憧れの介の字貼り
首が回らない。
金もそうだが、寝違えた首が痛くて実際に回らないのである。
そこで、 父スズオが「これが一番いい。いや、これしか効かない」とくれた
モーラステープ(湿布みたいなもの)を首に貼ろうとするが、
クシャクシャとシワになってしまう。
モーラステープは、
薬局では手に入らない貴重なものらしいので無駄にしたくない。
したくはないが、見える位置に貼っているので、このまま外出するのもみっともない。
そこで、断腸の思いではがし、新たな一枚を貼る。
もっとクシャクシャ……。ち、ちっくしょ〜〜。
しかし、これ以上貴重なモーラスを使うわけにはいかないので、
仕方なくクシャクシャで外出。首もクシャクシャ、髪もクシャクシャ。
夕方帰ってきて事務所に行くと、まこ社長が
「それで外、出歩いてたの? 後ろから見るとひどいよ」と憐みの目。
昔、トイレに閉じ込められたときぐらい、独り身が身にしみた……。
■まずは目指したい、ハの字貼り(別名:独り身貼り)
■憧れの、介の字貼り(別名:愛情貼り)
■残念な、草書の字貼り(別名:生きていればいいことあるよ貼り)