葉山の春夏秋冬
Hayama / 葉山
葉山の海に魅せられた個性豊かなガイド陣と共に過ごした、葉山在住カメラマンの1年の記録
Hayama / 葉山
葉山の海に魅せられた個性豊かなガイド陣と共に過ごした、葉山在住カメラマンの1年の記録
- Photo&Text
- 岡田裕介
- Special Thanks
- ダイビングショップNANA
- Design
- tomato
都心から約1時間の距離にありながら、驚くほど豊かで多彩な顔を持つ海。
近年、多くの水中写真家やフォト派ダイバーに注目されている
この葉山の海を、この地に誕生し2014年7月7日にめでたく7周年を迎えた
『ダイビングショップ NANA』の地元出身のオーナーガイドの輝さんと
この海に魅せられた個性豊かなガイド陣と共に過ごした葉山在住カメラマンの1年の記録。
富士山に見守られながらの幸せダイビング。
冬の葉山【12~2月】
NANAガイドさんの冬のオススメ!
水温が下がり透明度が上昇してきます。1月頃から水深の浅い場所の海藻も一気に成長しはじめ、海藻の森が形成されはじめます。12月~1月はダンゴウオの抱卵、2月はチャガラの産卵、抱卵、ダンゴウオの稚魚も観察されはじめ、ウミウシも増える、ワイドにマクロに楽しめる季節です。
幻想的で美しい海藻の森を抜け
天使の輪を持つダンゴウオに会いにいく
撮影を開始したのは昨年の3月。慣れないドライスーツに戸惑いながら、ヒンヤリとした水温約14℃の海中に顔をつけて潜り始め、最初に目に飛び込んできたのは今でも忘れられない、光が差し込み美しく輝く海藻の森でした。
海水がピリっと引き締まる程の冷水の中、堂々と生い茂る様子を見て水中で声が出てしまうほど心底驚き、感動したのを覚えています。また同時に、こんな世界が葉山の海にあったなんて、もっと早く潜っておくべきだったなと後悔の念も湧き上ってきました。
葉山在住の僕にとってそこは普段生活している場所。ジョギングをしたり、子供と自転車を走らせている生活の場のすぐ下に広がる美しい世界。そのことを知らなかったのを悔やんだのと同時に、まだ見ぬ人々にもっと知ってもらいたいという気持ちが芽生えたのを思い出します。
この美しい海藻の森を持つ葉山「芝崎海岸」の海は、全体的に水深が浅く、海藻が光合成をするのに適した環境。そのため海草藻類の成長は早く、冬になり水温が下がる事で成長が始まり、例年2月の下旬頃、まるで森のように辺り一面に広がります。
さまざまな形をした海草藻類が絡み合って育まれるこの森は、透明度が良く太陽の光が綺麗に差し込む日に潜れば、驚くほど幻想的な光景に出合えるのです。
そして2月頃からは、今、大人気の天使の輪を持ったダンゴウオの赤ちゃんの季節が始まります。天使の輪を持ったダンゴウオの赤ちゃんは想像よりも全体的にプリッとしていて
ハリのある感じで、尻尾もまたプリップリッで本当に可愛い。
体長は2、3mmと、とにかく小さいので撮影時のピント合わせには苦労しますが、しっかりと体とカメラを固定できれば、ほとんど動きはないので撮影自体はそんなに難しくはないと思います。
また後ろを向いていたり、背景や構図が悪かったりする場合、赤ちゃんはあまり動きがないので、待っているよりも、別のダンゴウオがいる場所に移ったほうが良いかもしれません。普通の表情も良いけれど、やっぱり何かしらのしぐさがあると可愛さも増すのかなと、あくび姿を狙って待ち続けることもありましたが、ダンゴウオが口を開けるのは本当に一瞬なので気が抜けません。
寒さが厳しい冬の時期なのに、カメラを通して可愛いダンゴウオの顔をずっと見続けていると、寒さも忘れてしまうほど楽しくて心地よい時間で、こちらも穏やかな気持ちになってしまうのが不思議。これが寒さの中でもダイバーを引きつけるダンゴウオの力なんでしょうね。
また冬の始まりには、赤、緑、ピンクと様々な色の個体を見ることもできます。海藻の森とダンゴウオ、ワイドにマクロに大忙しのフォト派ダイバーの嬉しい悲鳴が聞こえてきそうです。
そして葉山でのダイビングでは、ポイントのある芝崎海岸から遮る物がなくドカーンと見事な富士山を眺めることができます。特に冬の時期の空気が澄んだ日に見える富士山は息をのむほど美しいですよ。