【動画あり】写真家・茂野優太氏撮影 久米島のマンタのフンから軽石が!

10月前半から報じられ始めた、沖縄本島沿岸部への軽石漂着のニュース。小笠原諸島の海底火山・福徳岡ノ場(ふくとくおかのば)噴火で発生した大量の軽石は、時間の経過とともにさらに広いエリアへと流れ着いている。船舶の航行、漁業、観光等にさまざまな被害が出ているが、海にすむ生き物への影響も心配だ。そんな中、沖縄・久米島で写真家・茂野優太氏が撮影した衝撃的なマンタの動画が公開された。

軽石と見られる物質が、マンタのフンとともに放出!

この動画は11月12日正午ごろ、久米島の人気マンタスポット「マンタステーション」で水中写真家の茂野優太氏が撮影したもの。茂野氏に撮影時の状況を聞いてみた。

「今回は久米島のダイビングサービス『ダイブエスティバン』に撮影で訪れていました。その日はマンタポイントでマンタが複数でている情報があったので、撮影を試みたところ、狙い通りマンタは出現してくれました。その後、動画を回しているとマンタが排便したので、その様子を追ってみると、フンの中に小さな固形物が混じっていることを確認。触ってみるとなんと軽石だったのです。

撮影した際は水中には軽石が浮いている状態ではなく、特に気にしてもいませんでした。もしかしたら目に見えている以上に、軽石は生物に影響を与えているのかもしれません。そして僕らが見えるところに軽石がなくなったとしても、見えないところで影響が長引いていたり、残る可能性があったりしたらと思うと少し怖く感じました。
ただ、今回訪れた久米島の海は軽石がダイビングに影響を与えることなく、変わらず美しい海が迎えてくれていました。このまま豊かな海が続いて欲しいと願います」。

久米島では軽石の影響は少なく、通常どおりダイビングが楽しめる

茂野氏が言うように、現在久米島にはそれほど軽石は漂着していない。最新の軽石漂着の状況やダイビングへの影響などについて、「ダイブエスティバン」の代表・川本剛志氏に伺ってみた。

編集部

いま、久米島の海への軽石の影響はどのような状況でしょうか?

川本氏

ダイビングで使う港に軽石が流れ込んできて、船が出せないといったことはありません。ただ1週間くらい前だったかな、漁師さんが使っている港の2カ所に軽石がたくさん流れ込んで、船が出せなくなってしまいました。機械を入れて2~3日で撤去して、落ち着いたようですが。

編集部

ダイビング中に、軽石を見かけることはあるんでしょうか?

川本氏

ダイビングポイントに、軽石が流れて来ることはあります。たとえばマンタのポイントでは、時折船のまわりに流れてきたりしています。しかし風の影響でそのまま東から西にすぐに流れていってしまい、大きな影響はありません。
水中でもそこそこ、軽石を見かけることがあります。軽石の状態で違うんですが、水面に浮いていることもあれば、水深5mくらいに漂っていることもあります。安全停止中に目につくこともありますが、大量の軽石が流れてくるようなことはありません。

編集部

今回、茂野さんが撮影された動画では、マンタがフンと一緒に軽石を排出していました。なぜあのようなことが起きたのでしょうか?

川本氏

秋から冬、春先にかけて潮目に乗ってプランクトンが表層にたまるんです。ビニール袋のような大きな異物は飲み込まずに吐き出すのですが、小さな軽石は、多分、違和感がないからでしょう、吐き出さずに食べてしまうのでしょう。
とりあえずフンと一緒に出しているので、マンタの体には影響はないと思います。しかし小さな魚が軽石を食べてしまうとおなかに溜まり、消化不良を起こして、腸閉塞のような感じになってしまうのではと危惧しています。

編集部

沖縄本島では、水面にたまった軽石が太陽光を遮り、サンゴの成長への影響なども懸念されているようですが…。

川本氏

久米島では水面に溜まった軽石で、太陽光がかげってしまうようなことはありません。サンゴの生育への影響などは、心配ないと思います。
小笠原から流れてきた軽石は、沖縄本島にいったん当たって、それから黒潮にのって久米島に流れてきています。沖縄本島が壁になり、それほど久米島へは漂着しないのだと思います。今までのところ、軽石漂着で船が出せなくなるなどの大きな影響はありませんし、ダイビングも通常通りに楽しめていますので安心してください。

川本氏が話してくれたように、現状久米島では軽石の影響は少なく、ダイビングも問題なく楽しめる。これから冬にかけては、島の南側のスポットが狙い目のシーズンで、マンタももちろん見られる。潜りに行く前に現地サービスに確認したほうがよいが、軽石の影響を心配する必要は、今のところなさそうだ。

「マンタステーション」で出会ったマンタ。多いときは、1ダイブで6匹に遭遇
(撮影/茂野優太 以下同)

「トリノクチ」で撮影されたテングカワハギ。久米島の美しいサンゴの周辺のマクロ生物も元気だ

他のポイントと違い、近寄りづらいと言われる「トンバラ」のギンガメアジ。じっくり時間をかけて撮影

「トンバラ」では、イソマグロなどの回遊魚とも遭遇できる

オーシャナ編集部では軽石漂着について、随時現地から最新情報を集めて、続報をお伝えしていく。

水中写真家 茂野優太さんプロフィール
⽔中写真家 茂野優太さん
「まだ見たことない世界を見てみたい」をモットーにダイビングに関わることは、なんでもこなす。学生時代にダイビングにハマり、銀行員に就職するもダイビングの魅力が忘れられず、ダイビングの世界に。

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