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BCのテスト回数は2万回!器材の安全のためにTUSAが行っている取り組みとは閲覧無制限

株式会社タバタ(撮影:寺山英樹)

水中という特殊な環境で、ダイバーの“命”を預かるダイビング器材。

にもかかわらず、ダイビング器材を購入する際、“安全性”を考えて選択するダイバーが少ないのはなぜでしょうか?
ダイビング器材における“安全の価値”について、TUSAの取り組みをもとに考えてみたいと思います。

ダイビング器材を購入する際に、重要視されるポイントとは?

まず、ダイバーは何を重要視して器材を購入している(購入した)のでしょうか?

先日行った「ダイビング器材を購入する際、何を重要視しますか?」のアンケート結果を見ると、“性能・機能”、“値段”、“フィット感・フィーリング”が上位3つを占めています。

BCとレギュレーターの購入に際して最も重要視した(したい)点は?

  • 特に気にしていない (0%, 1 Votes)
  • 人から勧められたもの (11%, 35 Votes)
  • 重さ・大きさ (7%, 21 Votes)
  • フィット感・フィーリング (13%, 39 Votes)
  • 安全性 (9%, 27 Votes)
  • デザイン・ファッション性 (3%, 8 Votes)
  • 性能・機能 (45%, 138 Votes)
  • 値段 (12%, 38 Votes)

Total Voters: 307

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BCとレギュレーターの購入に際して二番目に重要視した(したい)点は?

  • 特に気にしていない (1%, 3 Votes)
  • 人から勧められたもの (7%, 22 Votes)
  • 重さ・大きさ (10%, 29 Votes)
  • フィット感・フィーリング (13%, 40 Votes)
  • 安全性 (12%, 35 Votes)
  • デザイン・ファッション性 (9%, 27 Votes)
  • 性能・機能 (22%, 67 Votes)
  • 値段 (26%, 80 Votes)

Total Voters: 303

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ダイビングを始める前、あるいは始めたばかりの多くの人にとって、ダイビングは未知なる世界であることに加え、“競技性がない”“技術への目標意識が低い”レジャーであることから、ダイビング器材の性能や機能への執着は低く、デザイン・ファッションや値段を重視する傾向にあるとも言われていました。

しかし、アンケートでは、“安くて見た目がよい”だけでなく、きちんと性能や機能を見極めようというダイバーが多いようですね。

そういう意味では、経験の少ないビギナーが性能・機能を見極めるための情報源となる、身近なインストラクターやガイド、メディアの重要性を改めて感じさせられます。

アンケートで一点気になったのがダイビング器材の“安全性”について。

ダイビング器材にとって、最も重要な価値、というより、前提となるのが“安全”であることは言うまでもありません。

ただ、成熟した市場であれば、安全は業界として厳しいルールと相互チェックがあり、レギュレーションをクリアした上で付加価値、優位性での勝負となるわけですが、ダイビングの場合、業界として器材の統一ルールのようなものはなく、安全という前提は、各メーカーの自助努力に任せられ、なかなか語られてこなかった印象があります。

アンケートでもわかるように、ユーザーは購入時に安全性をあまり気にしない、というより、何をもって安全かの確認のしようもなく、それは当たり前の前提としてあるものだという認識なのかもしれません。

そうしたユーザーの信頼に応えるヒントとなる、とても興味深いニュースを思い出しました。
TUSAブランドで知られる株式会社タバタが、昨年秋に “製品安全対策優良企業”として表彰されたのです。

このニュースはダイビング業界としては画期的なことです。
そこで、タバタの安全に対する姿勢を取材してみることにしました。

“安全”に対するタバタの取り組み

まず、“製品安全対策優良企業表彰”とは、経済産業省が「製品安全に積極的に取り組んでいる企業を公募し、厳正な審査の上、表彰を行なっている」表彰制度のこと。

製品安全に対する意識の向上と製品安全文化の定着を図り、持続的に製品安全が確保されるような安全・安心を作ることを目的としています。

この表彰制度に公募して受賞したのがタバタ。
その取り組みについて、品質管理課・山崎勇さんと開発部・藤間太朗さんにお話を聞きつつ、品質管理の現場も紹介します。

茨城にある物流センター(撮影:寺山英樹)

茨城にある物流センター。器材は巨大な棚に品番ごとに管理され、オートメーションで取り出し可能

――

まず、品質管理課とはどういう仕事でしょうか?

山崎

ひと言でいえば、製品の基準を作る仕事で、一番先にくるのは法律の要求に応えることです。

他の業界ですと、業界関係の規制関係への対応も大きい役割ですが、ことダイビング業界に関しては、業界としての品質基準がないので、まずは法規制に対する品質管理が最優先になってきます。

そして、タバタでは自社独自の厳格な品質基準を設けていますので、その管理も大きな仕事です。

品質管理課の山崎勇さん(撮影:寺山英樹)

品質管理課の山崎勇さん

――

製品安全対策優良企業の表彰は、どのような点が受賞のポイントになったのでしょうか?

山崎

まず、レギュレーターやBCジャケットなど、人の命にかかわるような重要な器材と軽器材などをクラス分けして、それぞれの品質基準を明確化し、リスクレベルに応じた管理を徹底していることです。

実際問題として、全ての製品に同じような基準を求めても過剰品質になってしまいますし、コストとのバランスが取れなくなってしまうということもありますしね。

出荷前のレギュレーター(撮影:寺山英樹)

独自の品質基準が厳しいTUSA。例えば、レギュレーターは出荷前に全品検査が行われている

山崎

また、社内の開発者、営業者はもちろん、各種のフィールドテスト結果が製品にフィードバックされて、確実に運用されている点も評価の対象となりました。

モノによっては数か月、1年くらい徹底的にフィールドテストをすることもあります。

――

オリジナルの品質基準とは具体的には、どのように決めるのでしょうか?

山崎

JIS規格、EN規格、ST基準、ISO規格など、製品に関するワールドワイドな基準・規格を採用していますが、ひとつ例を挙げると、タバタの場合、BCやレギュレーターに大きく関わるのがEN規格(欧州統一規格)です。

これは、EU統一の製品規格で、世界のスタンダード基準 。
CEマーキングの身体保護指令の中に、BCジャケットとレギュレーターが含まれており、日本国内にはない基準です。

そういう意味では、タバタは、日本メーカーの中では、かなりシビアな品質管理を行なっていると思います。

ファーストステージ(撮影:寺山英樹)

レギュレーターのファーストステージはひとつひとつの手作業

――

他社に比べてそれほど厳しい自社のオリジナル基準を作ると、それこそ、開発としては、デザインや機能・性能で、そこまで厳しくないメーカーに後れをとってしまうリスクはありませんか?

藤間

開発や営業としては、やりたいことが思うようにできないというジレンマも正直あります。

例えば、他社では市場に出せる“色”を使いたくても、タバタでは染色堅牢度の基準に達しなくて使えないとか。

開発部の藤間太朗さん(撮影:寺山英樹)

開発部の藤間太朗さん

――

色も品質や安全にかかわってくるのですか? イメージがわかないんですが。

藤間

例えば、BCやバッグの生地の色が落ちて、他のものに移ってしまえば、それもユーザーにとってのデメリットとなり、品質が落ちるということになります。

分かりやすいところでは、メッキなど。
メッキが剥がれて錆びたり、剥がれた縁の部分でケガをしたりするリスクが考えられます。

もちろん、人の命にかかわるBCジャケットやレギュレーターは、さらに厳しい基準とテストが待ち受けています。

BCの例でいえば、ブラダー(編注:空気の入る部分)に空気を出したり入れたりするテストを2万回繰り返します。

これも社内基準で、今までの経験で、これなら一定年数、破れる心配がないという基準が2万回だったです。
他社のものでやってみると、2万回もたなかったりすることも多いですよ。

以前、デザインがちょっと変わったBCを作った時など1万5千回目くらいでダメになり、一からブラダーの設計をやり直しになったこともあります。

レギュレーターにしても、日本で初めて導入した排気抵抗性能試験機で、吸排気抵抗値が基準値以内になるまでテストを繰り返します。

水深50mでも安定した空気を4人分くらい供給できるような厳しい基準です。

給排気抵抗性能試験機(撮影:寺山英樹)

日本で初めて導入された給排気抵抗性能試験機

■測定機にセカンドステージをセット

測定機とセカンドステージ(撮影:寺山英樹)


■圧力をかけて、レギュレーターに空気を出し入れする。水深50mの水圧下で呼吸をしているのと同じ環境で測定する。

測定の様子(撮影:寺山英樹)


■吸排気の抵抗値をグラフで確認。これをすべてのレギュレーターで行ない、TUSAが考える厳しい吸排気抵抗基準に達していなければ市場に出されない

グラフで確認する様子(撮影:寺山英樹)

この続きは、明日(9/5)にアップいたします。
どうぞお楽しみに!

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