しゃべるダイコンが登場。新作「LogoseaseⅡ(ロゴシーズⅡ)」を先行レビュー
4月1日に販売開始予定の水中無線機「LogoseaseⅡ(ロゴシーズⅡ)」。一足先に体験させていただいたオーシャナ編集部より、体験したダイバー4名のレビューをお届け。気になる新機種の機能について、それぞれの視点から見たコメントが集まった。新作「LogoseaseⅡ」は、水中での安全面を考慮した革新的な進化を遂げていた。
“Logosease(ロゴシーズ)”は、高品質なものづくりを追求する山形カシオ株式会社(以下、山形カシオ)により開発された水中無線機。
2013年に発売され、水中マスクに装着し、超音波と骨伝導によってレギュレータを咥えたまま水中での会話を手軽に実現できることから、筆談や手信号でのコミュニケーションが一般的なダイビングの世界に会話を楽しむという新しい価値を提供し革命を起こした。
▼「LogoseaseⅡ」の新機能を解説した記事はこちら
LogoseaseⅡ開発のきっかけ
LogoseaseⅡのレビューをお伝えする前に、なぜLogoseaseという商品が生まれたのか、そしてLogoseaseⅡの開発に踏みきったきっかけについて、開発担当者にお伺いしてみた。
「Logoseaseの開発は、『ダイビングしている娘と今話せたらどんなに楽しいだろな』、というある一人の開発者のそんな想いから始まりました。その想いと情熱が形となり、ダイビングにイノベーションを起こすLogoseaseが開発されたのです。
その後改良を重ねながら、次のステージを目指しLogoseaseⅡの開発が始まりました。水中で音声を聞くことができる利点を生かして新たな提案ができないものか・・・。その中から出てきたのが耳で聞く「音声アラート」機能です。レジャーダイブ中、撮影中、作業中など、水中で『今』を最大限楽しみたい、もしくは作業に集中したい、その想いに応えるべくLogoseaseⅡが誕生しました。Logoseaseは次の新たなイノベーティブなご提案を目指し、今後も開発を続けていきます」。
「水中世界でコミュニケーションをとりたい」、そんな実体験をもとに生まれたという「Logosease」。確かに、ダイビングを体験した誰もが一度は感じたことのある衝動ではないだろうか。では、さらにパワーアップしたLogoseaseⅡのフォルムなど基本情報をチェックしていこう。
4人のダイバーによる新機能レビュー
今回レビューを行ったのは、オーシャナCEO・河本、Webディレクター・フォトグラファーの坪根、企画営業・編集部のスイカ、ライター・セリーナのダイビング経験豊富な精鋭4名。海底清掃や藻場調査、撮影など、海をフィールドに活動するアクティブダイバーによるリアルレビューをお届けする。
オーシャナCEO 河本雄太
ダイビング歴20年。ダイビングインストラクターとして1000人以上のダイバーを育成。現在は、ダイバーとして海底清掃や藻場調査などの現場に携わっている。
Webディレクター/フォトグラファー 坪根雄大
ダイビング歴20年、インストラクター歴18年(引退中)、ガイド歴19年(継続中)、ダイビング経験本数6450本。水中カメラマン。
企画営業・編集部 スイカ
ダイビング歴約10年、ダイビング経験本数約400本。ケーブダイビングなどテクニカルダイビングにも挑戦中。
ライター セリーナ
ダイビング歴約5年。ダイビング経験本数約200本。フリーダイビング日本代表。
水中世界に没入してても大丈夫!安全管理を知らせてくれる音声アラート
水深・潜水時間の管理は残圧の管理よりも見逃しやすく、安全配慮がより大事な部分だと思います。新しく追加された音声アラート機能は、自動で「耳」に聞こえてくるところが画期的でした!自分が気づいたタイミングでだいぶコンピュータを見るという不規則な動作ではなく、設定したタイミングで自動音声アラートが鳴るので、これは安全につながると身をもって実感しました。たとえば、自動車の場合でいうと「長時間の運転です、休憩を挟みましょう」とナビがアナウンスしてくるような感じですね。
私は、水中撮影時のLogoseaseⅡ装着にどんなメリットがあるか気になり水中カメラを持っている際に使用してみました。水深が深い場所で生物撮影に集中している時、真っ暗なケーブポイントで撮影をしている時にNDL(※)をアナウンスしてくれる機能は安全面で非常に良いと感じました。
※NDL(無減圧潜水時間):現在の水深にとどまることができる制限時間
水深や安全停止を自動音声アラートで教えてくれるので、ダイブコンピュータを常に気にする必要がなくなりました。また、都度お知らせしてくれるため、LogoseaseⅡを付けていると安全面がより高い状態で潜れていると感じました。
※上記以外に、減圧停止が必要になった場合の通知(減圧停止の水深、減圧停止深度からのトータル浮上時間、減圧停止の開始と終了、減圧停止中の水深、減圧停止の残り時間など)、および製品の状態(バッテリー電圧低下、センサー故障、モード遷移)などの音声案内あり。
※用語解説:NDL(無減圧潜水時間:現在の水深にとどまることができる制限時間)/CNS(中枢神経系:高圧条件下で発生する酸素中毒)/PO2(酸素分圧:ガスに含まれる酸素の圧力)
どの方向から呼んでもOK!より広範囲に声が届くように
実際に使用してみてアンテナの向きが変更されたことにより音声を拾う範囲が広がったことを実感しました。Logoseaseでは、お互いがお互いを向いて会話することを推奨していましたが、LogoseaseⅡは、向き合っていなくても、前を向いているダイバーが後ろにいるダイバーに呼ばれてもちゃんと聞こえました。
ケーブダイビングの時に使用してみたいと思いました。洞窟では張られたラインに沿って、チーム全員が進行方向を向いて進みます。ダイバーたちはラインを基準にポジショニングしていて、洞窟が狭ければ縦一列、広ければジグザグに位置取りをしていることが多いです。その際、一番前のリーダーが都度都度後ろを振り返って確認しなくて済むように、後ろの人に何かあった場合は持っているライトで合図をします。ロゴシーズがあれば、手が使えない状況でも音声で合図ができるし、万が一視界不良でお互いが見えない状況でも音声でコミュニケーションがとれるのは安心感につながるのかなと思いました。
私は、今回の新作LogoseaseⅡで初めて水中無線機というものを使用しました。今まで、水中で手の届く範囲の人としかコミュニケーションできないと思っていましたが、LogoseaseⅡを使用してダイビングの楽しみ方の幅が一段と広がりました。万が一の緊急時には、バディやガイドにすぐにコンタクトを取れるというのも今までにない手段でした。
本体で完結!各設定やログチェックが可能
操作ボタンが付いたところもLogoseaseⅡの大きく進化したポイントだと思います。山形カシオさんの開発技術がアップしたことで、今まではPCに繋いで設定変更をしていたのが、LogoseaseⅡ本体で完結します。ディスプレイにログ機能がついていると、万が一ダイブコンピュータを忘れた時も安心ですね。
最後に!LogoseaseⅡの魅力に迫る
実際に使用してみて、会話機能については「水中で会話する」ではなく「水中でより最適にコミュニケーションをとる」という印象を受けました。人を呼ぶなど、まず気がついてもらうのにとても使い道があると可能性を感じています。また、作業しながらの潜水で手が塞がっている時や水中撮影に夢中な時、海洋講習のスキルアップに必死な時など、いろんな環境で役に立つアイテムに進化していると感じました。
水中撮影をしていると両手がふさがっていることが多いので、水深を音声で教えてくれることはありがたかったです。通常のファンダイビングに比べると撮影中はダイブコンピューターを頻繁に確認することが疎かになってしまうので、自責の念を込めて使用していきたいと思いました。
水中撮影時に使用したところとても便利でした。モデルへの指示、確認が音声でコミュニケーションがとれるので通常の水中撮影時より遥かに捗りました。ただ、ずっと付けてると装着部分が痛くなったり耳抜きがしづらくなったので、いつもよりマスクのストラップを緩めたり、自分にあった装着位置を見つけことをおすすめします!
「うわ!珍しい魚見つけちゃった…!バディやガイドさんにも教えたい…!でも、違う方向見ていて気づいてもらえない…(泣)」。そんなとき、Logoseaseで話しかけて、気づいてもらえた経験がすごく感動しました。
4月1日より販売スタート「LogoseaseⅡ」商品概要
機種名:LogoseaseⅡ LGS-RG007
カラー:イエロー・ブラック
発売日:4月1日
メーカー希望小売価格:97,680円(税込)/1個
※水中で会話するには各ダイバーが“LogoseaseⅡ”を装着する必要あり
購入場所:
・ECサイト
・各ダイビングショップ
・ビックカメラ
・ヨドバシカメラ
今までは、水中無線機として二人以上でないと使用できなかったが、音声アラートとディスプレイ機能が加わったLogoseaseⅡでは、一人でも活用することができるようになった部分も大きな進化ではないだろうか。