マリンダイビングフェア2014~編集長・多事総論~
2014年4月4~6日、池袋サンシャインにてマリンダイビングフェア2014が開催され、オープン前に行列ができるなど今年も大盛況でした。
我々オーシャナスタッフもこの3日間はマリンダイビングフェアを中心に動いていたので、その中で感じたことをレポートします。
ただ、オーシャナとしてのイベントや会話を中心に動いていたので、ややオーシャナ視点の内輪レポートになりますが、だからこそ見えてくることもあるかもと思います。
“機会”としての価値、そして、偉大なるマンネリ
出展する皆さんやダイバーの方々と話していて最も感じたことは、やはり”機会”としての価値。
僕がマリンダイビングに入社した15年前くらいは、ネットはまだまだ普及しておらず、マリンダイビングフェアはダイバーにとって、「次にどこ潜りに行こう」「潜りに行く海はどんなところか」といった、具体的な情報を得るための場で、世の中が元気なこともあって、賞品もばんばん当たるような状況でした。
逆に、出展者としては、実際の集客という意味でもとても価値あるものだったのでしょう。
それが、今やネットの普及に伴って情報はいくらでも手に入るようになり、航空券が行き交うような状況ではなくなりました。
それでも、これほどダイバーが集まる理由とは?
1.循環する最も大きなターゲット層
2.“機会”としての価値
まず、「循環する最も大きなターゲット層」というのは、つまり、マリンダイビングは一貫してビギナー層、エントリーレベルがターゲット。
最もパイが大きくて、しかも、毎年、循環します。
雑誌も同じで、ダイビングを始めたころは、フェアで見るもの、雑誌で読む情報はすべてが新しく感じますが、数年も経つと同じような内容に飽きてきます。
それでも新しいダイバーは毎年誕生するので、常にそうした人に向けての情報は必要ですし、一定のパイが保たれるというわけです。
自分がマリンダイビングの中にいる時も、よく「マンネリだし」とか「もう卒業します」というダイバーからの切ないリアクションを頂戴し、作っている自分も飽きてくるので、新しいことばかりやりたくなってしまうわけですが、「絶対にエントリー層をはずすな!」と編集長から口すっぱく言われたものです。
このブレない戦略がうまくいって一時代を築いたのであろうし、今もこうして多くのダイバーが集まる理由となっているのだと思います。
とはいうものの、そもそものターゲット層、つまり、エントリーダイバーが減少し、情報もネットで手軽に得られる昨今、いろいろ変化を求められているのかもしれません。
※
コアなダイバー層(よく潜っているダイバー)や出展者は、すでにマリンダイビングフェアを“機会”としてとらえていると感じます。
よく潜っているダイバーと話すと「また今年も同じだよね~」などと言いながら、とりあえずはフェアには毎年やってきて、この機会にダイバー仲間と遊んだり、ガイドたちと再会を楽しんだりしています。
出展者の皆さんも、この機会にゲストたちとの再会の場を作ったり、帰省の機会として、営業したり実家に顔を出したりする方も多いようです。
もちろん、立場や役割によってシビアに費用対効果を考えねばなりませんが、政観や組合が予算立てしている場合も多く、その場合、ガイドやスタッフたちからは、結構、文化祭ノリを感じたりします(笑)。
こうした歴史があって、各省庁が後援している行事だと、他国や組合なども予算を投入しやすく(そして、前年比同で毎年続く)、こうした上から下へのイベントは、ダイビング業界を支えるイベントとしてもとても価値あることだと感じます。
ただ、“機会”としての価値がクローズアップされているのは、相対的に、一次的な価値が下がっているかもしれませんし、費用対効果をシビアに考える人たちの出展離れの危惧はあるような気がします。
今、求められている価値とは!?
マリダイビングフェアはとても価値あるものだと思いますが、違った価値のイベントもあったらな、とも思いました。
やはり、よく潜っているダイバーたちからは、マンネリの声がよく聞かれ、お金を払ってでもおもしろいイベントを欲していると感じるからです。
その証拠に、ガイド会ライブやだいぶぷらすのイベントなど、フェアの機会を利用した有料のダイビングイベントは大盛況。
僕らが開催した「オーシャナBAR」の、ガイド会の川本さん、鉄さんをお招きしての越智隆治カメラマンとの同級生3者対談や越智×岡田カメラマンの海獣トークも盛況で、JCUEではプロを対象としたリスクマネジメントの話、田原さんによるテックダイビングの話があり、意識の高いダイバーが参加していました。
目的が明確で深堀りしたこうしたコンテンツは、もっとあっていいと思います。
業界側がお金を出して、主にエントリーレベルのダイバーに対してプロモーション&プレゼンテーションという意味での巨大無料イベント「マリンダイビングフェア」に対して、ダイバーがお金を出して、本当に見たいコンテンツを見られる有料イベントを開催するのがオーシャナの夢。
どちらも必要だと思いますし、後者こそ今までなく、また、今求められているものだと思いますので、ぜひやりたい。
機は熟してきたような気もしていますので、そろそろ仕掛けていきたいと思います。