’11上方水中映像祭り特集
第3回:ダイビングショップの目にこのイベントはどう映ったのか
第1回・第2回と、主催者側である幹事団の言葉を元に、この上方水中映像祭りを特集してきました。
そこで今回は、第三者の視点からこのイベントはどう映ったのかを解き明かしてみたいと思います。
ご協力いただいたのは、大阪のダイビングショップ・なみよいくじらの関藤博史さん。
なみよいくじらさんは第1回から上方水中映像祭りに協賛されており、このイベントを創成期から見てきたショップさんと言えます。
いぬたく
はじめまして。
今回は上方水中映像祭りの特集ということで、関藤さん(なみよいくじらさん)とこのイベントとの関わりなどをうかがえればと思っています。よろしくお願いします。
関藤
はい、よろしくお願いします。
いぬたく
まず、上方水中映像祭りの幹事団の一人であるTOMIYAさんとのお付き合いはどうやって始まったのでしょうか?
関藤
もともと私はダイビングショップをやっている傍ら、専門学校の講師をさせてもらったり、「ダイバーだからこそできる環境にいいこと」をしたいなと思ってるんですね。
いぬたく
はい。
関藤
それでコーラルネットワークという団体(NPO)に出会ったんです。
いぬたく
そうでしたか、そのコーラルネットワークにTOMIYAさんがいらっしゃったんですか?
関藤
はい、そこで初めてお会いしました。それで、もともと串本でやっていたリーフチェックをみなべでもやるお手伝いをさせてもらったり。
いぬたく
TOMIYAさんとはそこで出会われたんですね。それは何年ぐらい前だったんでしょうか?
関藤
うーん、2004年か2005年かなあ。
いぬたく
上方水中映像祭りの第1回が2008年ですよね。そのイベントをやることをTOMIYAさんから初めて聞いた時はどう思われました?
関藤
最初はTOMIYAさんから「大したことをやるつもりはないんだけど…」という話を聞きまして。でも「面白いなあ」と思いましたね。プロダイバーではなくてアマチュアの人が自主的にそういう試みをするのは。「こういう時代になってくるんかなあ」と思いました。
いぬたく
なみよいくじらさんは第1回からずっと協賛されてますよね。
関藤
はい。協力できることは協力したいなと思ってさせてもらってます。
いぬたく
僕は2010年の第3回に初めて生でこのイベントを見たんですが、海遊館のホールにすごいお客さんが入っていました。
関藤さんは第1回からご覧になっていらっしゃいますが、第1回の様子はどうだったんでしょうか?
関藤
いやあ、最初はお客さんのニーズが読み切れていなくて。というのも、お客さんが多すぎて会場が溢れてしまったんですね。
それで急遽、二部制(同じプログラムを二回に分けて上映)にしたりして。
いぬたく
第1回からそんなに盛況だったんですね。
関藤
あれは驚きでしたね。「ここまでダイバーは集まる場を欲していたのか」と思いました。
いぬたく
うんうん。
関藤
二次会では、とある方から「こういうことをショップがやらなきゃダメなんだよ」とお叱りを受けたりもしましたが(笑)、「写真」と「ダイバー仲間」というのは大きなキーワードだったんですね。
また、二次会などを見ていても「ダイビングショップよりも“ゆるやかなつながり”なんだな」ということも感じました。
いぬたく
なるほど、“ゆるやかなつながり”というのは、印象的ですね。実は僕も都市型ショップ出身なんです。
関藤
ああ、そうなんですね。
いぬたく
なので都市型ショップの良いところもたくさん知っていますが、それと同時に、その“ゆるやかなつながり”が心地良いというのも分かる気がします。時代の雰囲気なのかもしれませんね。
関藤
うん、そうですね。
いぬたく
実際に上映された作品に関してはどう思われましたか?
関藤
映像も衝撃的でしたね。パソコンを駆使してここまで魅せるのか、と。とても新鮮でした。
いぬたく
みなさん力作を披露されてますよね。
関藤
ええ、すごいですね。
いぬたく
では、第1回目から大成功だったというわけですね。2回目以降はどうでしたか?
関藤
2回目からは会場が海遊館ホールになって。それでも満員になっていてねえ。
顔見知りも増えてきて、ちょっと同窓会的な部分もありましたね。
いぬたく
うんうん。
関藤
作品も幹事団の方々が厳選されてるんだろうなというのが分かるんですよね。
いぬたく
そこでの皆さんのご尽力はすごいですよね。
関藤
こういうイベントが成り立つのも、幹事団の広報的な役割であるTOMIYAさんの人柄なんだろうなあと思いますね。
とにかく敵を作らない人なんですよ。
いぬたく
敵を作らない人、ですか。
関藤
はい。
いぬたく
なるほど、この上方水中映像祭りの成り立ちや「なんでこんなに盛況なのか」ということについて、だいぶよく分かってきました。
最後に、すでにお話しいただいた部分もありますが、改めてこのイベントについて一言いただけますか。
関藤
世の中にこれだけデジカメが普及して、水中写真もみんなが楽しめる時代になって。そういう中でこういうイベントがあると、とても刺激になるし、同時に目標にもなると思いますね。
いぬたく
はい。
関藤
これだけのものをやってる方々がいるので、私たちプロも負けじと頑張らないとなと思いますよ(笑)
いぬたく
ぜひ頑張ってください!今日はどうもありがとうございました。
関藤
こちらこそ、どうもありがとうございました。
関藤さんが話されているように、ダイビングショップや指導団体などの“上から”ではなく一般ダイバー発という“下から”の新しい動きはここ数年で特に活発になっています。
その中でも上方水中映像祭りのパワーは、ショップさん(関藤さん)の目から見ても驚異で刺激的だったことがよく分かりました。
次回・第4回は、同じく第三者からの視点として、このイベントにも作品を出されているハイアマチュアのフォト派ダイバー・古菅正道さんにお話をうかがいます。