この先50年続く企業を目指したいと思っています。
ーーありがとうございました。
■sponsored by モビーディック
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「MOBBY’S DIVING(スキューバダイビング)」「MOBBY’S WATER SPORTS(水上バイク)」「0’NEILL(サーフィン)」などのスーツブランドを展開する企業。特にダイビングスーツにおいては、そのデザイン性の高さから多くのダイバーの支持を得ている。
(Photo by Munehide Ida)