八幡野の海は最高、でも、後悔の念で一杯

この記事は約3分で読めます。

3日間、2本のボートダイブを含む計5ダイブを行なった、八幡野ロケが終了した。
海は、寺山編集長が「自分にとって、何回も来ている伊豆ロケでは、過去最高の透明度と過去最高の大物運でした」と言わしめるくらいのベストな条件。
かなりのペースで伊豆を潜っている、モデルのルコちゃんにしても、「こんな奇麗な伊豆初めてです!」と感動し、ガイドをしてくれた、ダイビングショップ海好きの福ちゃんも、「見せたい物をこの短期間で十分に見せれた!」という達成感と喜びを感じるくらいの上出来な取材環境だった。

八幡野の海(撮影:越智隆治)

しかも、八幡野漁協さんの大いなる協力もあり、5年間もクローズされているボートポイント「おとじろう」にまで潜らせてもらい、透明度抜群の、美しいソフトコーラルの群生する海中で、たった1ダイブでネコザメ5匹、ドチザメ7匹を目撃するなど、ダイビングとしては、相当に大満足な八幡野でのダイビングを堪能することができた。

八幡野の海(撮影:越智隆治)

皆は一様にテンションが高く、大喜びしていた。
にも関わらず、皆のそのハイテンションに反比例するかのように、ただ一人、自分だけが後悔の念を増幅させていき、皆と一緒に素直に喜びを分かち合えないでいた。

「伊豆での撮影の経験の少なさ」。「ポイントに対する無知さ」・・・・。
正直、今回の伊豆ロケでは、そんな事ばかりが頭に浮かび続けた。
八幡野に潜った経験は、過去1回なはず。
それも、多分ビーチエントリーをしたはず。
それも20年以上前なはず。
という、とても曖昧な記憶しかない。

暖かい、南の海とは訳が違う海中条件。
その中で、今回初めて潜ったばかりのポイントで、「もっと、八幡野の海の魅力を引き出せる写真が撮れるはず」そう思えるポイントであったはずなのに、毎回的をしぼり切れずにダイビングを終えていた。

「あそこに行っていれば、ああ、撮影していれば」・・・・、エキジットする度に、「面白かったですね~!!最高でしたね!」と満面の笑みを向けてくれる福ちゃんに、素直に「面白かったね~!」と言い返せない無念さと自分自身の不甲斐なさ。
期待に答えられない事への後悔の念。
あまり自分のこういう感情を表に出さないようにしてるつもりだけど、今回はこんなに「悔しい」と感じるとは、と正直自分でも驚いている。

帰りの車内では、そのことを思い出したくなくて、寺山とルコちゃんに他愛も無い話題を振って、気持ちを紛らわしていた。

今回の取材で作られるウェブマガジンで、どれだけの八幡野の魅力を写真を通して皆に伝えられるかわからないけど、あの海は、今回の自分の写真では表現しきれないくらいに、美しく、感動的だった。
それだけは、どうしてもここに書いておきたいと思った。

そして、できることなら、納得が行くまで、もう一度八幡野を潜り込みたい。
心の底から、そう思っている。

\メルマガ会員募集中/

週に2回、今読んで欲しいオーシャナの記事をピックアップしてお届けします♪
メールアドレスを入力して簡単登録はこちらから↓↓

writer
PROFILE
慶応大学文学部人間関係学科卒業。
産経新聞写真報道局(同紙潜水取材班に所属)を経てフリーのフォトグラファー&ライターに。
以降、南の島や暖かい海などを中心に、自然環境をテーマに取材を続けている。
与那国島の海底遺跡、バハマ・ビミニ島の海に沈むアトランティス・ロード、核実験でビキニ環礁に沈められた戦艦長門、南オーストラリア でのホオジロザメ取材などの水中取材経験もある。
ダイビング経験本数5500本以上。
  • facebook
  • twitter
FOLLOW