世界でも珍しい白いシャチ2頭が北海道知床の羅臼沖に現る、貴重映像も入手
世界自然遺産である知床半島・羅臼沖では毎年4月下旬から7月上旬にかけてシャチが観察されることで有名だ。水面から出る彼らの背びれを見ただけでも電撃が走るほどの迫力があり、知的な技で獲物を狩る姿は海のギャングの名にふさわしいとされる。鯨類の中でも人気の高いシャチであるが、先日、世界でも珍しいとされる白いシャチが2頭も観察されたとのこと。そこで知床ネイチャークルーズの長谷川さんにご協力をいただき、その詳細をお伝えしたい。
白いシャチが姿を現したのは、、2021年7月25日の13時15分頃。羅臼港から東へ4マイル(※1)ほど移動した付近に20頭ほどのシャチの群れが勢いよく泳いでいたとのこと。その群れの中に、背びれが高い個体と背びれが低い個体の白いシャチ2頭を確認。
実は2019年にも羅臼では白いシャチは観察されており、同年5月に日露中間地点より国後島側に1頭観察(他社)、7月には羅臼側で1頭観察と期間が2ヵ月も離れていたという。また、今回確認できた2頭の白いシャチと2019年の白いシャチは別個体の可能性があり、特に背びれの曲がった白い個体は間違いなく前回とは別個体とのことだ。
白い体色であることだけでは白変種(※2)だという可能性もあるためアルビノ(※3)と断定できないという。
(※1)1マイル=1852m
(※2)白変種:色素の減少によって毛や皮膚などが白くなった動物のこと。 色素が少ないだけでメラニンを作るため、体は白くても鼻周りや目などは黒いことが特徴。
(※3)アルビノ:メラニンの生合成に関わる遺伝情報の欠損により先天的にメラニンが欠乏する遺伝子疾患がある動物のこと。目が赤くなることが特徴。
世界で見ても珍しい白いシャチとの遭遇。水面下にいながらもその姿を確認でき、海のギャングとは程遠い天使のような存在感に思わず釘付けになってしまう。今年のシャチのウォッチングシーズンはもうすぐ終盤にかかるため、来年また羅臼の海に帰ってきてくれることを願いながらその日を待ち続けたい。
情報提供:知床ネイチャークルーズ