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ダイビングガイドの名前が付いた海の生物 ~自分の名前を魚の名前に付けられる?~閲覧無制限

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現地からレポート
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久米島ダイブエスティバンの川本剛志さんと潜る繁殖ダイビング

本人はあまり大きな声で言いたがりませんが、実は、川本さんの名前が付いたエビがいます。

和名がミヤビチュウコシオリエビ、学名が「Munida kawamotoi」。
※人の名前が付くと“名前+i”になります。

ミヤビチュウコシオリエビ

ミヤビチュウコシオリエビ

海の生物に名前が付いているダイビングガイドは、西表島の矢野さん、元マーシャルの吉居さん、バリの故・殿塚さん、八丈島の加藤さん、宮古島の渡真利さん……錚々たる顔ぶれです。
ざっくり思いついただけなので、もっともっといらっしゃるかもしれませんが。

自分の名前が魚の名前に付くのって、なんか、かっこいいですよね。

じゃあ、俺も付けちゃおう!
明日からお前は、テラヤマクルクルパーマカワハギだ!

……もちろん、勝手に付けちゃダメです(笑)。

笑いごとではなく、以前、ウミウシブームの火付け役「ウミウシガイドブック」が出版されたとき、和名のないウミウシには愛称をつけて出したものだから物議を巻き起こしました。

当時、ダイバーに注目される存在になってきたウミウシに図鑑がなく、ウミウシガイドブックに掲載されている愛称がダイバーにどんどん浸透していくので、研究者たちは困ったかもしれません。

まあ、ダイビング雑誌にいた身としては、図鑑より堅苦しいモノでなく、「広くダイバーに親しんでもらう」って理屈もわかります。

学術的な用語、「死滅回遊魚」、「無効分散」だと味気なく、雑誌が作った造語、「季節来遊魚」の方が、イメージがポジティブですし、商業ベースでウケますものね(良い悪いは置いといて)。

“名前”といってもいろいろ

石垣島でグルグル回っている、そこのあなた! 名前はなんですか?

マンタってよく呼ばれているけど、オニイトマキエイでもあって……。

そう。そもそも同じ魚でも、名前はさまざま。
学名、和名、英名、市場名、愛称などなどごちゃまぜになっています。

学名が、学会で発表された世界共通の絶対的な名前ですが、日本人にラテン語は馴染みがなく、日本人ダイバーの世界では、しかるべき刊行物や機会に発表される標準和名が基本となります。

ただ、シュモクザメでなくハンマーヘッド、アゴアマダイでなくジョーフィッシュなど、愛称が定着している魚もいれば、海外の海には和名のない魚もたくさんいます。
そんなときは英名をカタカナにして表記にしたりします。
なんちゃらバスレットとかなんちゃらドワーフゴビーとか。

でも、英名は結構適当で、複数あったりもするので、困ったりもするのですが……。

どうやって付ける?
海の生物の名前

なので、やはり、ちゃんとした名前ということなら、学名や和名となりますが、名前を付けるのは分類学者。

ダイバーがいくら「絶対、これ、俺が一番に見つけた!」と言い張っても、学会や然るべき発表のできる人でないと名前に安定性がないですものね。
新大陸を発見したのが、たとえ見張り役の船員だったとしても、やっぱり発見者はコロンブスなのです。

自分の名前が採用されるとすれば、研究や標本採集のお手伝いするなど、研究者との信頼関係を築くほかなく、逆に、信頼関係のうえ、これまでも、妻や身内という例もあり、恩師、友人あるいは助手の名を付けることもあるんだとか。

実際、川本さんもエビ・カニでお馴染みの奥野淳兒先生との交流や標本採集などを通じた信頼関係の上、学名に名前が入ることになったそうです。

さすがに和名は恥ずかしく、「雅な雰囲気がするので、“ミヤビ”を入れたらどうでしょうか?」と提案するなどした結果、ミヤビチュウコシオリエビになったそうです。

名前の由来を知ると一層、フィッシュウオッチグがおもしろくなりますし、ガイドの名前の付いた生物を、そのガイドに見せてもらうのも贅沢な感じがしますよね。

川本さんも、学名に自分の名前がついて、こっそりテンションが上がったそうですが(笑)、自分から積極的に言う性格ではないので、潜りにいった際は、ぜひリクエストしてみてくださいね。

■取材協力/ダイブエスティバン

ダイブエスティバン

久米島一の大型ボート(53フィート)で6人のスタッフが対応。ビギナーやシニアのケアから、データをもとにした生態など、フォト派やマニアックなリクエストで対応可能な懐の広さが魅力。

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