続☆知床の海から水中生中継

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こんにちは。須賀潮美です。

もうすぐお正月を迎えるピンと張り詰めた冷たい空気を感じると、
氷点下の知床の海を思い出します。
さて、前回に引き続き、2日目の知床生中継を。

知床生中継は新年初回の放送に引き続き、1月6日にも行われた。
場所は、ウトロ港から西に約20㎞の知布泊(ちっぷどまり)港。

相変わらずオホーツク海は荒れ狂っていたが、
防波堤が波をさえぎり、港の中は穏やかで、深々と澄み渡っていた。

中継場所の港に到着すると、前日にチェックした時にはなかった、
直径50㎝ほどの丸い蓮葉氷(はすばごおり)で海面は覆われていた。
ついに知床の海が結氷し始め、1日違いでがらりと表情を変えた。

この時の生中継は、海の中からではなく、岸壁に立って陸上からスタートした。
ドライスーツで着膨れ、タンクを背負いフィンをはき、
大きなフルフェイスマスクを付けて立っているのは不格好で
久米さんにからかわれたが「行ってきます!」と、
夜10時過ぎの氷の海へ勢いよく飛び込んだ私を見て、
マシンガンのようにしゃべっていた久米さんは「あ〜、行っちゃった……」と絶句……。

水温はマイナス2℃。海水の温度はこれ以上下がることはない。
海面の蓮葉氷に触れてみると、柔らかいシャーベット状の氷で、
手を動かすと結晶が舞い散り、ライトに反射してダイアモンドダストのように輝いている。

水深5mほどの砂地の海底では、殻長20㎝ほどの大きなホタテガイが至る所で見られ、
ホタテを狙う巨大なヒトデ、砂地に擬態するカレイ、ギンポなどの生き物が登場した。

実は中継の3週間ほど前に下見に来たときは、かなりの種類の生き物が見られたのだが、
一足飛びに冬が近づいたオホーツク海では、生き物の姿がめっきり減ってしまっていた。
とはいえ、思いがけない蓮葉氷の出現で、
冬の知床らしい美しい風景を伝えることができた。

放送終了後は2日間の生中継の締めくくりとして、
生放送の興奮冷めやらぬスタッフ50名の打ち上げが行われる。
夜の12時過ぎから朝まで続く宴会でディレクターのKさんが最も心配したのは
「気温マイナス13℃の知床で酔っ払ったスタッフが外に出たら死ぬ」ということ。

宿泊する観光ホテルにお願いして、出入り口の自動ドアを閉め切ってもらった。
けれども、これが仇となり、
酔って表に出ようとしたスタッフが激突して大きなガラス扉が大破。
怪我はなかったものの、お金のかかった大規模な生中継に
追い打ちをかける痛い出費となったようだ。

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