日本を代表する水中写真家が「マリンダイビングフェア2022」に大集結!編集部アフターレポ
4月1日(金)から4月3日(日)までの3日間、東京・池袋サンシャインシティ文化会館(Cホール)にて行われた「マリンダイビングフェア2022」。会場は来場者の熱気に包まれ、昨年以上の賑わいを見せていた。
オーシャナ編集部がアフターレポートを執筆するにあたり、特に注目したのは、全国各地から集結した日本を代表する水中写真家の皆さん。国内外を撮影で飛び回る水中写真家が一堂に会すのは滅多にないこと。本イベントでは、水中写真家ブースで同時に何人もの水中写真家に会えるだけでなく、他では観ることのできない今回限りの特別なトークショーまで行われた。そこで今回の記事では、そのトークショーの様子を一挙にまとめてみた。
ステージプログラムには3日間で総勢11名の水中写真家が登壇。水中写真家ごとに様子を紹介していこう。
高砂淳二氏
本イベントでナビゲーターを務めた高砂氏による、オープニングトークショーをはじめ、3つのプログラムに登壇。
「オープニング トーク&撮影のための自然との付き合い方」
前半は本イベントの見どころなどが紹介され、後半では作品を観ながら撮影秘話を披露。高砂氏の写真は、青い海、イルカ、夜の虹をはじめ、多くの作品に感動と驚きを覚えずにはいられないが、どのように海、自然と付き合っているのか?たっぷりと語られた。
「水中写真・自然写真の撮影術」
どんなカメラ、レンズで撮ったのか?ストロボは?自然光?普段なかなか聞けないプロフォトグラファーの撮影テクニックが徹底的に紹介された。
「未来に美しい自然環境を残すために」
撮影を通じて自然と人との繋がりや、地球との付き合い方や関係を次第に考えるようになったという高砂氏が、自ら撮影したプラスチックごみで溢れた海の写真を見せながら、美しい海と自然環境を未来に残すためにできることを提案した。
阿部秀樹氏×尾﨑たまき氏
水中生物の繁殖行動、夜の海月光の海風景、水中の四季などをライフテーマとして撮影を行う阿部氏に、熊本県の水俣や三陸などを追いつづけてきた尾﨑氏とのトークセッション。
「迷える子羊よ! 阿部流写真の選択」
自身も迷える子羊という阿部氏流の写真選別方法に、本格派女性目線で尾﨑氏が切り込みながら、被写体の何に狙いを定め、何処を掘り下げて、どこを見せて、どこを切り捨てるのかを考えていった。
「セブの海!たまき流写真の選択」
多くのダイバーに馴染みのあるセブの海。台風の被害が心配な中、改めてセブの魅力を再確認。阿部氏とともに、尾﨑氏流セブの海セレクト作品を見ながら、写真について語り合った。
清水淳氏
ocean+αでも“ミスターオリンパス水中”の愛称で水中カメラレビューを連載中の清水氏。本イベントでもTG-6について3つのプログラムで徹底的に解説した。
「TG-6を使いこなせ! 『ライトがいいのか?フラッシュがいいのか?』」
気軽に水中写真が撮れるコンパクトデジタルカメラ「TG-6」。水中ライトやフラッシュなど、どのようなアクセサリーを追加し、どのように撮影したら初心者っぽい写真を脱却できるのか。清水氏が細かくアドバイス。
「TG-6を使いこなせ!『マクロ撮影の上達術』」
「TG-6」を用いた撮影で、周りのダイバーよりも少しだけプロっぽい写真に変身させる簡単なテクニックを伝授。初心者もわかりやすい内容でたくさんの来場者が聴き入っていた。
「TG-6を使いこなせ!『ワイド撮影の上達術!』」
「TG-6」を使いこなして、「今年の夏、沖縄でかっこいいワイド写真を撮る!」ためのコツを伝授。内容は中級者〜上級者向けの、高度なテクニックの紹介もあった。
むらいさち氏×中村卓哉氏
「ゆるふわ」のむらい氏と、「バリカタ」の中村氏と呼ばれる、同じ写真だとしても対極な作風はどの様に撮影されているのか。情熱編と旅情編の2つに分けて、トークセッションが行われた。
「ゆるカタフォトトーク(情熱編)」
日頃から、ゆるカタフォトセミナーを各地で開催する2人の写真家が「ゆるVSカタ 情熱対決」と題してフォトセミナー形式で撮影方法を熱く伝授した。むらい氏はカメラにリングライトを装着するのがお気に入りらしく、2人共通して、「ポートドライ」というポートの水切れを促進する強力親水剤というアイテムはおすすめという話もあった。編集部も気になったので買ってみようと思う。
「ゆるカタフォトトーク(旅情編)」
「ゆるカタフォトトーク(情熱編)」の旅情編ということで、実際の撮りおろしの作品を見ながら、2人が同じ海で撮影したらどのような違いが出るのか?というトークが繰り広げられた。
鈴木あやの氏
東京都・小笠原諸島でのイルカとの出会いをきっかけにドルフィンスイマー、写真家、水中モデルとして10年以上イルカと泳いできた鈴木氏によるイルカ好きには堪らないトークショー。
「野生のイルカと泳ぐ、その魅力とは」
長年の経験から、安全にイルカと泳ぐためのテクニックや、イルカと人が良い関係を続けていくための心得、野生のイルカと泳ぐ魅力を紹介した。ちょうど御蔵島でのドルフィンスイムが開始される時期ということもあり、イルカと泳ぐのが待ちきれなくなった来場者も中にはいるのではないだろうか。
古見きゅう氏
東京を拠点に国内外の海を飛び回り、独特な視点から海の美しい風景やユニークな生き物、海の環境問題なども積極的に撮影取材している古見氏は、コロナ禍以前に撮影した熱帯の海を紹介。
「熱帯慕情」
焦げるような太陽、身体にまとわりつく熱気、密林のようなサンゴ、湧き上がる魚群。熱帯の海が恋しくなってきた今、熱帯の海への思いと、未来への希望を、古見氏の作品を観ながら来場者も一体となって募らせた。
鍵井靖章氏×関戸紀倫氏×茂野優太氏
鍵井氏、関戸氏、茂野氏、世代の違う水中写真家のスペシャルコラボ。国内外で活躍をする3名だが、改めて日本の海を見つめ直し、その魅力をそれぞれの目線で語るプログラムが行われた。
「コロナ禍で知った日本の海の魅力」
作品と同じくらい「みんなを驚かせたい!」とそんな気持ちで、集まったメンバー。コロナ禍を経験して、国内の海での活動が主軸になった今、茂野氏は静岡県・伊豆半島と沖縄県・阿嘉島、関戸氏は東京都・八丈島と沖縄県・石垣島。鍵井氏は北海道・知床と和歌山県・串本をそれぞれ10枚の写真で撮影背景も交えながら水中写真家が気づいた日本の海の魅力などを語った。お互いの撮影方法に感心しながら、ときどき冗談も交えながら和やかな雰囲気で行われた。
水中写真家以外にもステージにはさまざまな分野の海好きが登壇した。
ガイド会
「ガイド」という職業を、より理解して もらおうと活動を続ける、全国からダイビングガイドが集まったガイド会。過去にも行われてきた人気イベントのフォトバトルがプログラムに登場!
「ガチンコ!フォトバトル」
ガイド会所属ガイド陣が撮影した渾身の水中写真でフォトバトル。来場者の拍手で勝敗が決まるというもの。実際に海を案内してもらったことがあるガイドを応援したりと、大いに盛り上がった。
PADIアンバサダイバー酒井美帆氏とTWINS
ダイビングの楽しさや海洋保護を広める「PADIアンバサダイバー」に選出された、ニュースキャスターの酒井氏と、人気YouTuberのTWINSによるトークショー。
「ダイバートークショー」
ダイビングの楽しさについて語ったり、事前に一般の方から募集した質問に対して3名で答えていくというような、来場者も一緒に楽しめる内容となっていた。
シニアダイバーズクラブ
シニアダイバーが「同世代の仲間とのんびりダイビングを楽しみ、人生を語り合いたい」との期待から生まれた日本シニアダイバーズクラブ(SDC)のトークセッション。
「生涯ダイバーのススメ 『SDCファンダイビングマガジン』」
ダイバーのための雑誌として、印刷され刊行されている雑誌『SDCファンダイビングマガジン』の中から歴代編集長お気に入りのツアー記事や表紙写真について紹介。シニアダイバーズクラブの会員が増えている理由も語られた。
スリランカ航空
スリランカやダイバー憧れのモルディブへのフライトを運航するスリランカ航空によるプログラム。
「往復航空券争奪インド洋クイズ」
スリランカ&モルディブのセミナーではフライトスケジュールなども紹介され、しばらくご無沙汰の南の島に行ける日がますます楽しみになった。後半にはみんなで参加する◯×クイズが行われ、なんと優勝賞品はモルディブ往復航空券!手に入れた来場者が羨ましい…。
岸壁幼魚採集家・鈴木香里武氏
ダイバーの間でも知名度が高く、自らを岸壁幼魚採集家/フィッシュヒーラー/お魚王子と名乗る鈴木氏による水中には入らずに魚を楽しむ方法を紹介。
「上から覗く幼魚世界」
漁港に這いつくばって海面を見つめ、タモ網で幼魚をすくう「岸壁採集」。実は“足元の海”には壮大な幼魚パラダイスが広がっているという。潜らずに魚を観察する男・鈴木氏が水深0メートルの世界を案内した。
あっという間の3日間。本イベントに参加して、オーシャナ編集部もたくさんのダイビング関係者や読者の皆さまにお会いできたことが、とても嬉しかった。そして、ダイビングが今後どんどん盛り上がっていくのではないかという期待も抱いた。
さぁ、次はどこに潜りに行こうか。