3日で巡る春の宮古島の魅力をレポート!地形ポイントからウミウシ、ハナダイの群れ、マンタまで!?

こんにちは、水中写真家の上出俊作です。

先月、約1年ぶりに宮古島を訪れ、3日間潜り、撮影してきました。

昨年2月には、「冬の宮古島」の魅力を紹介させていただきました。

▶︎冬の宮古島ダイビングの魅力を徹底リサーチ!冬に潜りたいポイントや、天気が悪い日の楽しみ方を探ってきました

僕が今回訪れた3月というのは、沖縄ではちょうど季節の変わり目です。徐々に南風が吹く日も増えてきて、2月に底を打った水温も上昇に転じる頃。

冬場は北風の影響で行けなかったポイントに少しずつ行けるようになったり、水中はスズメダイやハナダイの幼魚たちで賑わってきたりと、自然と心躍る季節なのです。

今日は皆さんに、そんな「春の宮古島」の魅力を紹介できればと思います。

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南風の吹く日が狙い目の「クロスホール」

特別地形好きじゃない僕でも、宮古島に来ると必ず撮りたくなるほど、宮古島と言ったらやはり地形です。

アントニオガウディや魔王の宮殿、通り池など、超有名な地形ポイントは北風の日が多い冬場の方が行きやすいのですが、もちろん、南風が吹いた時にしか行けない地形ポイントもあります。そのひとつが、伊良部島の北側に位置するポイント「クロスホール」

水深20m前後にポカっと広がったホールの中に入ると、不思議な感覚に包まれます。言うならば、時間が止まってしまったような感じと表現すればいいのでしょうか。軽く30mを超える透視度と、流れもうねりも寄せ付けない地形が、そこに水があることを忘れさせてくれるからだと思います。

神聖とも言えるその空間に差し込んでいたのは、毎日宮古島の海を潜っているガイドさんでさえ見惚れてしまう光でした。

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このポイントをガイドしてくれたのは、エミナマリンのインストラクター、浮田奈那さん(通称:ナナちゃん)です。

エントリーする前、モデル役もお願いしたナナちゃんと、どう撮影するかについて打ち合わせをしました。「光の中に入って」や、「息をゆっくり吐いて」とか、「去年みたいなあおり足はやめてね」など、注文が多くて辟易したんじゃないかと思いますが、慣れないモデル役を完璧に務めてくれました。

お陰様で、このポイントの魅力が伝わりそうな1枚が撮れました。本当にありがたいです。

個人的には、下のイメージ通りのカットよりも、上に掲載した光を見上げているオフショットの方が好きなのですが(笑)。

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水面で捕食している

マンタの撮影に成功!

2日目の朝、伊良部島の北側にある白鳥幼稚園というポイントに着く直前、「上出さん、マンタがいますよー」とナナちゃんが声をかけてくれました。

「あそこの岩に釣り人がいますよー」くらいのテンションだったので、いるけどエントリーはできないってことなのかなと思いながらも「入ってみてもいいですか?」と聞いてみると、「どうぞ!」とのこと。

実はこの時期、水面で捕食しているマンタが伊良部島周辺でたまに見られるそうなのですが、エントリーするとすぐに逃げてしまい、見られないことの方が多いんだとか。だから、テンション低めだったんですね。

とりあえずチャレンジしてみないと始まらないので、急いでシュノーケリングでエントリーさせてもらいました。

口を大きく開けて優雅に羽ばたくマンタ。ゆっくりに見えても、やはり速いですね。追いかけても思うような写真は撮れそうになかったので、無理はせず諦めようかなと思ったとき…。船長が絶妙な操船で、マンタを僕の方に誘導してくれました。

クジラを撮っている時のように動かず待って、静かにシャッターを切りました。

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撮影者泣かせの

スネークホールを攻略!?

「クロスホール以外にオススメの地形ポイントはありますか?」と、エミナマリン代表の松浦正典さんに聞いてみたところ、「スネークホールを上出さんがどう撮るのか見てみたいですね…」と、いやらしい答えが返ってきました。そう言われたら「やめておきます」とも言えないですよね(笑)。

冗談はさておき、ガイドさんから「どう撮るか見てみたい」と言ってもらえるのは本当に嬉しい事です。その海やポイントの新しい魅力・切り口をさりげなく提案できるのが、水中写真家という仕事の面白いところ。

さて、格好つけた後にあれなのですが、撮影はかなり苦戦しました。
撮っても撮っても手ごたえが得られず…。でも、雰囲気は伝わるでしょうか?

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なんだかよく分からないと思いますので、簡単に説明します。
この写真は、ホールの中に入って、ホールの入り口と水面が一緒に入るように、縦で構えて撮影しています。写真の下に写っている青い部分は、スネークホールの入り口です。上に写っているゆらゆらした青は、水面です。

その水面から顔を出すと、そこにはエアドームが広がっています。エアドームの天井は閉鎖されていて光は入ってこないので、水面の青は水中から入った光が反射しているんですね。これを一言で表すと…。そう!青の洞窟です!最初からそう言えば良かったですかね(笑)。

幻想的な光景に癒される

ハナダイの根

スネークホールの撮影は早めに切り上げて、少し泳いで「ハナダイの根」まで移動しました。彩度の高いハナダイたちが群れている光景は、ぼーっと見ているだけで癒されますし、宮古島に来たことを感じさせてくれますよね。

でもこのハナダイの群れを、写真におさめようと思うとけっこう難しいんです。肉眼では沢山いるように見えるのに、写真だとスカスカになってしまいがちで、正直、僕も敬遠することが多い。

が…ここの根は違いました。作品として十分に成り立つ密度で、ハナダイがギュッと群れていたのです。ハナダイの撮影で、こんなに楽しかったのは初めてだと思います。

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ハナダイの幼魚を間近で

見られる白鳥幼稚園

先ほど紹介した「ハナダイの根」で群れていたのは、主にアカネハナゴイという種類のハナダイです。実はこのアカネハナゴイ、宮古や八重山はもちろん、久米島周辺でも観察できるのですが、なぜか僕の住んでいる沖縄本島ではほぼ見ることができません。なので、見つけるとついつい撮ってしまうんですよね。

ハナダイの根ではワイドで撮りましたが、白鳥幼稚園というポイントではマクロで撮ってみました。オスの方が色も形も派手なのですが、せっかく幼魚の多い季節ですので、あえて小さい子を狙って撮っています。

ちなみに、ハナダイはみんなメスで生まれてくるので、写真に写っているのはすべてメスとなります。

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キンギョハナダイの幼魚たちがアカネハナゴイに混じって泳いでいたので、撮ってみました。こちらも今が旬ですね。

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3月と言うのは、ウミウシの種類も数も多い時期でもあります。今回はウミウシの撮影にはあまり力を入れられませんでしたが、それでも数種類は撮影できました。ウミウシだけ撮っていても時間が足りないくらい、色んな種類がいましたよ。

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予想以上の感動を期待できる

宮古島・春の地形と生物たち!

今回、3日間という限られた日程の中で、思っていた以上にワイドもマクロも撮れました。

もちろん海況や運もあるのですが、ガイドさんや船長さん、一緒に乗船してくれた方々の心遣いが、撮影結果に大きく影響したように感じています。ちなみに、3日間のうち、北寄りの風が吹いたのが1日、南寄りの風が吹いたのが2日でした。3月は、まだ季節の変わり目で、北風が続くこともあります。

今回紹介した「クロスホール」や「スネークホール」などの北風に弱いポイントは、安定して南風が吹く梅雨明けから夏の終わり頃に狙うと、行ける確率はより高くなると思いますよ。

それでは、今日もここまで読んでくださりありがとうございました!

少しでも皆さんの参考になれば嬉しいです。

取材・撮影協力 エミナマリン

上出俊作さん
プロフィール

水中写真家上出俊作氏

2014年、かねてから抱いていた沖縄移住の夢が抑えきれなくなり、製薬会社を退職し沖縄本島に移住。現在は「水中の日常を切り取る」をテーマに、海で暮らす生き物たちの姿を撮り続けている。

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writer
PROFILE
1986年東京都生まれ。
2014年、かねてから抱いていた沖縄移住の夢が抑えられなくなり、沖縄本島の名護市に移住。
「水中の日常を丁寧に切り取る」というテーマで、沖縄を中心に日本各地の水中を撮影。
ブログ「陽だまりかくれんぼ」や写真展などのイベントを通して、水中写真と沖縄の海の魅力を発信し続けている。
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