幻の迷機に……
『マリンフォト』でコンデジ連載を始めて以来、
すっかり銀塩(フィルム)カメラを使う機会がなくなった。
ビギナーの方はご存知ないかも知れないが、
僕が持っている“ニコノスRS”と13㍉レンズの組み合わせは、
プロカメラマンの定番カメラだった。
ニコノスRS
“だった”というのは、デジカメの台頭により、
多くのカメラマンがデジカメ一眼レフに移行してしまったから。
さらに、銀塩ならではのメリットにもデジカメが追いついてきて
(例えば、フィルムカメラと同じ撮像サイズとか)、いずれ値段もどんどん下がるので、
アマチュアにも手が届くようになるだろう。
もちろん、CDよりレコードという人がいるように、
あくまでフィルムという選択肢はあり。
しかし、カメラマンでもない僕にとってRSは重いし、
圧倒的にダイバーの需要がコンデジなので、使う機会が激減。
海に持っていくとコンデジ撮影がおろそかになるので、
持っていく機会も減ってしまった。
ということで、「売っちゃおっかな」と思い、
いくつかの買取店に見積もりを依頼。
驚ろいて屁が出た。いや、身が出た。
僕の記憶が確かなら、
2〜3年前には、生産中止になっていたニコノスRSは“幻の名機”ともいわれ、
プレミアムがついて、レンズとのセットは100万以上の値がついていた。
記憶の限りで、本体と13㍉とズームレンズ、アームがついて130万ということも。
しかし、デジカメの台頭とニコンのカスタマーサポートの完全中止により、
価値が暴落。
これだけダイバーに愛されたカメラも、
ニコンにとってはあまりにも市場が狭く、ただ消したい過去のような感じ。
ホームページの生産中止一覧にすら掲載されていない……。
そんなこんなで覚悟はしていたが、査定を聞いて鼻血が出そうに。
最も査定の低いお店では「本体は3万ぐらいかなと……」
さ、3万円! 数年前は定価以上の値段だったカメラが、
今や10分の1とは……。
その他、いろいろ調査したところ最高でも15万円前後。
レンズとセットでもせいぜい20〜25万
かつての100万越えがこの凋落ぶり。
今、将来のブリキのおまちゃ的なものとして、またインテリアとしてとっておくか、
最後のチャンスに売ってしまおうか悩みどころ。
今でも口八丁手八丁でニコノスRSを定価以上で売ろうとしているが、
定価以上で買う価値はないと断言しよう。