ダイビング事故の現状は認識されているか?のアンケート結果

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テニアン島のタガ・ビーチ(撮影:高砂淳二)

こんにちは。高野です。

今回は、ダイビング事故(主に国内)に関する質問として、「あなたの現在での意識を4段階でご回答下さい」という質問を、以下の5項目に分けて質問させていただいた結果についてお話しします。

  • 1.「ダイビング事故の現状について(全てを認識している⇔全く認識していない)」
  • 2.「ダイビング事故の多くは?(不可抗力⇔過失)」
  • 3.「あなたはダイビングを危険な活動だととらえていますか?(極めて危険⇔極めて安全)」
  • 4.「ダイビングにおける行動の責任について(全面的に自己責任⇔全面的に指導者責任)」
  • 5.「ダイビング事故は防ぐことができると思いますか?(全面的に防止は可能⇔全面的に防止不可能)」

長くなってしまうので、1項目ずつに分けてお話させていただきますね。

今回は、「ダイビング事故の現状について(全てを認識している⇔全く認識していない)」についてです。

インストラクターの回答結果

ダイビング事故の現状について(インストラクター)

ダイビング事故の現状について(インストラクター) n=128 欠損=6

一般ダイバーの回答結果

ダイビング事故の現状について(一般ダイバー)

ダイビング事故の現状について(一般ダイバー) n=446 欠損=5

結果は、ダイビング事故の現状について、「4(全てを認識している)」と回答したインストラクターは16%、それに対して一般ダイバーは4%でした。

「3」を加えた場合、ほぼ認識していると回答したインストラクターは82%、一般ダイバーは48%でした。

一般ダイバーにおいては、半数以上が事故の現状をあまり認識していないという結果です。

スクーバ・ダイビング事故の発生については、メディア等で目にしたり耳にしたりすることはあるものの、事故の経緯や結果(過失の有無等)については、個人情報保護などの理由から情報が少なく、そのことにより、「何故その事故は起こってしまったのか…」(誘因)、「どのようにすればその事故は防ぐことが出来たのか…」(対策)をしっかりと検証することが出来ていないのが現状です。

我々ダイバーは、誰が悪いのかなどの責任追求ではなく(関係者は別ですが)、今後同じような事故を起こさないために、事故の現状を把握し、そしてその「誘因」と「対策」を考えていかなければなりません。

そのためには、“公平な”立場での有識者や学識経験者を入れた委員会を設置し、「どうしたらその事故は防ぐことができたのか」、「同じような事故を起こさないためにはどうするべきか」を、誘因から考えることが必要であり、その情報を公開し(個人情報を守ることが前提)、また、万が一裁判にまで発展した事故においても、適切な情報提供が出来るように、業界としての体制を整えることが急務と考えます。

事故のほとんどは、人的な要因です。
我々インストラクター・ガイド、一般ダイバーは、今一度、基本を見直す必要があります。

※次回は、2.「ダイビング事故の多くは?(不可抗力⇔過失)」の回答結果についてお話しします。

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PROFILE
大学にて法学を学び、卒業後、某一部上場企業にて人事採用・研修を担当していたが、「人は自然と共に生きていくことが本来の姿である」と思ってしまい…退職。

都市型ダイビングショップを経験後、静岡県の熱海を専門に水中ガイド、コースディレクターとしてインストラクター養成などを行う。
また、潜水士として、海洋調査・水中撮影・ナマコ潜水漁・潜水捜索救難などでも活動している。
 
ある時、業界の発展、健全性の確立を考えるようになり、大学院へ進学してスポーツマネジメントについて学ぶ(学位:体育学修士)。
現在は、教育・指導の観点から、ダイビングのマネジメントについて研究している。
 
■「筑波大学 大学院」 体育系研究員 高度競技マネジメント研究室(山口香研究室)
■「文部科学省所管 財団法人社会スポーツセンター」マリンスポーツ振興事業部 専門職員
■「NPO熱海・自然の学校」理事 安全対策委員長
■「NPOユニバーサルダイビングネットワーク」理事 潜水捜索救難協会トレーニングディレクター
■「Office 海心(うみこころ)」代表
 
【学会発表・論文】
■「SCUBAダイビングにおける裁判事例から見た事故分析」
■「SCUBAダイビングにおけるヒヤリ・ハット調査から見た事故分析 -ハインリッヒの法則に基づいた観点から-」
■ 「SCUBAダイビング指導者育成における教育課程に関する研究 -中高齢者事故予防の観点から-」
他
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