ダイビングは自己責任だと思いながらもスキルに自信のないダイバー像

ラジャアンパットのハードコーラル(撮影:越智隆治)

こんにちは。高野です。
ダイビング事故(主に国内)に関する質問として、今回は4つ目の「ダイビングにおける行動の責任についてどう考えているか(全面的に自己責任⇔全面的に指導者責任)」(現在での意識を4段階で回答)という質問についての結果をお話します。

ダイビングにおける行動の責任について(インストラクター)

ダイビングにおける行動の責任について(インストラクター)n=128 欠損=6

ダイビングにおける行動の責任について(一般ダイバー)

ダイビングにおける行動の責任について(一般ダイバー)n=447 欠損=4

結果は、ダイビングにおける行動の責任について、「4(全面的に自己責任)」と回答したインストラクターは15%に対し、一般ダイバーは32%。
「3」を加えた場合、ほぼ自己責任と考えているインストラクターは75%に対し、一般ダイバーは93%でした。

特に一般ダイバーに関しましては、ダイビング事故においては自己責任であるという意識を持っている者が多いという結果ですが、同質問調査(スキルに関する質問)で一般ダイバーが、現在でのダイビング知識・実践について自己評価をした結果を見ると、意識に関しては39%が、実践につきましては45%が、自信がないと回答していました。

自己責任における活動 <意識>(一般ダイバー)

自己責任における活動 <意識>(一般ダイバー)n=444 欠損=7

自己責任における活動 <実践>(一般ダイバー)

自己責任における活動 <実践>(一般ダイバー)n=430 欠損=21

多くのダイバーが教材やメディアなど情報から、ダイビング活動は「自己責任」であると頭では分かっていながらも、実際の活動においては自信がないと感じているようです。

また、その中には、インストラクターやガイド、自身よりスキル(知識・技術)の高い者を頼りにし、「何かあれば助けてもらえる」、「出来なくても大丈夫、◯◯さんがいるから」など、依存心を強く持ってしまっている人もいるかもしれません。

そして、もしかしたら、インストラクターやガイドが依存心を持たせるような対応をしてしまっているかもしれません(これはあくまで、現場で感じる個人的感想ですが・・・)。

インストラクターやガイドも人間です。
一緒に潜っているインストラクターやガイドなど頼りにしている人が、急に目の前で突然の疾患や何らかのトラブル見舞われるかもしれません。

皆さんは、そんな時に手助けはできますか?
そして、自分自身が生きて帰ってくることができますか?

ぜひ、トラブルが発生した際にも対応出来るようなダイバーを目指していただきたいと思います。

※次回は、ダイビング事故(主に国内)に関する最後の質問・・・5つ目の「ダイビング事故は防ぐことができると思いますか?(全面的に防止は可能⇔全面的に防止不可能)」(現在での意識を4段階で回答)についてお話します。

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PROFILE
大学にて法学を学び、卒業後、某一部上場企業にて人事採用・研修を担当していたが、「人は自然と共に生きていくことが本来の姿である」と思ってしまい…退職。

都市型ダイビングショップを経験後、静岡県の熱海を専門に水中ガイド、コースディレクターとしてインストラクター養成などを行う。
また、潜水士として、海洋調査・水中撮影・ナマコ潜水漁・潜水捜索救難などでも活動している。
 
ある時、業界の発展、健全性の確立を考えるようになり、大学院へ進学してスポーツマネジメントについて学ぶ(学位:体育学修士)。
現在は、教育・指導の観点から、ダイビングのマネジメントについて研究している。
 
■「筑波大学 大学院」 体育系研究員 高度競技マネジメント研究室(山口香研究室)
■「文部科学省所管 財団法人社会スポーツセンター」マリンスポーツ振興事業部 専門職員
■「NPO熱海・自然の学校」理事 安全対策委員長
■「NPOユニバーサルダイビングネットワーク」理事 潜水捜索救難協会トレーニングディレクター
■「Office 海心(うみこころ)」代表
 
【学会発表・論文】
■「SCUBAダイビングにおける裁判事例から見た事故分析」
■「SCUBAダイビングにおけるヒヤリ・ハット調査から見た事故分析 -ハインリッヒの法則に基づいた観点から-」
■ 「SCUBAダイビング指導者育成における教育課程に関する研究 -中高齢者事故予防の観点から-」
他
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