本気の水中写真合宿「ジャングルジム」開催レポート

フォトキャンプ&コンテスト「第1回 沖縄フォトキャンプ ジャングルジム」が、11月7日(土)~8日(日)にかけ沖縄本島で開催された。初の取り組みとなった本イベントに、オーシャナのスイカがお邪魔してきたので、どんなイベントだったのか、参加者の様子などレポートしちゃいます!

▶︎“本気”で水中写真の上達を目指すフォトキャンプ&コンテストが11月に沖縄で初開催

ジャングルジムって?

水中写真家・上出俊作さん、ダイビングサービス Dive Journeyダイビングサービス ゴリラハウスが主催する、フォト派ダイバーを対象とした水中写真上達のためのイベント。2日間同じポイントで1日3本ずつ潜り、「マクロ」をテーマに撮影し、1週間後を目安にその時撮影した作品でコンテストを行うというもの。ダイビング終了後には陸上で上出さんとゴリラハウスの石野さんによるフォトセミナーも。

ジャングルジムの特徴

・ガイドなしで自分で被写体を見つけて撮影する
・2日間全く同じポイントを潜る

ガイドなしで全く同じポイントを2日間撮影…。自分が今までやったことのないスタイルに驚きを隠せなかった。しかも、「DECOを出す」、「ダイブタイム60分以上」、「残圧50bar切る」のいずれかで上がった場合、そのダイビングで撮影した写真はコンテストエントリー不可とのこと。作品提出の際にも、時間を確認するために作品とは別に編集する前の元データを同時に出す必要がある。自己管理をきちんとしつつ、撮影をすることが求められるのだ。当然といえば当然のことなのだが、ガイドが付いていないというのは普段より緊張感がありそうだ。

当日の様子

2日とも那覇新港から乗船し、チービシにある「神山南」へ向かった。イベント参加者は18名全員一眼ユーザー。もうそれだけで本気度が違うのがわかる。

参加者のカメラ。総額でマンション一部屋くらい購入できそう(笑)。

AとB、2つのチームに9名ずつに分かれ、なるべく水中で混雑を起こさないように50分ずらしてエントリーしていった。ここで驚いたのがインストラクターの数。9名に対し5名のイントラがついて安全管理を行なっていた。ポイントの根の周りを取り囲み、参加者に目を配る彼らの姿は壮観であった。

ポイントへ向かう途中のイントラたち。初めての試みということもあり、疑問点を解消し本番に備える。

そして水中の様子はというと…。みんな動かない(笑)。「神山南」は大きな根と少し離れた小さい根がある最大水深18mほどのポイントなのだが、岩の隙間や反り返った部分に小さな生物や生えものを見つけることができる。さすがテーマが「マクロ」というのもあり、皆さんそこで見つけた被写体に張り付き撮影を行なっていた。

じっくりと被写体と向き合あう参加者。

私の目からは、もはや何を撮影されているのかもわからない。

私も生物を探してみるが全然見つからず。「みんなすごいな~」と思って海から上がって参加者に話を聞いてみると、やはり生物探しには苦戦したよう。2本目以降ではイントラや主催者に生物の見つけ方を聞いたり、参加者同士で「こんなのがいたよ~」と、情報交換し合う姿が見られた。実際に合宿後には、ガイドなしで自分で見つけて撮影する楽しみを感じられた参加者も多かったようで、「普段撮らないものを撮ってみた」、「どうやって撮るかまで自分で考えて作品にするのが面白かった」という参加者も。

イントラから生物の場所を聞く様子。

撮影中は講師の上出さんとゴリラハウスの石野さんが、参加者一人ひとりにアドバイスを行う場面 が何度も見られた。参加者自身も上がった後も質問をしに行ったり、写真を見せたりと皆さん積極的。

こちらはレクチャー中の上出さん。

同じくレクチャー中の石野さん。

水中でのレクチャーの様子。

今回モニター品として、有限会社イノンと株式会社フィッシュアイよりレンズやライトも提供されていたので、今まで使ったことのないレンズでの撮影に挑戦する方も。ずっと同じポイントに潜るので、「次は同じ被写体でこんな風に撮影しよう」と何度もチャレンジできるのが参加者にとってはモチベーションにも繋がっているようだった。

モニター品に興味津々

撮影中は動かなくて寒いのでフィッシュアイのモニター品のひとつ、ヒートベストも人気だった。インストラクターも活用。

夜はフォトセミナー
個別相談会も

3本のダイビングを終えて、夜はホテルの会場にてセミナーが行われた。1日目は石野さんよりライティングと玉ボケ、2日目は上出さんより現像のケーススタディ。石野さんのセミナーでは論理的にわかりやすくストロボの使い方が解説され、上出さんのセミナーでは実際にご自身がどういった手順で、何を意識して現像をしているのかをお話しされていた。セミナー終了後には個別の相談タイムも設けられ、時間ギリギリまで参加者の方がひっきりなしに講師の2人にアドバイスを求めていた。次の日の課題を自分自身で設定している参加者もおり、上達への意欲が強く感じられた。

個別の相談に丁寧に答える石野さん。

参加者同士が楽しく学びあう合宿。
それが「ジャングルジム」

この2日間で最も印象的だったのが参加者同士が和気あいあいと情報交換する様子。“水中写真の上達を目指す”ことが目標で、フォトコンテストもあるため、もっと殺伐としているのかと思いきや、楽しみながら“みんなで”上達を目指していこうとする姿がとても素敵だった。

一人のカメラをみんなで覗く様子。

きっと、いい被写体やどうやって撮影しているかを共有しながら、より良い写真を撮ることができたのではないだろうか。参加者からも「色んな人のやり方や情報を聴けるのを楽しみに来た」「普段カメラを持っている人と潜らないからこういうイベントが楽しい」という声もいただいた。

最後に今回初のこのイベントを通しての感想を、主催者の3名からそれぞれ伺った。

上出さん(水中写真家)

「みんな楽しんでくれるかな」、「合宿って共感してもらえるかな」、など最初はたくさん不安がありました。ですが、こうしてジャングルジムが終わり、多くの方から「参加して良かった」と言っていただき、開催して良かったなと心から思います。当日はえらそうにセミナーなんかも開催しましたが、実際には僕の方がたくさん学ばせてもらった気がします。この学びを今後の作品づくりと、第2回以降のジャングルジムに生かしますよ。必ず。


石野さん(ゴリラハウス)

第1回が無事に終了し大変嬉しく思っています。「面白いことがしたい」という一言から始まった本企画。答えがないままのスタートにも関わらず、援助して頂いた協賛企業様、未知なるイベントにご参加頂いたゲスト様、多大なるご協力をして頂いたベテランガイドの皆さま、全ての歯車が当日うまい具合に噛み合ったことで結果的に完成形を拝むことができました。この場を借りて御礼申し上げます。これに慢心せず、より面白い第2回を開催します。



高田さん(Dive Journey)

2日間のダイビングが無事終了して、ホッとしています。初めてだらけの取り組みに、あたふたとするシーンも少なくなかったとは思いますが、協力して頂いたスタッフの方々や、参加者さんたちの前向きな姿勢に救われました。第2回はより良いイベントにできると思っています。

と、ここまでフォトキャンプ当日の様子をお伝えしてきたが、ジャングルジムはまだまだ終わりではない。この後待っているのはフォトコンテスト。2日間かけて18名が同じポイントで撮影した作品は一体どんなものなのか。実はこっそり私も作品を提出してたり(笑)。入賞者の作品はオーシャナで近々公開予定なのでお楽しみに!

2回目以降も企画中!

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PROFILE
IT企業でSaaS営業、導入コンサル、マーケティングのキャリアを積む。その一方、趣味だったダイビングの楽しみ方を広げる仕組みが作れないかと、オーシャナに自己PR文を送り付けたところ、現社長と当時の編集長からお声がけいただき、2018年に異業種から華麗に転職。
営業として全国を飛び回り、現在は自身で執筆も行う。2020年6月より地域おこし企業人として沖縄県・恩納村役場へ駐在。環境に優しいダイビングの国際基準「Green Fins」の導入推進を担当している。休みの日もスキューバダイビングやスキンダイビングに時間を費やす海狂い。
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