全日本学生水中フォト&ビデオコンテスト 結果発表

今年初開催となる「全日本学生水中フォト&ビデオコンテスト2025」の入賞作品がついに発表された。応募総数は500点を超え、初年度とは思えない盛り上がりを記録。受賞結果は2025年11月13日に開催されたオンラインでの受賞式で発表・表彰され、学生を中心に多くのダイバーの注目を集めた。

第1回全日本学生水中フォト&ビデオコンテストは、2025年7月から2025年9月までの間に応募された159人・全548点の作品から、峯水亮と茂野優太の両氏による厳正な審査を経て受賞作が選ばれた。予想以上に応募作品のクオリティが高く、審査員と実行委員との協議により、グランプリと入賞に加えて新たに「入選」の枠を設けることになるという嬉しい誤算も。
オンライン授賞式では可能な限りの受賞者が出席し、審査員の2人からも各受賞者にコメントが寄せられた。学生ダイバーにとっては稀に見る晴れ舞台に。

受賞者には現地ダイビングサービスのチケットに加え、撮影機材や図鑑といった豪華な賞品が授与された。

授賞式の様子

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グランプリ

受賞者:青山太河 氏
作品名:「白銀の孤蝶、舞う。」
受賞者:青山太河 氏
作品名:「白銀の孤蝶、舞う。」

受賞者のコメント

ナイトダイビングで群れのマンタを追っていた際、まだ幼い子供のマンタに出会いました。周囲の大人のマンタが優雅に旋回しながら捕食していく中、その子だけは上手く回転できず、ずっと水底近くに留まっていました。撮影を続けるうちに大人たちは次々と去っていき、最後に残ったその子が、ついに勇気を振り絞るように回転し捕食行動を始めました。初めての旋回を目の当たりにした瞬間です。

一般部門

1位

受賞者:加野奏大 氏
作品名:「祈り」
受賞者:加野奏大 氏  
作品名:「祈り」

受賞者のコメント

モンツキカエルウオのハッチアウトの場面です。青く光っているのは稚魚の頭です。その輝きを活かすために、絞りを絞りすぎず幻想的な雰囲気を演出しました。巣穴から子どもたちの門出を見守る父親のモンツキカエルウオは、優しくもどこか切ない表情を浮かべています。ファインダーを覗きながら、私自身も父親と同じように、無事に旅立てるよう祈りを捧げた瞬間でした。

2位

受賞者:小松大祐 氏
作品名:「月光に照らされるミカド」
受賞者:小松大祐 氏  
作品名:「月光に照らされるミカド」

3位

受賞者:田代大翔 氏
作品名:「夜更けの旅立ち」
受賞者:田代大翔 氏  
作品名:「夜更けの旅立ち」

入選

受賞者:伊藤龍之介 氏
作品名:「新米コンビ」
受賞者:伊藤龍之介 氏  
作品名:「新米コンビ」

受賞者:柘植海成 氏
作品名:「かぐや姫」
受賞者:柘植海成 氏  
作品名:「かぐや姫」

受賞者:仲田琉馬 氏
作品名:「ヴェールの向こうのハマクマノミ」
受賞者:仲田琉馬 氏  
作品名:「ヴェールの向こうのハマクマノミ」

受賞者:早野秀哉 氏
作品名:「大自然」
受賞者:早野秀哉 氏  
作品名:「大自然」

コンデジ部門

1位

受賞者:河本凛 氏
作品名:「かみさまたちのおしゃべりごっこ」
受賞者:河本凛 氏  
作品名:「かみさまたちのおしゃべりごっこ」

受賞者のコメント

神様・布袋様に似た愛らしいホテイウオの赤ちゃん(別名:ごっこ)。小さな命のやりとりを鮮明に伝えるため、目線が合う角度で大きく切り取りました。感じた可愛さや優しさを多くの方と共有できればと思います。赤ちゃんらしい柔らかさを表現するため、露出を+0.7evと明るめに、リングライトの光量を上げ背景をふんわり仕上げています。タイトルは赤ちゃんらしさを込め、ひらがなで表記しました。

2位

受賞者:大西美沙希 氏
作品名:「消えゆく彩、潜む影」
受賞者:大西美沙希 氏  
作品名:「消えゆく彩、潜む影」

3位

受賞者:錦戸海地郎 氏
作品名:「海の花」
受賞者:錦戸海地郎 氏  
作品名:「海の花」

入選

受賞者:今井康太 氏
作品名:「龍の眼差し」
受賞者:今井康太 氏  
作品名:「龍の眼差し」

受賞者:彫谷一郎 氏
作品名:「光の下を行く」
受賞者:彫谷一郎 氏  
作品名:「光の下を行く」

受賞者:鈴木桜太朗 氏
作品名:「Pastel Serenade」
受賞者:鈴木桜太朗 氏  
作品名:「Pastel Serenade」

受賞者:仲田琉馬 氏
作品名:「小さなビーチのかくれんぼ」
受賞者:仲田琉馬 氏  
作品名:「小さなビーチのかくれんぼ」

ビデオ部門

ビデオ部門入賞・入選の作品はYouTube上でも公開しています。

1位

受賞者:藤澤幸大 氏
作品名:「みて!すごいでしょー!」

受賞者のコメント

大学で始めたダイビングをきっかけに仲良くなった友人との小笠原旅行最終日のひと時です。ミナミハンドウイルカの群れに囲まれ、魚を咥えた子が僕の周りを泳ぎまわり、捕まえた魚を誇らしげに見せてくれているようでした。真夏らしい青い空と真っ白の雲、父島の豊かな緑、ボニンブルーの海に差し込む光、凪の水面に映るイルカの姿を表現したいと思い、この構図で撮影しました。心が通じ合った瞬間の感動を伝えられれば幸いです。

2位

受賞者:西松幸多郎 氏
作品名:「ニタリのすべて」

3位

受賞者:大西美沙希 氏
作品名:「縄張り争い」

入選

受賞者:小松大祐 氏
作品名:「生命の源 海」

受賞者:今井康太 氏
作品名:「輝泳」

受賞者:窪田優 氏
作品名:「海の仲間」

受賞者:岩本すずな 氏
作品名:「おったんかい」

審査員による総評

茂野審査員

学生ダイバーの熱量、楽しむ気持ちを感じることができる素晴らしいフォトコンテストでした。
自分が大学生だった頃にこんなに素晴らしい景色を見たことがあっただろうか?それを写真で表現できていただろうか?そして海をこんなに楽しめていただろうか?審査していて非常に羨ましくもなりました。どうしても学生ダイバーはダイビングをする機会も撮影機材も劣ってしまうでしょう。だからこそ「その瞬間の感動を写真に表現する。」どの作品にも作者の楽しい気持ちやワクワクが乗っていて、審査していてこんなに楽しいフォトコンテストは初めてでした。一般部門は学生とは思えないほどの素晴らしい完成度の作品が多かったですが、印象的だったのはコンデジ部門の作品たちで、一般部門にも引けを取らない、カメラの性能を凌駕するほどの素晴らしい作品が多かったです。今回選ばれなかった作品たちにも、受賞者に引けを取らない作品も多かったです。そしてこれだけのフォトコンを企画するだけの主催者たちの行動力。若い人たちが主役になる世界、自由な目線で切り取る水中世界がこれからのネイチャーシーンを更に広げていくのではないか。今後がすごく楽しみです。


峯水審査員

初回にもかかわらず多くの作品が集まり、どの部門も楽しく拝見しながら審査をさせていただきました。今回は一般部門からグランプリが選出されましたが、一般部門とコンデジ部門の間に大きな差はなく、コンデジ部門からグランプリが出てもおかしくないほど、全体的にレベルの高い作品が多かった印象です。一方で、複数の部門で入賞・入選された方がいたように、カメラを使いこなしている方とそうでない方の間で、作品の完成度に差が見られました。そうした点からも、学生の皆さんがダイビングに行ける機会が増えて、カメラの理解を深める時間が増えることで、さらに表現力豊かな作品が生まれてくるのではないかと期待しています。ビデオ部門については、編集による構成を取り入れた作品がほとんどなく、撮影したワンカットをそのまま提出したものが多かった点が印象的でした。来年は、ストーリー性や映像表現を意識した作品がより多く寄せられることを楽しみにしています。あと、今回は九州・沖縄地方の学生さんたちの参加が非常に少なかったようなので、より多くの学生さんたちに参加して頂けるよう、本フォトコンを広めて周知をしていきたいと思っています。


次回開催について

「全日本学生水中フォト&ビデオコンテスト」は次回、2026年夏に募集開始予定。より多くの学生から、よりハイレベルな作品が応募されることを目指して準備が進められている。これまでに挑戦した人も、まだ応募したことがない人も、臆することなく挑戦して欲しい。来たる次回に向けて、カメラを持って水中の世界に飛び込んでみよう。

▶︎全日本学生水中フォト&ビデオコンテスト

(文:全日本学生水中フォト&ビデオコンテスト実行委員 赤枝黎)

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