ダイビング中にザトウクジラに遭遇! 呼んだら来た? 夢のような10分間の様子をインタビュー

「いつかクジラに海の中で出会ってみたい」。
そう思うダイバーは数多くいるのではないだろうか。

最近アバターを観て、クジラに想いを馳せる私もそのうちの一人。そんな私に、つい先日ある映像が送られてきた。それは、ダイバーたちの周りをザトウクジラがゆっくりと泳ぎ、何度も息継ぎをして戻ってくるという今までに観たことのないような映像だった。慶良間でダイビング中にザトウクジラに出会ったというダイバーが撮影したそうだ。なんと約10分もの間、逃げずにその場にいたという

そんな、とてつもなく羨ましい体験をしたダイビングショップ「那覇シーマリン」のガイド・原 智佳子さんと、那覇シーマリンの自社船アリエル号を操船していた船長の中村誠さんに、撮影時の様子を伺うことができたので、一部始終をお伝えしたい。

呼んだら現れた!?
クジラの鳴き声に返事

スイカ

いつどこでザトウクジラに出会いましたか?

原さん

2月13日の朝、1ダイブ目の終わりだったので8時40分くらいです。場所は慶良間の「ウチザン礁」というポイントです。

スイカ

出会った時の様子を詳しく教えていただけますか?

中村さん

この日はゲストが二人だったので、原さんガイドで三人で海に入っていましたね。

原さん

エントリーして、メインの根を見て、マンタが出そうなところで遊んで、沖の根に向かっているときに、クジラの鳴き声が「わーん」って聞こえたんです。それで、ちょっとお話しするのが恥ずかしいんですけど、私もその鳴き声に、「わーん」って返してたんです

スイカ

返事してたんですか(笑)。

原さん

はい(笑)。根から根の移動中にずーっと返事していました。1分くらいしたら聞こえなくなったので、ハナヒゲウツボを見ようとして根の付近で出待ちをしてたら、カメラを持ってないゲストさんから悲鳴が聞こえたんです。

10分もの間、ダイバーたちの近くを泳ぐザトウクジラ

原さん

それでゲストさんの方を見たら、5mくらいの大きさのザトウクジラが一緒に根を囲んで並んでたんです。そこから急に泳ぎ出して、ぐるぐる回ったり、水面に行ったと思ったらまた帰ってきて回ったり、中性浮力をとって止まったりしていました。私たちに興味があるのかたまに正面から近づいてきて止まったり、1mくらいの距離まで寄ってきたりしました。

スイカ

そんなことがあるなんて…! どれくらいの時間そこにいてくれたんですか?

原さん

10分くらい、いてくれました。行っちゃうかなと思ったらまた戻ってきて。クジラと自撮りしようとチャレンジするくらいの余裕がありました(笑)。

スイカ

羨ましい。原さんはその時どんなお気持ちでしたか。

原さん

夢の世界でした。目元や顔の筋、体についているフジツボもはっきり見えるほど近くて、何が起きているかわからないほどでした。お客さんは「アバターみたい」って言ってました。クジラもこっちをじっと見ているように感じました

スイカ

今までダイビングでザトウクジラに出会うことはありましたか?

原さん

25年くらい潜っていて初めてでしたね。

スイカ

慶良間周辺にこの時期ザトウクジラは来ていますが、ダイビング中の目撃情報はあまりないのでしょうか?

中村さん

ウチザン礁では最近だと、去年と3年くらい前にダイビング中に見たという話は聞きました。ですが、遠くの方を通り過ぎて行ったというくらいで、今回ほど近くまできたというのはなかなか聞かないですね

スイカ

ちょっと危ないのかなとも思ったのですが、もしダイビングでクジラに出会ったらどうするべきですか?

原さん

そうですね。実際、何もしない方が無難かなと思って、根の近くにじっと止まって見てました。私はお客さんが蹴られないように、ぶつからないように注意もしつつですが、見ているだけでした。

スイカ

クジラもダイバーが何もしてこないことがわかって、周りを泳いでいたのかもしれませんね。もしよければ、これから沖縄に潜りに来る方に向けて一言いただけないでしょうか。

中村さん

ホエールスイムやウォッチングなどクジラを見る方法はほかにもありますが、毎年、年に一人や二人はダイビング中にクジラを見ていると聞いています。この時期は何度も通うと、こんな夢のような瞬間に出会えるかもしれません。

原さん

約25年、慶良間周辺を潜っていますが、マンタやジンベエザメ、イルカに出会うこともありました。慶良間は何が出るかわからないので、本当に可能性のある海だなと思います。ぜひ遊びにきてください。

スイカ

ありがとうございました。

海での出会いは何があるかまったく予測できない。沖縄の中でも人気の慶良間エリアには、どんな生き物に出会えるかわからない楽しさがある。中でもこの冬の時期にはザトウクジラが繁殖にきているので、もしかしたらこんな夢のような体験もあるのかもしれない。

取材協力:那覇シーマリン

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PROFILE
IT企業でSaaS営業、導入コンサル、マーケティングのキャリアを積む。その一方、趣味だったダイビングの楽しみ方を広げる仕組みが作れないかと、オーシャナに自己PR文を送り付けたところ、現社長と当時の編集長からお声がけいただき、2018年に異業種から華麗に転職。
営業として全国を飛び回り、現在は自身で執筆も行う。2020年6月より地域おこし企業人として沖縄県・恩納村役場へ駐在。環境に優しいダイビングの国際基準「Green Fins」の導入推進を担当している。休みの日もスキューバダイビングやスキンダイビングに時間を費やす海狂い。
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