ダイブテーブルって必要?
昨日のダイコンの話からの流れでひとつ。
「ダイブテーブルって必要なの?」
読者から、この質問は結構多い。
最も多い理由は、「実際、使わないじゃん!」。
しかし、僕はダイブテーブルを非常に重要なものと考えている。
それは、現実的に必要というより、
ダイビングを学ぶ上で必要だからだ。
ダイブテーブルは、“時間”と“深度”により、
窒素が体にたまる関係がひと目でわかる。
つまり、減圧症の初歩的な考え方を実感できるツールであり、テーブルを使うことにより意識が高まるのだ。
さらに、1日を通じてのダイビング全体のイメージができる。これは、潜り方(ルール)を知ることで非常に効果的。
その点、ダイブコンピュータは、
時間と深度との計算を勝手にしてくれて、
無減圧可能潜水時間(わからない人は昨日の日記を参照ください)が提示されるので、
便利な反面、数字だけを追ってしまうきらいがある。
もっといえば、場当たり的なのだ。
例えば、カーナビは行き先を入力すれば、
音声に従ってさえいれば目的地に着いてしまう。
非常に便利だ。
しかし、以前、地図を使っていたころとは違って、
道をまったく覚えなくなってしまうのと同じ。
自分の行動を体系的に、広い視野で把握せずに、
目の前の機械だけを頼りにしてしまう傾向に陥りやすのだ。
それに、道順なら万人に共通だが、
減圧症は使う人の特性(年齢、体格、疲れ具合など)によって
発症のリスクも異なるので、
カーナビ以上にダイブコンピュータに頼りっきりではダメで、より保守的な使い方が求められる。
さらに、実際に即した例を挙げるなら、
基本的にはダイコンは非常に優れた計算機。
計算機は数字を打ち込むだけで答えがでる。
しかし、そこに至るまでの方法論は理解できない。
暗算なら九九が必要だし、
計算によっては公式を知らなければならい。
つまり、ダイブテーブルとダイコンの関係は、
地図とカーナビ、暗算と計算機のようなものなのだ。
念のために言っておくが、
何もダイブコンピュータを否定しているわけではない。
あくまで、減圧症のメカニズムを知り、
ダイブコンピュータの数値の意味を知りもしないで、
数字だけ追って潜るのはやめてって話。
理解して使う分には、ダイコンほど素晴らしい機械はない。
ダイビングに革命をもたらしたといってもいいほどの
功績であることに間違いない。
同じように、プロは講習で「この数字を守ればいいのですよ〜」と教えるのではなく、
しっかりとダイブテーブルを使って減圧症についての知識を
深めてほしいというわけだ。
ちなみに僕が学生のときは、4年間、
実際にダイブテーブルを使って潜っていた。
1本目と2本目の時間や水深を考え、
それに合うコースを選択したりと頭を使うので、
減圧症に対する予防の意識と知識が身に付いた。
今度の自分合宿もテーブルでも潜るつもり。
やはり体験しないとなかなかわからないだろう。
自分で自分の面倒が見られる、
自己管理のできるダイバーになったら、
一度、ダイブテーブルを実際に使って、
バディ潜水をしてみるのもいいと思う。