大阪湾でダイビングが楽しめる未来を目指せ! 海のリハビリプロジェクトが始動

大阪湾

2025年に開催される『大阪・関西万博』までに、大阪湾を江戸時代の頃のような人や魚が集う綺麗で豊かな海域に回復させるプロジェクト、「オーシャンリハビリテーションプロジェクト(以下、ORP)」が始動しているのをご存知だろうか。

この“海のリハビリ”とも言えるOPRは、生物の住みかとなる藻場や、甲殻類が多く生息するだけでなく、魚や鳥の餌場でもある干潟を人工的に造成する計画も含まれており、最終的にはダイビングをはじめとするマリンレジャーまでも楽しめることを目標にしているという。

そんなビッグプロジェクトのフロントマンとして日夜活動されている森川誠榮(もりかわせいえい)さんに、プロジェクト始動までの道のりについて直撃インタビューを敢行した!

【目次】

■ウミガメの映像をきっかけに身近な場所から海洋汚染へアプローチを開始
■大阪をマリンレジャーの一大拠点に!
■一人ひとりが生命の起源である“海”を大事にしてほしい

ウミガメの映像をきっかけに身近な場所から海洋汚染へアプローチを開始

–まずは、ORPの始まりを教えていただけますか。

森川さん

“クリーンアップレンジャーズ”という団体で主に川の清掃を行っているのですが、この活動について毎回SNSで発信し続けていたら、とある研究機関に勤める友人から「川をきれいにするのなら、海(大阪湾)もきれいしないか」と声をかけられたことがきっかけとなりました。

—本プロジェクトのきっかけとなった、川での清掃活動を始めた理由も聞かせていただけますか?

森川さん

いままで海洋汚染については多くのメディアやニュースで取り上げられていたので、それなりに関心はありましたが、大きなきっかけとしては、数年前に世界中で配信されたウミガメの鼻にストローが詰まっている映像だったように思います。鼻から血が出て苦しんでいる様子があまりにもセンセーショナルで、海の汚染にますます関心を持つようになりました。

ウミガメ

※イメージ画像

それから、海洋汚染について自分なりに調べていくと、どうやら海ゴミの8割は河川や下水から運ばれてきていることに気がついたんです。自分たちに一番身近な場所なら、なんとか工夫すればゴミを減らせるのではと考えた結果、私にとってそれは淀川(よどがわ)だったので、ゴミが海に流出してしまうまえに、淀川で食い止めようかと。そこで河川敷での清掃を始めたわけです。

–河川敷での清掃はおひとりで始められたのですか?

森川さん

最初はそうでしたね。それからしばらくして一人でやるよりも団体でやっていきたいと思って、地元の商店街の方たちに「おまえら暇やろ」っていうてボランティアとして集まってもらい、淀川河川敷を清掃する‟クリーンアップレンジャーズ‟の結成にいたりました(笑)。活動は毎月行っています。

クリーンアップレンジャーズでの清掃活動

クリーンアップレンジャーズでの清掃活動

–仲間を増やして活動を拡げていらっしゃるんですね。

森川さん

‟クリーンアップレンジャーズ”は主に河川敷の清掃をしていますが、ゆくゆくは、海も川も山も町も全部きれいにする‟クリーンアップジャパン”を結成しようと考えています。そういった想いを胸に、海の清掃活動を行われている‟大阪海さくら”さんや、街中での清掃活動にも時間が空いた時に参加しています。周りからは「そんなんやっても無駄やで」とか「朝早ぉそんなことやってお前アホやな」とか言われることもありますけど(笑)。私は無駄だとは思っていないですよ。

–そのモチベーションはどこから来るのでしょう?

森川さん

海開きの時を思い出してほしいのですが、汚いより綺麗な方がいいでしょ、っていう単純な話だと思いますけどね。海で遊んだり、海が身近な方なら尚さら持っていておかしくない感情なんじゃないかな。本来であれば皆さんそういった気持ちは持ってると思うのですが、いろいろなしがらみや都合があると思いますから、簡単にはいかないのかも。ダイビングはしたことがない私ですが、海にはよく泳ぎに行ったりしていましたから、守らなければあかんなっていう気持ちはあります。

大阪をマリンレジャーの一大拠点に!

–小さな活動がこんなにも大きなプロジェクトに育ったなんて素敵ですね。

森川さん

そうですね。ORPを通じて生態系の保全に打ち込み、大阪でもダイビングやマリンレジャーができる環境に持っていきたいです。最終的に大阪の此花区、港区など大阪市に近い海をきれいにしてマリンレジャーの一大拠点にしたいと考えています。

–すごい!ちなみに、直近の目標などはありますか?

森川さん

ORPでの夢洲(ゆめしま)の調査研究結果を持って、夢洲の北部に直径500mくらいの浮島を作り、その区画の水質の改善を行おうとしています。具体的には、使用済みの使い捨てカイロの中身から作った、ヘドロを分解するチップを区画内に投入し水を浄化します。さらに、そこにアマモ場を作って水質改善をしていく予定です。

ORP、夢洲北部の浮島

浮島イメージ1:(国際オーシャンリハビリテーション協会(IORA)資料より)

ORP、夢洲北部の浮島

浮島イメージ2:浮島イメージ1図を拡大したもの。(国際オーシャンリハビリテーション協会(IORA)資料より)

区画内の黄色で縁どられた六角形部分(浮島イメージ1参照)では、海底レストランや海上コテージ設置のほか、ダイビングをはじめとしたマリンレジャーを楽しめるように計画中です。

ORP

国際オーシャンリハビリテーション協会(IORA)資料より

–考えただけでワクワクする計画ですね!

一人ひとりが生命の起源である“海”を大事にしてほしい

–これらの活動やプロジェクトを通じて、日常生活で変えたことや気持ちの変化などありましたか?

森川さん

リユース、リターナブルの考え方に学ぶところが大きいと思っています。
最近はいろいろな企業がプラスチック製品の取り扱いを控えたりしていますが、リユース、リターナブルの考え方からすると、そもそもプラスチックには何の罪もなくて、プラスチックを使う側の問題なわけです。例えばプラスチックコップから紙コップに替えるというのも、紙はパルプなので森林を伐採しなければならず環境の問題からいうと解決にはなっていない、とか。部分的に善悪を判断するのではなく、意識をもうすこし広げながら環境問題を考えるようになりました。まず「本当にそうなのかな?」と疑問をもつとかね。

–一歩踏み込んで、環境問題を考えて行動に移すことが大事なんですね。最後にオーシャナ読者へのメッセージをお願い致します。

森川さん

これはダイバーに限らずですが、わたしたち全員に海をきれいにする責務があるんじゃないかと思っています。海って生命の起源で、海なくして私たちは誕生していないわけです。そんな海が汚れていたり、ピンチに陥っているのであれば、ダイバーだろうが山のきこりのおっさんだろうがみんな海に来てなんかせぇよって思いますね(笑)。地球をなんとかしないと人類の未来はないですから、みんなで盛り上げていきましょう。

–本日はお時間を頂きまして本当にありがとうございました。

ダイバー、ノンダイバー関係なく「何かできることは自分にもある!」と思って行動に移せば、たとえ小さなきっかけであっても、同志が集い、いずれは大きなプロジェクトに成長させることができる。

森川さんのメッセージを胸に、まずは自分ができることから地球や海を思いやっていきたい。

森川誠榮さんプロフィール

 森川誠榮さん

ある時はクリーンアップレンジャーズ隊長として淀川河川敷のゴミ拾い、ある時は大阪湾を綺麗にするオーシャンリハビリマスター、またある時は大阪府の児童虐待死を0にする「ゼロ会議」活動に身を転じる自他共に認めるSDGs男子。
公式サイト:https://sdgs.osakazine.net/
Facebook:https://www.facebook.com/seiei.morikawahttps://www.facebook.com/oceanrehabilitationproject/(ORP)

(文:染谷遥)

PROFILE
海とスキューバダイビングの総合サイト・オーシャナ、つまりこのサイトの編集部です。

いろんなニュースや、オーシャナからのお知らせを発信しています。