外見からはわからない!? オーバーホールでの組み立て間違い
オーバーホールにおいて、器材の組立方法を間違ってエアーが出なくなってしまう場合がありますが、
逆にエアーが出てしまう場合もあります。
組み立て後に、レギュレーターのエアーが出ずに、空気が吸えないと気が付けば、再度分解して原因解明することでしょう。
しかし、エアーが出て、吸えてしまう場合は、間違っていることに気が付かずに、そのまま納品されてしまいます。
今回はその一例をご紹介します。
分解している工程で、前回のオーバーホール時、組立てミスをされていることが判明したケースです。
こちらは、レギュレーターのセカンドステージのフェイスカバー。
そのカバーやリングをはずすと、ゴムの膜(ダイアフラム)があり、内部はこのようになっています。
正しく組立てされている場合は、下画像のとおりです。
ホースを通過してきたエアーはセカンドステージ内に入り①ケース上部にあたった後、②ダイバーの口に運ばれます。
これが正常な状態。
でも届いた器材は違っていました。
穴の方向が違っているのがわかりますか?
上ではなく下を向いています。
オリフィスベース(銅色の部品)の向きが反対に組まれてしまっています。
空気は出るのですが、この向きに組まれていると、ケース内に入ってきたエアーは、①ケース下部にあたり、②ダイアフラムにあたった後、③ようやくダイバーの口に運ばれます。
遠回りになってしまいますよね。
さらに、吐く前に、エアーが通過する際に④排気バルブからもエアーが出てしまいます。
これは、快適な呼吸が妨げられている状態です。
ですがお客様ご本人は、このようになっていることをわかるすべもなく、レギュレーターを使い続けていました。
この度のオーバーホールを終えて納品した後、レギュレーターの呼吸がすごく楽になったというお礼のメールをいただきました。
今回、特別な調整のオーダーをいただいたわけでもなく、通常通りに仕上げただけなのですが、飛躍的に変わったとのご感想でした。
快適に器材を使用できるようにするために施せる術はいろいろとありますが、まずは正しく器材を組み立てることは基本中の基本。
作業に不慣れな方か、オーバーホール初心者の方だったのかもしれません。
安全快適に、マイギアの持つ性能が活かされた状態でマイギアを使用できるよう、オーバーホールの際には価格だけでなく、作業内容やどのような作業をされているかなど、できる限りの情報収集をし、信頼のおける先へ依頼されることをお勧めします。
とはいうものの、プロにオーバーホールをしてもらえば信じて当たり前。
なかなか気が付くことは難しいかもしれません。
そういう意味では、こういうこともあると理解して、バックアップ器材の重要さを知るきっかけにしていただければと思います。