ダイビング中にジュゴン現る!沖縄・久米島での奇跡の遭遇

2025年4月29日(火)、沖縄・久米島近海のダイビングスポットジュゴンとみられる個体が目撃された。現地のダイビングガイドが水中で撮影した写真には、特徴的な尾びれや体形が確認されており、県は詳細の調査を開始した。沖縄県内でジュゴンの姿が確認されたのは、2019年以来およそ5年ぶりとなる。

(提供:久米島ダイビングセンターしらはま 撮影:井上 美菜様)

(提供:久米島ダイビングセンターしらはま 撮影:井上 美菜様)

海牛類に属する絶滅危惧種「ジュゴン」とは?

ジュゴンは海に生息する哺乳類で、マナティーの仲間でもある海牛類に分類される。草食性で、海藻や海草を食べながら浅瀬に生息しており、「人魚伝説」のモデルになったとも言われている。国内でのジュゴンの生息地は沖縄周辺の海域が数少ない生息地とされてきたが、開発や船舶の往来、藻場の減少などの影響で個体数は激減。現在は国指定の天然記念物であり、IUCN(国際自然保護連合)のレッドリストでは「絶滅危惧IA類」というごく近い将来に野生での絶滅の危険性が極めて高いと評価される種に分類されている。
優雅に振り下ろす尾びれは人魚を彷彿とさせる(提供:久米島ダイビングセンターしらはま 撮影:井上 美菜様)

優雅に振り下ろす尾びれは人魚を彷彿とさせる(提供:久米島ダイビングセンターしらはま 撮影:井上 美菜様)


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ダイビング中に“幻の海獣”に遭遇

この出来事があったのは、4月29日(火)、久米島の南西約100mの沖合。久米島ダイビングセンターSHIRAHAMAのインストラクター・紙治美さんが、ゲスト4名をガイドしていた最中。水深5mの岩陰から、見たことのない大型の生物が姿を現した。ヒレの形、丸みを帯びた頭、ゆったりとした動き。それは、サメでもイルカでもなく、まさかのジュゴンだったという。

紙さんは「遭遇した瞬間、身体が固まるほどの衝撃的な出逢いでした。その後、心の奥からじっくりと感動が湧き上がってくる…、そのような思いでした」と話す。

紙治美さんらが撮影した写真には、尾びれと体形がはっきりと写っていた。これを見た沖縄県環境科学センターの小澤所長は、「ジュゴンと判断できる」とコメント。沖縄県は今後、関係機関と連携し、久米島周辺での調査を検討しているという。

久米島近海には藻場は少ないとされているが、周辺海域には良好な藻場も点在しており、ジュゴンが一時的に回遊してきた可能性もある。沖縄県内では、2019年に今帰仁村でジュゴンの死骸が確認されて以降、生体の発見は報告されていなかった。今回のような目撃情報は、調査のきっかけとなる貴重な手がかりだ。

「これまで25年間、ダイビングガイドとして海を潜ってきましたが、これまでも、この先も『ジュゴンに出逢う(出逢える)』というのは思いもしていない事でした。毎日が“かけがえのない海”であることを、あらためて深く心に刻まれる思いです。これからも久米島の海に感謝をしながら、1本1本のダイビングを大切に、お客様をご案内してまいります」と紙さんは振り返った。

ジュゴンは、温暖化や沿岸開発の影響で、その生息域は年々減少傾向にある。しかし、今回の目撃のように、私たちダイバーが日常の中で出会う“偶然”が、保護活動に貢献する可能性もある。海に潜り、観察し、記録するという私たちの行動が、海の未来を守る一助になるということだ。久米島の透明な海に現れた“幻”。その姿は、海の豊かさとともに、まだ希望が残されていることを教えてくれている。

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