魚の気持ち
ハリセンボンを膨らませること。
編集部に来る手紙では怒っていることが多い。
「人に何か言いたい」ってのは、大抵が怒りや
クレームなわけだから、まあそりゃそうなのだが。
みんなはどう思うのだろう?
ちょっと興味あり。
「かわいそう!」とか「ひどい!」とか怒る人。
その気持ちがよくわからない。
僕は“もうよした方がいい時代”と思うだけ。
それは決して感情の問題ではなく、
大元は生態系の保護という観点。
分類学上、人間と同じ哺乳類には感情移入できる。
犬なんてかわくてしょうがない。
しかし、その気持ちは鳥であやしくなり、
魚で困難、昆虫で絶対に無理、となる。
とはいうものの、ダイビングを通じて魚類と接するように
なり、コケギンポなんかを見ていると
つい擬人化して親近感を覚えてしまうから不思議だ。
この親近感という感情は、ヒエラルキーのトップにいる
人間から身を守るために有効だ。犬や猫などは大成功だろう。
そういう意味では、魚類にとってダイバーは、
歴史上初めて、“獲る-獲られる”の関係を超えた、
人類と魚類を結ぶありがたい存在なのかもしれない。
ただ、この親近感という感情が人によってかなり違い、
驚くほど魚に親しみを感じる人がいる。
僕はそこのところクールなのか、
例えばネンブツダイをモリで刺せといわれれば
普通に刺せる。エイッって。
魚類に「かわいそう」という気持ちは抱いたことがない。
以前、海でクマノミをマスクに入れていたガイドをみて、
それを見た僕と、一緒に潜っていた人たちは
エグジットしてから批判的ということでは一致するのだが、
「かわいそうだと思わないのかしら」と言われると、
微妙に話が違ってきて、
同じ意見なんだが、同じではなく、
何だかな〜と思ってしまう。
そういえば、カニだかエビだかが“苦しまないように
調理しなければいけない”なんて
法律だか裁判だかがあったなぁ。
これには「食い物の権利ねぇ」と考え込んだが、
ダイバーが接する魚の場合、
食い物としてじゃないからややこしい。
魚の気持ち。
何をどうとらえて考えればいいのか、なかなか難しい。
カニなどの甲殻節足動物は、
“意識を持ち、痛みを感じ、学習できる”
なんていう学者もいるが、
その意識やら痛みのとらえ方が難しい。
う〜ん。
※画像に意味はありません。