10年間発表を躊躇した、北極海での奇跡の一日がヤバい!自然写真家・岡田裕介写真展「WONDERLAND」開催

岡田裕介氏と言えば、アーティストのライブ撮影と自然写真の両方をこなす異色の写真家だ。National Geographic写真賞の受賞を機に、世界でも作品を発表し旅を続けている岡田氏が、 作品展「WONDERLAND」を6月に東京、そして7月に京都で開催。10年前の秋のアラスカ・カクトビック村で撮影された圧倒的な光景を、カラー写真全30点の構成で初公開する。

北極海のシロクマと過ごした、奇跡の一日の記録

アラスカで唯一北極海へと通じるダルトン・ハイウェイ。野生動物を撮影しながらハイウェイを北上し、北極海のシロクマに出会うべく、セスナ機でアラスカ・カクトビック村へ降り立った。現地ガイドもイヌイットの人々も奇跡と呼んだ、小さな村で過ごしたおとぎ話のような1日の記録をお届けする。

実は、この作品の発表を10年間躊躇していたという。その理由について、「あまりにも撮影した日が特別過ぎて、それを越えられないだろうという思いから、この10年間カクトビックを再訪できないでいます。自然写真は時間をかけ向き合って、積み重ねた上に成り立つ説得力がある。そう思う自分がいるからこそ、たった1日の記録を作品群として発表するのに躊躇いがありました。しかし信頼する人たちに写真を見せた時、皆口を揃えて『これは凄い!』と感動してくれた姿に背中を押され、この奇跡を皆さんと分かち合うべきだと確信しました」と岡田氏は話す。

その日は、天気が良く凪いだ海は鏡のように空を映していた。
キラキラと輝く太陽を受けて泳ぐホッキョクグマの波紋だけが水面を揺らす。
「こんな良い天気はそうはないぞ」
イヌイットの船長の言葉を聞き、日没の時間にも船を出すことにした。
再び船を出したのは19時半。刻一刻と色鮮やかになる日没後の空。
ピンクの空に包まれてホッキョクグマが鯨の残骸に群がる姿は、この世のものとは思えず息をのんだ。
振り返ればオレンジに輝く海の中で親子が泳ぎ、海岸沿いで子どもたちが戯れ合って遊んでいる。
360度の極彩色の空は1時間半以上かけてゆっくりと濃紺の夜に溶けていった。
きっと天国とはこういう場所なんだろう…。

【東京会場】

場所;ソニーイメージングギャラリー銀座(東京都中央区銀座5-8-1 銀座プレイス6階)
TEL:03-3571-7606
日程:2023年6月16日(金)-29日(木)
時間:11:00-19:00
※入場無料/会期中無休

【京都会場】

場所:京都写真美術館 ギャラリー・ジャパネスク2階(京都市東山区堀池町374-2)
TEL:080-5988-7720
日程:2023年7月4日(火)-9日(日)
時間:11:00-18:00(最終日17:00まで)
※入場無料/会期中無休

岡田裕介(OKADA YUSUKE)
埼玉県生まれ。グラファーとして独立。沖縄・石垣島、ハワイ・オアフ島へ の移住を経て、現在は神奈川県の三浦半島を拠点に活動中。水中でバハマやハワイのイルカ、トンガのザトウクジラ、フロリダのマナティなどの大型海洋ほ乳類、陸上で北極海のシロクマ、フォークランド諸島のペンギンなど海辺の生物をテーマに活動。2009年National Geographicでの受賞を機に世界に向けて写真を発表し、受賞作のマナティの写真は世界各国の書籍や教育教材などの表紙を飾る。温泉に入るニホンザルの写真はアメリカ・ スミソニアン自然博物館に展示。国内でも銀座ソニーアクアリウムのメインビジュアルはじめ企業の広告やカレンダーなどを撮影。

写真集
「KOTARO」( SHIBUYA PUBLISHING & BOOKSELLERS ) 2008年
「Penguin Being -今日もペンギン- 」( 玄光社 ) 2019年
「これが君の声 青の歌-Sound of echo, Song of blue-」( 私家版 ) 2020年
「その背中を風が撫でて -Horses in the wind-」( 私家版 ) 2021年

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