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完全版! 死ぬまでに行きたい世界の絶景“セノーテ”の潜り方10閲覧無制限

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徒然コラム
セノーテ(撮影:越智隆治)

セノーテ・タージマハ

メキシコのユカタン半島にある“セノーテ(Cenote)”。

ダイバーなら人生において一度は潜ってみたいと思う、夢の泉。
ただ、その割には日本にセノーテの情報は少なく、現地に行って初めて知ったことも結構ありました。

そこで、カンクンのダイビングショップ「アクアプリ」の田中秀明さんからの情報をもとに、知っておきたいセノーテの基本情報や潜り方をまとめました。

アクアプリ田中さんとオーシャナスタッフ(撮影:越智隆治)

アクアプリでは、ダイビング後に観光にも連れて行ってくれます。
一番右が田中さん

これでもうセノーテの基本情報で知らないことはないかもしれません。
セノーテの潜り方・取扱説明書完全版です!

1.え? セノーテは一つじゃない!?

“セノーテ=1つ”と思っている人も実は多いのではないでしょうか?

セノーテとは、石灰岩地帯に見られる陥没穴に地下水が溜まった天然の井戸・泉のことで、実に4000~5000個ほどあると言われています。
そのうち、ファンダイブに開放されているのは20個ほど。

最も有名なのが、「グランセノーテ」で、ここはスノーケリングも楽しめるセノーテ。
ただ超有名なだけに、年末年始などに行くと入口はイモ洗い状態なんてことも……。
行く時期は考えたほうが良いかもしれませんね。

他にも、ククルカン、チャックモール、ドス・オホス、アンヘリータ、ザ・ピットなど、ダイバーにも有名なセノーテが数多くあります。

セノーテ(撮影:越智隆治)

2.ところで、セノーテってどうやってできたの?

セノーテは、先述した通り、石灰岩地帯に見られる陥没穴に地下水が溜まった天然の井戸・泉のことで、泉の下層には大規模な鍾乳洞が水没していることで知られています。

ユカタン半島には川がないため、地面にしみ込んだ雨水は、すべて地下水脈として浜辺や海まで流れ込んでいます。

通常、水面下では形成されない鍾乳洞が地下水脈の中にある理由は、氷河期より前、氷期の海水準低下の時に形成された長大な地下洞窟の内部が、後氷期の海面上昇時に地下水位の上昇にともなって洞窟全体が水没。
それが現在の地下水脈になって、鍾乳洞が水に浸かっている状態が生まれたのです。

このような洞窟の天井の一部が崩落して陥没ドリーネ(陥没穴)が生じた結果、セノーテ(=泉)ができ、それが地下水脈への入り口となっています。

セノーテとは、マヤ語で“命の水”とか“聖なる泉”という意味。
つまり、グローバルな言葉ではなく、メキシコ特有の言葉になります。

3.セノーテダイブは、洞窟の体験ダイブだった!?

セノーテダイブは、いわゆる洞窟でのダイビングのこと。
テックダイビングの領域の気もしますが、私のような普通のダイバーが潜って大丈夫なのかしら?

田中さんの解説によると、まず、洞窟のダイビングには、ケーブダイブとカヴァーンダイブの2種類あるとのこと……。

■ケーブダイブ

専用の器材、専門の知識、専門の技術を必要とする、洞窟専門のテックダイビングの世界。
“ケイバー(FULL CAVE DIVER)”と呼ばれ、計画の範囲内で洞窟の奥を突き進むことができます。

■カヴァーンダイブ

光が入るエントリーポイントから近い限定水域で行われるダイビングで、テックダイビングの領域ですが、“ケーブダイブ”の入口。

セノーテ(撮影:越智隆治)

ドス・オホス。スペイン語で2つの目という意味

ここまで聞いて、やっとセノーテダイブが出てきます。

■セノーテダイブ

セノーテダイブとは、カヴァーンダイブでの“体験ダイブ”。
いわゆる、普通のダイバーが行える、洞窟体験ダイブとのこと。

そうか、私、セノーテでは体験ダイビングをしていたんですね!?

4.セノーテダイビングのルールはこれだ!

一般ダイバーがセノーテでダイビングをする場合、いくつか制約があります。

■必ずフルケーブダイバーが引率しなければならない。

→厳密には、フルケーブダイバー+ダイブマスター以上。

■フルケーブダイバーが引率できる人数は最大4名まで。

→フルケーブダイバーを先頭に1列に並んで進みます。お友達との横並び2列進行はNG。

セノーテ(撮影:越智隆治)

前の方とは2~3mあけて1列に並ぶ

■カヴァーンエリアでのダイビングであること。

→この看板が出来てきたら侵入禁止。
その先は、テックダイバーの領域です。

セノーテ(撮影:越智隆治)

暗闇で初めて見ると、この看板自体が結構恐怖なんですが……

■タンクは1/3のルールを守ること。

→往路に1/3使用、復路で1/3使用、1/3は残してエキジットというのがタンクルールです。

■OW以上であれば参加可能ですが、ある程度の経験本数を必要とする。

→のちに詳しく説明します。

以下、田中さんの指摘する“セノーテダイビングの心得”を3つご紹介。

5.セノーテダイブの心得
「“パニック”を起こさないよう、心を鍛えましょう」

田中さん

基本的に水面に出られない場所でのダイビングとなりますので、緊急浮上ができない場所もたくさんあります。

不測の事態に水面があるポイントまで冷静に対処できる技術、パニックにならずガイドの指示に慌てず従い、水面まで戻るための判断力が必要となります。

途中でパニックに陥る事はそのまま重大な事故に繋がりますので、ある程度の経験本数が必要となります。

実際、洞窟内でパニックを起こしている人を何人か見たことがあり、共通して起こる行動が「緊急浮上」です。

上に向かっても水面がありませんので、ステッカーの様に天井にただ張りつくだけです(笑)。
場所が悪ければ鍾乳石に引っかかって脱出できなくなることさえあります。
大切なのは問題を解決するための“冷静さ”と“判断力”になります。

セノーテ(撮影:越智隆治)

6.セノーテダイブの心得
「中性浮力が取れるようになってから潜ってください」

田中さん

セノーテダイブは、中性浮力を非常に重要視されるダイビングスタイルとなります。

沈みすぎると泥(シルト)を巻き上げ、せっかくの透明度を壊してしまい、自分の視界はもちろん、他のダイバーの視界も妨げてしまいます。

閉鎖的空間で視界がなくなるということは、洞窟のダイビングでは“危険行為”となり「禁止事項」になっています。

沈澱している浮遊物によっては、一度舞い上がると完全に沈殿するまで約1日かかります。
ひどい場合は、自分を含め、他の方もそこでダイビングができなくなってしまいます。
ですので、Cカードのランクよりも、スキルが重要視されます。

例えば、通常のダイビングで、5m地点で3分間の安全停止をする際に浮き上がって水面まで行ってしまう人は、セノーテでは、天井に頭をぶつけたり、天井の鍾乳石を破壊してしまうことに繋がります。

鍾乳石は4~6万年前に形成されたものがそのまま残っており、壊してしまうともう二度と元には戻りません。

特にセノーテダイブの平均水深は5~7mで、非常に浮きやすい水深です。
“景観を破壊する事”も「禁止事項」となっております。

また、安全停止中にフィンを動かさなければ深度を維持できない場合も問題となります。

セノーテ(撮影:稲生薫子)

このように狭いところでも、フィンを動かずに静止できると、浮遊物が巻き上がらないです

7.セノーテダイブの心得
“フロッグキック”を普段から練習しましょう

田中さん

泳法として泥を巻き上げないために特別なフィンキックを要求されます。

田中さん

これは、通常のフィンキックと違い、泥を巻き上げないために、後方に水流を発生させる泳ぎ方となります。

以上のセノーテダイブの心得が可能であれば、40本(アクアプリの規定)に満たなくてもセノーテのダイビングに参加することは可能です。

稲生

私(250本)も見よう見まねで、身体を水平に保ち、膝を90度に曲げ、足首をちょんちょんと動かす感じでやってみましたが、そんなに難しくなかったですよ!

8.OWのCカードでセノーテは大丈夫!?

先述通り、セノーテダイブはOW以上であれば参加することができますが、ショップによってバラつきがあるそうです。
アクアプリでは40本以上としていますが、これはあくまでも目安でしかありません。

通常、潜るセノーテは横穴の洞窟。

深度MAX15mくらいですので、CカードのランクはOWで問題ありませんが、「セノーテ・アンヘリータ」や、「セノーテ・ザ・ピット」などの“シンクホール”と呼ばれる縦穴のセノーテはディープダイブとなり、水深はMAX40mにもなりますので、アドバンス以上が必要になるとのこと。

セノーテ(撮影:越智隆治)

この写真は、セノーテ・チキン・ハ

9.水温とウエットスーツは? 寒い?

セノーテは年間を通して水温は約22~26度。

基本的には淡水で(途中で海水と混ざり合うところもあります)、しかも流れもなく静かで、ひたすら中性浮力との戦いになるダイビングスタイル。
人によっては寒く感じる方がいると思います。

寒がりの私は1月に5mmで潜った時、少し寒かったです。
まあ、これは個人差がありますが、少なくとも5 mmのフルスーツ、かなり寒かりだという方は、中にフードベストを着るとか、3mmのウエットスーツを重ね着してみるのも良いかもしれません。

ただ、注意したいのが、水深が浅めだということ。
タンク圧は減ってきますので、最終的に浮きすぎてしまわないようにご注意を。

10.越智カメラマンの語る、セノーテの潜り方と心得

これまで多くのセノーテを潜っている越智カメラマンに、セノーテの撮影、ダイビングの注意点を聞きました。

越智

セノーテといえば、どうしても光の差し込みを撮影してしまうし、そのイメージだけで来るダイバーも多いですが、基本カヴァーンダイブなので、真っ暗なエリアをラインに沿って潜ることのほうが多いです。

セノーテ(撮影:越智隆治)

越智

「光の差し込むところだけ、長くいたい」というリクエストも当然多いようですが、混んでいるとなかなかそういうわけにもいきません。

本当に透明が高く、混んでいないセノーテを堪能したいなら、やはり繁忙期ではなくて、観光客の少ない時期(世界的に休暇の取れる年末年始を避けるとか)を狙ってきた方が良いと思います。

また、夏と冬とで太陽の位置などが違ってきて、光の入り具合も全然違うので、その辺もしっかり調べて、どのセノーテに行きたいかをリクエストできることが望ましいです。

あと、潜っていて注意したいのは、光のラインの撮影に夢中になっていると、どうしても他のことを忘れてしまいがちで、フィンをバタバタさせて、浮遊物を巻き上げてしまうこと。
実際、そういうダイバーを見かけます。

そうなると、せっかくの美しい景観も台無しになるし、場合によっては危険も伴う。
後から来るダイバーのためにも、極力巻き上げをしないで、中性浮力をしっかり取り、美しいままの状態を他の人にも楽しんでもらえるような心遣いができるような潜り方ができれば、一流のダイバーといえるのではないかと思います。

セノーテ(撮影:越智隆治)

いかがでしたでしょうか?
私自身、セノーテについての日本語での情報がなく困っていた時期もありました。

アクアプリの田中さんから聞いたセノーテのいろはが面白く、今回このように田中さんの言葉を引用してご紹介させていただくこととなりました。

セノーテは数多くありますが、たくさんあるということを知っているか知らないかでも相当話の進むスピードも違うと思います。

私も一度セノーテに潜ったら他のセノーテの事も調べやすくなり、イメージもしやすくなり、なにより名前がすんなり入ってくるようになりました。
あれほど覚えられなかったのに……。

いろいろルールもありますが、“鍾乳洞を潜る!”というのはダイバーにしかできないことなので、ぜひ一度体験してもらいたいです。

“穴フェチ”の私は、佐渡金山、岩見銅山、足尾銅山など日本中の鉱山や鍾乳洞、洞門、虎穴に行っていますが、それが水に浸かっているんだから、これほど面白いものはないです。

鍾乳洞の中を飛んでいるような体験ができるのは、ダイバーの特権ですよ~!

■協力

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