東北の元気な海を見てください。Part.2 越智隆治・秋模様

Iwate / 岩手

サーモンスイムの季節。白鮭の産卵を激写!

Photo
越智 隆治
Text
寺山 英樹
Special Thanks
ダイビングショップRias、モア・プロジェクト・ジャパン
Design
PanariDesign
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Iwate / 岩手

サーモンスイムの季節。白鮭の産卵を激写!

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越智 隆治
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寺山 英樹
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目の前で起こる、生命のスペクタクル!
産卵を目撃!夢中の4時間

サーモンスイム2日目。
まずは、川沿いを歩きつつ産卵床を見つけることから始まる。
産卵床は周りに比べて窪んでいて、白鮭たちが集まっているのでわかりやすいと言えばわかりやすいのが、くまちゃんの言う“できる窪み”(特に産卵しやすい産卵床)となると、もうお手上げ。

土手を降り、くまちゃんが教えてくれた、できる窪みの上流10メートル手前から近づいていき、5メートルくらいから四つん這いでアプローチ。
「あと2メートルですよ~。はい、そこで寝ちゃいましょう。右斜め前1メートルに窪みがあります」という土手の上のくまちゃんの声を頼りににじり寄る。
あとは、窪みの上流側やや前方に陣取り、体が流されないように足で土手をしっかりつかんで、あとはひたすら彼らのドラマに見入るだけ。

岩手・大船渡市綾里川のサーモンスイム(撮影:越智隆治)

オスはメスをめぐって威嚇し合う

すぐにメスが窪みにやってきて、追従するようにオスが2匹。
メスは体を傾けながら尾びれを力強く振って水底をならし、卵を産む場所を整えている。
オス同士はメスをめぐって背びれを立てながら小競り合い。

岩手・大船渡市綾里川のサーモンスイム(撮影:越智隆治)

メスは尾ビレを水底に叩きつけ、卵を産みつけやすいように窪みを作る

そんなことを繰り返すこと1時間。
どこからともなくオスが集まりだし、メスが口をあんぐり開けたらいよいよ産卵の合図。
そして、ついにメスが産卵!とほぼ同時に、戦いに勝利したオスが放精!!

岩手・大船渡市綾里川のサーモンスイム(撮影:越智隆治)

メスが産み落とした卵に、口をあんぐり開けたオスが精子をかける

エネルギーの源・アスタキサンチンたっぷりのオレンジ色に輝くイクラに対して、役目を終えたサケは、体色からオレンジ色が徐々に薄れ、やがて白濁し、体も弱り、その一生の幕を閉じる。
その光景は、まさに命の交換。

命をもらったイクラたちは、来年の春ごろに海へと旅立ち、4年後に再び綾里川に戻ってきて、今度は命を渡す役割を果たす。
目の前で繰り広げられる小さい世界の大スペクタクルに心をつかまれ、気づけば4時間、川に寝そべっていた。

川底に散らばる無数の鮭の卵(撮影:越智隆治)

川底に散らばる無数の卵。受精してこのように川底の表面に大量に存在することは難しいので、「メス同士の戦いで、噛み付き合っているうちに出 てしまったものではないかと思われます」とくまちゃん

岩手・大船渡市綾里川のサーモンスイム(撮影:越智隆治)

それでも鮭は上流を目指す

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