見渡す限りの黄金色!アラスカの夕暮れで味わった宝物のような時間~岡田裕介の海中時間~
昨年の秋に撮影した、アメリカ アラスカ州カクトビックというの北極海に面した小さな村の海辺での写真です。
その村では毎年9月に先住民による捕鯨が行われ、そこで解体されたクジラの骨に残された肉を求めてシロクマがやってきます。
その日は、風が強く荒れる日が多いこの村で、朝から快晴で風もない穏やかな一日。
昼の小型ボートでの海上からのシロクマの撮影が終わった後、皆で空を見上げながら、今日はいい夕焼けが見られそうだからと、予定にはなかった夕暮れ時にもう一度、出航する約束をしてガイドと別れました。
しかし日が暮れ始め、約束の時間になってもガイドはやって来ません。
刻々と沈む見事な夕日を眺めながら、こんなこんなチャンスは滅多にないのにと焦り始めた頃、やっとガイドが到着し船に向かい、それでも急ごうとしないガイドに少し苛立ちながら小走りで船に乗り込みました。
そこからの時間はまるで夢の世界、360°見渡す限りの全ての空が鮮やかに色づき、見たことのないような完璧なべた凪の水面には、その空が綺麗に映り込んでいる。
どこにレンズを向けても写真には納まりきらない。
そして、目の前にはシロクマ。
夢中でシャッターを押し続け、気が付けば辺りは暗くなっていた。
実際に日が沈んでから暗くなるまでは約2時間。
そう、ここは北極圏、2,30分で暗くなってしまう日本とはまるで違う世界だったのです。
ひとり焦っていた無知な自分が恥ずかしかった。
あれは夢だったんじゃないだろうか
あの美しく穏やかな世界を思い出す度に、そう思います。
あまりにも現実離れした世界だったから。
あの日、あの場所で僕が経験した宝物のような時間。