網に絡まった子クジラをダイバーが救出、クジラ仲間と無事合流

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沖縄県北谷町でダイビングショップ「アオカワダイビングサービス」を経営する中西さんが、漁業用の定置網に絡まっていた子クジラを救出した。

▼その時の様子がこちら

網にかかっていたのはザトウクジラの子どもで体長は約4m。発見から救出に至るまでの経緯について中西さんに詳しく伺った。

「朝8時半ごろ、ダイビングポイントでエントリーの準備をしていた時に、遠くに潮吹きするクジラを見つけたので、ダイビングを後回しにしてクジラが近くにいるうちにホエールウォッチングをすることにしたんです。ゆっくりとクジラがいる場所に近づくと、大きな個体のクジラを二頭見つけたのですが、少し離れたところに違和感のある動きをする小さなクジラがいて。漁業用の定置網がある付近だったので、「網に絡まっているのでは?」と思い、船を慎重に近づけ、シュノーケリングにて網に絡まっている状態を確認。この時点で発見時から30分ほど経過していました」。

発見時の子クジラは、網にしっかりと絡まっていて、明らかに動きが取りにくい状況だったという。幸い、水面近くだったので、なんとか呼吸は出来る状態であったが、元気があるようには見えなかったという。

「網を切らずに救出は難しいと判断したのが9時頃でした。網を管理している漁協の関係者と118(海上保安庁)に連絡をして対応を検討することに。許可を取らずに網を切った場合は、賠償問題になりかねないからですからね。発見当日の日曜日は漁協が休みのため、確認には時間がかかりました。その間、私ひとりでクジラを押してみることにしましたが、子クジラでも全く動かせず。10時頃になり、網を管理する漁協の関係者が船で様子を見に来たため、現場で許可を取り、網を切りました」。

▼網を切って救出している様子はこちら

使用したのは台所用の包丁で、網を切るには2分もかからなかったという。なぜ漁業用の網に絡まっていたかについては、ザトウクジラの繁殖シーズンと重なっていたことが理由にあるのかも知れない。クジラたちは繁殖と子育てのために、冬から春にかけて北方から沖縄近郊に南下してくるのだ。そのような事情があるため、魚が取れるような場所に設置されている漁業用の定置網にクジラが来ても不思議ではないのかも。

▼救出後のクジラの様子

「網を切った後の子クジラは、5分もかからず少し離れて待っていた親と思われるクジラと合流。それからは三頭一緒に楽しそうに泳いでいました」。

合流後の動画を撮らなかったのは、クジラに近づけば、また網に絡まる可能性があると思ったためだという。それから中西さんは、遠回りして現場を離れたようだ。各局の協力があってこその救出劇、子クジラには今後も元気に泳ぎ回ってほしいと願わずにはいられない。

協力:アオカワダイビングサービス

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