トド!北海道積丹半島、幌武意 part1 かいじゅうのすむ海

Hokkaido / 北海道

北海道のウェブマガジン、第1弾はトド!

Text
寺山 英樹
Photo
越智 隆治
取材協力
Avii Wave(アビイウェーブ)
Special Thanks
商船三井フェリー、ゼムハウス
Design
Panari Design
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北海道のウェブマガジン、第1弾はトド!

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寺山 英樹
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越智 隆治
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Avii Wave(アビイウェーブ)
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この記事は約3分で読めます。

積丹半島の幌武意。
長くダイバーをやっている人の耳には「トドがいっぱい見られる海らしい」と噂が入ってくるものの、情報も少なく、謎のベールに覆われていた。

そこで、オーシャナ取材班は、実態を確かめるべく、海獣をライフワークに撮り続けている越智カメラマンと共に北の大海へ向かった。

トドに逢える海は
意外なほど近かった。

“海獣に逢う”という非日常感から、てっきり北海道の奥地にあると思っていたが、札幌にあるダイビングショップAvii wave(アビイウェーブ)にピックアップされ、小樽を経由し2時間ちょっと。
トドに逢える海、積丹半島・幌武意(ほろむい)に到着。

降りしきる雪の中、トドの海を目の前にしてやっと湧いてきた現実感。
北の海でトドに逢う。

現地で出迎えてくれたのは、北海道・トドダイビングのパイオニアであるゼムハウスの藤田尚夫さん。
アビイウェーブオーナーの西村伸人さんの師匠でもあり、二人のオペレーションとガイドのコンビネーションでまずはトド・ウオッチングから。

札幌で出迎えてくれたのは、積丹半島を中心に北海道を広く潜るアビイウェーブの西村さん(中)と大川さん(右)。早速、北海道らしい帽子をかってみたが(左)、その正体は3P後に……

札幌で出迎えてくれたのは、積丹半島を中心に北海道を広く潜るアビイウェーブの西村さん(中)と大川さん(右)。早速、北海道らしい帽子をかってみたが(左)、その正体は次ページに…

トドがエサとなるニシンやホッケを求めて積丹半島にやってくるのは冬のシーズン。
アビイウェーブがツアーを開催しているのは12~2月で、取材班が訪れたのも2月。
最も高確率でトドに逢えるコアシーズンとのこと。

遭遇率が気になるところだが、正直なところ、大物につきものの、“All or Nothing”のギャンブル・ダイビング。
“The day”となるかどうかは神威岬の神のみぞ知る。

エサを追いかけ泳いでくるトドのコース上で待つというスタイルで、シーズンとして“線”で潜れば登場率は100%に近くても、年に一度の“点”で潜る場合、まさにその日がThe dayとなる幸運な人もいれば、毎年通っても、空振り…なんて人も。

粉雪舞い散る中、マッカ岬の西側に位置する港を出港し、岬を東側へ回り込んだ海域が最もトドの好む場所。
東側へ回り込めさえすれば遭える確率は7~8割だが、海況が悪いと岬を越えることも難しい。
なので、まずは岬越えが勝負のポイントとなる。

船上からは泳ぐトドの群れや岩場で休憩するトドが見られる。ちなみに、オットセイは上陸しない

船上からは泳ぐトドの群れや岩場で休憩するトドが見られる。ちなみに、オットセイは上陸しない

取材班も、ボートで5分ほどのマッカ岬の先端に近づいたところで、「風向きが北東に変わってしまったので、今日は岬の西側だな」と藤田さん。
初日は1本しか潜らなかったこともあり、空振りに終わったのでした。

しかし、今思えば、この空振りも本編を際立たせるための序章に過ぎず、衝撃のクライマックスは、翌日いきなり訪れるのでした……。

僕と同じように、世界の海で海獣類を撮り続けている越智カメラマンにしても、やはりどこか非日常だったらしい。

「僕は、世界中で海獣類を撮影しているといっても、今まではどちらかといえば温帯から熱帯海域で撮影可能な生物がほとんど。
なので、雪が降りしきる北海道の海でトドに遭遇して撮影するって事が、彼らに会うまで、正直ピンと来ませんでした」

非日常感と半信半疑の気持ちを抱えて潜った積丹半島。
すべてはいとも簡単に目の前で起きた現実だった。

気温は氷点下。西村さんが「マイナス2度までは暖かい」と言っていて「何を言っているんだろう……」と思ったが、マイナス9度を経験してその意味を知る(笑)。マイナス2度までは手袋がなくてもイケる

気温は氷点下。西村さんが「マイナス2度までは暖かい」と言っていて「何を言っているんだろう……」と思ったが、マイナス9度を経験してその意味を知る(笑)。マイナス2度までは手袋がなくてもイケる

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